鉄道唱歌/北陸篇
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< 鉄道唱歌
北陸地方
車輪 のひびき笛 の聲 みかへる跡 に消 えて行 く上 野 の森 の朝月 夜 田 端 は露 もまださむし見 あぐる岸 は諏訪 の臺 それにつゞきて秋 の夜 は道 灌 山 の虫 のねを こゝまで風 や送 るらん見よ や王 子 の製 紙 塲 はや窓 ちかく來 りたり すきだす紙 の年 にます國 家 の富 もいくばくぞ春 はさくらの飛鳥 山 秋 は紅葉 の瀧 の川 運動 會 の旗 たてゝ かける生 徒 のいさましさ- まもなくきたる
赤羽 は品川 ゆきの乘替 塲 目 白 目 黒 の不 動 へも よれや序 の道 なれば 蕨 すぐれば浦 和 にて その公園 は調 の宮 埼玉縣 の縣 廳 も この地 にこそは置 かれたれ大宮 おりて八 九 町 ゆけば氷 川 の公園 地 園 は螢 に名 も高 く宮 は武 藏 の一 の宮 上 尾 桶川鴻 の巣 に近 き吉 見 の百 穴 は古 代穴居 の人 のあと見 るも學 びの一 つなり吹上 すぎてながめやる熊谷 土手 の花 ざかり次 郎直實生 れたる村 の名 今 につたへたり深 谷 本 庄 神 保 原 左 に雲 のあひだより みゆる秩 父 のふもとなる大宮 までは馬 車 もあり- はや
新町 も倉 賀野 も またゝくひまに行 きすぎて今 ぞ上 州高崎 の繁華 の町 につきにける 町 の東北前橋 へ汽 車 にてゆけば十 五 分 群 馬 縣 廳 所在 の地 上野一 の大 都 會 若 葉 紅 葉 によしときく伊香保 の温泉榛 名 山 高崎 よりは程 ちかし避 暑 にも人 のゆくところ- みわたすかぎり
青々 と若 葉 波 うつ桑 畑 山 のおくまで養蠶 の ひらけしさまの忙 がしさ 線 路 わかれて前橋 の かたにすゝめば織物 と製 絲 のわざに名 も高 き桐 生 足利 とほからず高崎 いでゝ安中 の つぎは磯 部 の温泉 塲 うしろをゆくは碓氷 川 まへに立 てるは妙 義 山 鉾 か劍 か鋸 か獅子 か猛 虎 か荒鷲 か虚 空 に立 てる岩 のさま石門 たかく雲 をつく- あとに
見 かへる松 井田 の松 のみどりもかげきえて はや横川 につきにけり おりよ人々水 のみに - これより
音 にきゝゐたる碓氷 峠 のアブト式 齒 車 つけておりのぼる仕 掛 は外 にたぐひなし - くゞるトン子ル〔ママ〕
二 十六 ともし火 うすく晝 くらし いづれば天 地 うちはれて顏 ふく風 の心 地 よさ 夏 のあつさもわすれゆく旅 のたもとの輕 井 澤 はや信 濃路 のしるしとて見 ゆる淺 間 の夕 煙 - くだる
道 には追分 の原 とよばるゝ廣 野 あり桔 梗 かるかや女郎花 秋 の旅 路 はおもしろや 御代田小 諸 とすぎゆけば左 に來 る千 曲川 立科山 をながれ出 て末 は越 後 の海 に入 る諏訪 の湖 水 をみる人 は大 屋 をおりて和田 峠 こゆれば五里 の道 ぞかし山 には馬 も駕 籠 もあり上 田 をあとに走 りゆく汽 車 は坂 城 に早 つきぬ川 のあなたにながめやる山 は姥捨月 見 堂 田 毎 の月 の風景 も見 てゆかましを秋 ならば雲 をいたゞく冠 著 の山 はひだりにそびえたり屋 代 篠 井 うちすぎて わたる千 曲 と犀川 の間 の土地 をむかしより川中島 と人 はよぶ- こゝに
龍 虎 のたゝかひを いどみし二人 の英雄 も おもへば今 は夢 のあと むせぶは水 の聲 ばかり 長 野 に見 ゆる大寺 は是 ぞしなのゝ善 光 寺 むかし本 田 の善光 が ひろひし佛 なりとかや- こゝにとゞまるひまあらば
戸 隱 山 にのぼり見 ん飯 綱 の原 のほとゝぎす なのる初 音 もきゝがてら 豐 野 と牟禮 と柏 原 ゆけば田 口 は早越 後 軒 まで雪 の降 りつむと きゝし高 田 はこゝなれや雪 にしるしの竿 たてゝ道 をしへしも此 あたり ふゞきの中 にうめらるゝ なやみはいかに冬 の旅 港 にぎはふ直 江津 に つきて見 そむる海 のかほ山 のみなれし目 には又 沖 の白 帆 ぞ珍 しき春 日 新田犀潟 を すぐれば來 る柿崎 の しぶ/\茶 屋 は親鸞 の一 夜 宿 りし跡 と聞 く鉢崎 すぎて米山 の くゞるトン子ル〔ママ〕七 つ八 つ いづれば廣 きわたの原 佐渡 の國 までくまもなし- みわたす
空 の青 海 川 おりては汐 もあみつべし石 油 のいづる柏 崎 これより海 とわかれゆく 安 田 北條來迎 寺 宮内 すぎて長岡 の町 は名 たゝる繁花 の地 製 油 の烟 そらにみつ汽 車 の窓 より西北 に ゆく/\望 む彌 彦山 宮 は國幣中社 にて參詣男女 四時 たえず彌 彦 にゆくは三條 に おりよと人 はをしへたり吾 身 は何 も祈 らねど いのるは君 が御代 のため加茂 には加茂 の宮 ありて木 の間 の鳥 居 いと清 く矢 代 田 驛 の近 くには金 津 の瀧 の音 たかし十一年 の御 幸 の日 かたじけなくも御 車 を とゞめ給 ひし松 かげは今 この里 にさかえたり- もみぢは
新 津 秋 葉 山 櫻 は龜 田 通心 寺 わするな手荷 物傘 鞄 はやこゝなるぞ沼垂 は - おるればわたる
信 濃 川 かゝれる橋 は萬代 の名も 君 が代 とときはにて長 さは四 百 數 十間 川 のかなたは新潟 市 舟 ゆく水 の便 よく わたせる橋 をかぞふれば およそ二 百 もありとかや春 は白山公園 地 一 つににほふ梅 櫻 夏 は凉 しき日 和山 鯛 つる舟 も目 の前 に汽 船 の煙 海 をそめ商 家 の軒 は日 をおほふ げにも五 港 の一 つとて戸 數萬 餘 の大 都 會 新潟港 を舟 出 して海 上 わづか十八 里 佐渡 に名 高 き鑛 山 を見 てかへらんも益 あらん佐渡 には眞野 の山 ふかく順 德院 の御 陵 あり松 ふく風 は身 にしみて袂 しぼらぬ人 もなし波 路 やすけく直 江津 に かへりてきけば越中 の伏 木 にかよふ汽 船 あり いざ乘 りかへて渡 海 せん富 山 は越中繁華 の地 こゝよりおこる鐵道 は加賀 越前 をつらぬきて東海道 にであふなり藥 に名 ある富 山 市 は神通川 の東 岸 はるかに望 む立山 は直 立 九 千 九 百尺 商 業繁華 の高岡 を すぎて福岡 石動 の次 に來 るは津 幡驛 七 尾 にゆかば乘 りかへよ加賀 越中 の境 なる倶梨伽羅 山 は義仲 が五 百 の牛 に火 をつけて平 家 せめたる古 戰 塲 津 幡七 尾 の其 間 すぎゆく驛 は八 九箇 所 邑 智 の潟 の青波 に さをさす舟 も羨 まし七 尾 は能登 の一 都 會 入海 ひろく舟 おほし ちかき輪 倉 の温泉 は町 きよらかに客 たえず津 幡 にかへり乘 りかへて ゆけば金澤 ステーシヨン百 萬石 の城 下 とて さすが賑 ふ町 のさま名 も兼六 の公園 は水戸 岡山 と諸共 に かぞへられたる吾國 の三公園 の其 一つ 柳 みどりに花赤 く おちくる瀧 の水白 し雲 にそびゆる銅像 は西南役 の紀 念 碑 よ第 九師 團 も縣 廳 も皆此町 にあつまりて海 の外 までひゞきたる その産物 は九 谷燒 松任 美 川 うちすぎて わたる手 取 の川上 に雪 を常 磐 の白山 は雲 まにたかく聳 えたり小 松 の北 におとたかく ながるゝ水 は安 宅川 安 宅 の關 は何 くぞと問 はば嵐 やこたふらん折 りたく柴 の動 橋 武士 が帶 びたる大 聖 寺 こゝろ細 呂木 すぎゆけば いろはの金 津 むかへたり三 國 港 の海 に入 る日野 川 こえて福 井 驛 こゝに織り 出 す羽 二 重 は輸 出 の高 も數 千萬 大 土呂 鯖 江 あとにして武 生 鯖波 はしりゆく汽 車 は今 こそ今庄 に つきて燧 の城 も見 つ海 のながめのたぐひなき杉津 をいでてトン子ル〔ママ〕に入 ればあやしやいつのまに日 はくれはてゝ暗 なるぞ敦 賀 はげにもよき港 おりて見 てこん名 どころを氣比 の松原 氣比 の海 官 幣大社 氣比 の宮 身 を勤王 にたふしたる耕雲齋 の碑 をとへば松 の木 かげを指 さして あれと子 供 はをしへたり疋 田 柳 瀬 中 の郷 すぎゆく窓 に仰 ぎ見 る山 は近 江 の賤 が嶽 七本鎗 の名 も高 し豐太閤 の名 をとめし轡 の森 は木 の本 の地 藏 と共 に人 ぞ知 る汽 車 の進 みよ待 てしばし縮緬産 地 の長濱 に いでゝ見 わたす琵琶 の海 大 津 にかよふ小 蒸 汽 は煙 ふきたて人 をまつ驛 夫 の聲 におどろけば眠 はさめて米原 に つきたる汽 車 の速 かさ みかへる伊 吹雲 ふかし- おもへば
汽 車 のできてより狹 くなりたる國 の内 いでし上 野 の道 かへて いざやかへらん新橋 に
- 歌詞
- 曲
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