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検索結果

  • ざいました。富蔵は……どうしたのか存じません。もうその頃には家中いっぱいの火になっていました。その騒ぎを聞きつけて近所の人達がばたばた駈け付けて来ましたので、わたくしも度を失まして、ここらにうっかりしていて、とんだ連坐(まきぞえ)を受けてはならないと、前後のかんがえも無しにあの稲荷
    51キロバイト (10,402 語) - 2021年12月13日 (月) 14:26
  • 「おめえは以前から田町の宗兵衛を識っているのか」 「いえ、去年の九月頃からでございます。実は去年の正月に女房をなくしまして、それからちっとばかり道楽を始めたので、ふところがだんだん苦しくなりまして……。そのうちに、吉原の若い者の喜助(きすけ)というと懇意になりまして、その喜助が袖摺稲荷の近所にいる宗兵衛という金貸しを識っていると…
    67キロバイト (13,441 語) - 2019年2月27日 (水) 14:51
  • 「それがまことに不思議でございます」と、女房は眉をよせた。「鶏が人にかかると云うのはまんざら無いことでもございませんが、わたくしどもでは初めてでございます。この通りのお客商売ですから、一度でもそんな事があれば、決して鶏なぞを飼は致しませんが、どうしてあの鶏が…・・・あんな様…
    59キロバイト (11,846 語) - 2019年2月27日 (水) 14:45
  • て、わたしはいつもの話の方へ引寄せてゆくと、老人は「又ですかい」とも云わず、けさは自分から進んですらすら話し出した。 「あれはいつでしたっけね」と、老人は眼をつぶりながら考えていた。「そうです、そうです。あの太郎稲荷(たろう
    48キロバイト (9,803 語) - 2019年2月27日 (水) 14:41
  • はみんなそうです。そこで、あなたはどう云うわけで、あの蝶々をご詮議なさるんです」 「別にどうと云うこともないが、このごろ世間で評判が高いから……」 「ただ、それだけの事でございますか」と、吉五郎は相手の顔色を窺ながら云った。「まだほかに、何か仔細があるのじゃあございませんか」…
    238キロバイト (48,030 語) - 2019年2月27日 (水) 14:39
  • 上に置くより外なかった。学校を出た職員は、中村町の石油倉庫脇から稲荷山の絶対安全と認められた地帯に避難した。時に午後一時。「御真影はいかに奉安し奉るべきか」という問題が次に起った。平楽学校か、江吾田学校か、根岸学校かと、職員を派してかがわしめたが何れも危険なので、唯磯子学校のみ割合に危険の程度が…
    156キロバイト (30,472 語) - 2023年9月18日 (月) 12:55
  • 「お武家様、わたくしは怪しい者でもなんでもございません。伊那(な)〈[#「伊那」は底本では「伊奈」]〉辺まで用事があってまいる途中、御通行ということで差し控えていたものでございます。これからはいかようにもお供をたしますから、お助けを願います。」…
    648キロバイト (123,779 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  •  と、岩へ近づた。そして、海を見てから、岩へ眼を落すと、すぐ、微笑を消して、岩と、岩の周囲を眺め廻した。 「焚火を、しよりましたの」  仁十郎が、こうったのに答えないで、岩の下に落ちている焚木の片(きれ)を拾う。 「和田――乳木であろう」  と、差出した。和田は手にとって、すぐ 「桑でございますな」…
    1.47メガバイト (284,070 語) - 2023年11月2日 (木) 05:59
  • ぎゅば)会社に頼んで、飯田まで継立(つぎた)てにするのが便利かもしれないな。」  半蔵の挨拶(あいさつ)だ。  九月四日は西が吹て、風当たりの強いこの峠の上を通り過ぎた。払暁(あけがた)はことに強く当てた。青山の家の裏にある稲荷
    731キロバイト (142,362 語) - 2019年9月29日 (日) 05:05
  • あざあ落ちて、彼の踏んでいる土は地下の鉛管まで腐れ込むほど濡れていた。ただ昼だけに周囲は暗いながらも明るいので、立ちどまった時の心持はこの間とはまるで趣(おもむき)が違ってた。敬太郎は後(うしろ)の方に高く黒ずんでいる目白台(めじろだい)の森と、右手の奥に朦朧(もうろう)と重なり合った水稲荷
    677キロバイト (132,287 語) - 2022年4月2日 (土) 11:15
  • うざん)神社を伊那の山吹村に訪、そこに安置せられた国学四大人の御霊代(みたましろ)を拝し、なお、故翁の遺著『古史伝』の上木頒布(じょぼくはんぷ)と稿本全部の保管とに尽力してくれた伊那の諸門人の骨折りをねぎらいながら、行く先で父鉄胤に代わって新しい入門に接して来たことなぞを聞た。…
    622キロバイト (119,815 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • NDLJP:111】外に放ちける。其後稲荷明神の託宣あつて、此度白狐の命を助けぬる其報として、永く汝が家運を守るべしとなり。家近、神託を信じ国に帰り、稲荷明神の社を建て、永く子孫の家運を祈りける。〈今加賀の大乗寺高安軒に祭る□の稲荷是なり。〉此頃奥州にて、鎮守府将軍清原の武則が子供武衡・家衡といふ
    4キロバイト (33,938 語) - 2024年2月3日 (土) 11:09
  • ひつつ進みよりて、聴水が襟頭(えりがみ)を引掴(ひっつか)み、罠を弛(ゆる)めてわが膝(ひざ)の下に引き据(す)えつ。「いかにや聴水。かくわれ曹(ら)が計略に落ちしからは、爾(なんじ)が悪運もはやこれまでとあきらめよ。原来爾は稲荷大明神(
    133キロバイト (25,215 語) - 2023年10月17日 (火) 13:33
  • けるは、そしにておはしけれども、腹悪しく恐ろしき人にて、賀茂、春日、稲荷、祇園の御祭ごとに平家を狙ふ。後には紀伊国に有りける新宮十郎義盛世を乱りし時、東海道の墨俣河にて討たれけり。牛若は四つの年まで母のもとに有りけるが、世の幼ひよりも心様振舞人に越えたりしかば、清盛常は心にかけて宣ひけるは、「敵…
    482キロバイト (112,842 語) - 2023年1月24日 (火) 19:22
  • 立つ子躄(あざ)る子、盲も犬も皆わけて、門徒坊主も浮かれ出で、雑行雑修(ぎやうざふしゆ)は常の事、御蔭にはお許しぢや。                                              堂島施行宿の入用、凡銀十三貫目、尤も塩・味噌・炭・薪等外よりも加入する有りて、堂島計りにてせしにも非ず。【堂島の…
    85バイト (29,962 語) - 2024年3月24日 (日) 09:04
  • ても帰らないから、お稲荷様(なりさま)へ伺いを立てたら、こりゃ、もう熊本をたっているという御託宣であったので、途中でどうかしはせぬだろうかと非常に心配していたのだと言う。三四郎はその当時を思いだして、今度もまた伺いを立てられることかと思った。しかし手紙にはお稲荷様のことは書
    534キロバイト (98,327 語) - 2023年10月17日 (火) 13:35
  • 稲荷祭(なりまつり)の晩で、新宿の方の空は明るい。遠く犬の吠(ほ)える声も聞える。そのうちに車が来た。三吉は新宿まで乗って、それから電車で行くことにした。 「延、お前は独(ひと)りで大丈夫かネ」  と三吉は留守を頼んで置て出掛けた。お延は戸を閉めて入った。冷
    483キロバイト (94,851 語) - 2022年9月18日 (日) 11:16
  •  代助は何故(なぜ)ダヌンチオの様な刺激を受け易(やす)人に、奮興色(ふんこうしょく)とも見傚(みな)し得べき程強烈な赤の必要があるだろうと不思議に感じた。代助自身は稲荷なり)の鳥居を見ても余り好心持はしない。出来得るならば、自分の頭だけでも可(から、緑のなかに漂わして安らかに眠りたい位である…
    576キロバイト (115,998 語) - 2023年10月21日 (土) 14:06