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- たけれど、萬燈を振込んで見りやあ唯も歸れない、ほんの附景氣に詰らない事をしてのけた、夫りやあ己れが何處までも惡るいさ、お前の命令(いひつけ)を聞かなかつたは惡るからうけれど、今怒られては法(かた)なしだ、お前といふ後だてが有るので己らあ大舟に乘つたやうだに、見すてられちまつては困るだ…93キロバイト (21,243 語) - 2023年10月17日 (火) 13:34
- だ)れだえ、もう寢(ね)て仕舞(しま)つたから明日(あした)來(き)てお呉(く)れと嘘(うそ)を言(い)へば、寢(ね)たつて宜(い)いやね、起(お)きて明(あ)けてお呉(く)んなさい、傘屋(かさや)の吉(きち)だよ、己(お)れだよと少(すこ)し高(たか)く言(い)へば、いやな子(こ)だ…48キロバイト (7,861 語) - 2023年10月17日 (火) 13:34
- けしきをあらはすべからず。なるたけかんべんしがまんして、たがひにまじはるべきなり。 十月十九日 もめんの着物(きもの)にても、とうざんの羽織(はをり)にても、すべて着類(きるい)の粗末(そまつ)なるは、恥(はづ)るにたらざれども、きものにあかつき、顔(かほ)手足(てあし)のよ…25キロバイト (3,468 語) - 2024年10月8日 (火) 14:33
- よ、こんなに角がやられて……』 さういつてゐる中に蓋がはねられ、パツキングが除かれ、雜多な品物が竝べられて行つた。 それは主に機械の部分品であつた。 河上は、片ツ端から商品を睨み合せて傳票にチヱツクして行つた。 『よし、OK――、これで全󠄁部だね、ぢやあと賴んだよ』…488バイト (5,997 語) - 2023年8月26日 (土) 01:46
- 軽業のお初、婆やが、小鍋立をして、酌をしながら、何かと世間ばなしをしかけようとするのを、今夜にかぎって、邪魔な顔―― 「うん、そいつが聴きものだねえ――面白いはなしだ。だが、まああとで聴こうよ。あたしはちっとばかし考えたいことがあるんだから――」 婆やを追いやって、手酌で、ちびちびやりながら、…98キロバイト (18,387 語) - 2019年3月1日 (金) 06:30
- 「あの泥棒が羨ましい」二人のあいだにこんな言葉がかわされるほど、そのころは窮迫していた。場末の貧弱な下駄屋の二階の、ただひと間しかない六畳に、一閑張りの破れ机を二つならべて、松村武(たけし)とこの私とが、変な空想ばかりたくましくして、ゴロゴロしていたころのお話である。もうなにもかも行き詰まってしまって、動きの取れなかった二人は、ちょ…57キロバイト (10,046 語) - 2021年8月31日 (火) 22:12
- したたか。(たけし。すこやか。) 番 ばん。雜用(ざつよう)の粗品(そひん)に被(かぶ)らす字(じ)で、番茶(ばんちや)。番傘(ばんがさ)。等級(とうきふ)順序(じゆんじよ)を示(しめ)す字(じ)で、一番(ばん)二番(ばん)。つがふ。組合(くみあ)ふ。(かはる〴〵。) 菅 すげ。(かや。) 茸 きのこ。たけ。(しげし。)…234バイト (3,144 語) - 2024年1月23日 (火) 05:23
- だ。断わられたって恥じゃない……」 「だって」 「……ないが甲野に聞くよ。聞く事は甲野に聞くが――そこに問題がある」 「どんな」 「先決問題がある。――先決問題だよ、糸公」 「だから、どんなって、聞いてるじゃありませんか」 「ほかでもないが、甲野が坊主になるって騒ぎなんだよ」 「馬鹿をおっしゃい。縁喜(えんぎ)でもない」…711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
- いづれをも、思ふやうならむ御世には、さまざまにつけて、御心とどめて思し尋ねよ。その中に、後見などあるは、さる方にも思ひ譲りはべり。 三の宮なむ、いはけなき齢にて、ただ一人を頼もしきものとならひて、うち捨ててむ後の世に、ただよひさすらへむこと、いといとうしろめたく悲しくはべる」 と、御目おし拭ひつつ、聞こえ知らせさせたまふ。…146キロバイト (31,415 語) - 2022年12月1日 (木) 08:13
- しだにはべらば、水を汲みいただきても、仕うまつりなむ」 と、いとよげに、今すこしさへづれば、いふかひなしと思して、 「いとしか、おりたちて薪拾ひたまはずとも、参りたまひなむ。ただかのあえものにしけむ法の師だに遠くは」 と、をこごとにのたまひなすをも知らず、同じき大臣と聞こゆるなかにも、いときよ…31キロバイト (6,734 語) - 2022年12月1日 (木) 08:10
- だらう。この山陰(やまかげ)の藪(やぶ)の空(そら)には、小鳥(ことり)一羽(は)囀(さえづ)りに來(こ)ない。唯(ただ)杉(すぎ)や竹(たけ)の杪(うら)に、寂(さび)しい日影(ひかげ)が漂(ただよ)つてゐる。日影(ひかげ)が、――それも次第(しだ…52キロバイト (8,429 語) - 2019年12月8日 (日) 12:04
- の鈴木君もちょっと狼狽(ろうばい)の気味に見える。 「だろうた判然しない言葉だ」と主人は何事によらず、正面から、どやし付けないと気がすまない。 「いや、これゃちょっと僕の云いようがわるかった。令嬢の方でもたしかに意(い)があるんだよ。いえ全くだよ——え?——細君が僕にそう云ったよ。何でも時々は寒月君の悪口を云う事もあるそうだがね」…1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
- よ又(また)しても聞(き)く堀切(ほりき)りの菖蒲(しやうぶ)だより車(くるま)をつらねて見(み)に行(ゆ)きしはそもいつの世(よ)の夢(ゆめ)になりて精靈棚(しやうりやうだな)の眞(ま)こもの上(うへ)にも表(おもて)だちては祀(まつ)られずさりとては世(よ…162キロバイト (27,574 語) - 2019年9月29日 (日) 04:58
- 「僕だって一人前の人間だよ」 「無論さ」 「無論なら安心して、僕に信頼したらよかろう。からだは小さいが、朋友を一人谷底から救い出すぐらいの事は出来るつもりだ」 「じゃ上がるよ。そらっ……」 「そらっ……もう少しだ」 豆で一面に腫(は)れ上がった両足を、うんと薄の根に踏ん張った碌さんは、素肌(すはだ…104キロバイト (18,180 語) - 2023年10月17日 (火) 13:38
- 「葉ちゃん、葉ちゃん、誤解しないでおくれよ、何んでもないんだよ、恰度、恰度いま由っちゃんが遊びに来たんで、その、その葉ちゃんとこへ行ってみようか、っていっていたんだよ……それだけだよ……」 「もう沢山、来てくれなくて結構よ、わざわざあたしを呼んでおいて、二人で見せつけようなんて、……ふん、黒吉さんも相当なもんなら、女、女もそうだよ…184キロバイト (33,562 語) - 2023年10月17日 (火) 13:53
- 渡りに舟というのは全くこの事であった。わたしは遠慮なしにそのあとについて行くと、老人は先に立って格子をあけた。 「老婢(ばあや)。お客様だよ」 私はいつもの六畳に通された。それからいつもの通りに佳(よ)いお茶が出る。旨い菓子が出る。忙がしい師走の社会と遠く懸け放れている老人と若い者とは、時計のない国に住んでいるように…50キロバイト (10,115 語) - 2024年2月5日 (月) 11:32
- [訓読]遠しとふ故奈の白嶺に逢ほしだも逢はのへしだも汝にこそ寄され [仮名]とほしとふ こなのしらねに あほしだも あはのへしだも なにこそよされ [左注]なし [校異]なし [事項]東歌 相聞 地名 群馬県 白根山 石川県 白山 尫柜蹋 恋愛 羈旅 [訓異]とほしとふ[寛], こなのしらねに[寛], あほしだも,[寛]あほしたも…161キロバイト (35,527 語) - 2023年9月5日 (火) 15:42
- よ。今夜はひとつ、みっちり仲のいいところを、見せつけて上げますかね――」 お初は、冷たく笑ったが、急に意地悪い悪どさで、 「さあ、おしゃべりはするだけした。雪さん、起って頂戴――御案内をしますから――」 銃口が、ぐっと、雪之丞に、突きつけられる。 無言に立ち上る雪之丞―― 「歩くんだよ。生れぞくない――」…50キロバイト (9,683 語) - 2019年2月27日 (水) 15:15
- 「戯談(じょうだん)を。そちらこそ違えちゃ可(い)けないよ。私はねえ、京都の地にいる人と違うんだよ。ゆべ夜汽車で、わざわざ百何十里の道をやって来たのだよ。気の長い人だから、時間が当てにならない。待たしたら怒るよ」そういうと、電話口では、ほほと笑う声だけして、電話は切れた。…74キロバイト (14,880 語) - 2021年8月31日 (火) 22:44
- だよ。」 彼の肉の落ちた頰には喜悦が昇つてゐた。が、それを見た刹那、私は、彼が意識しないにせよ既に死を感じてゐることをはつきりと知つた。 彼はその後もたびたび子供のことを語つた。そして語る度に彼の顔に和やかな光りがただよ…1キロバイト (10,858 語) - 2019年11月7日 (木) 21:21