這言語コノコトバ㆒省會セイクワイ 一遍イツペンセヨ)。聽キかせずば、番直バンチヨクの宿老オトナ 罪ツミとなれ。勅ミコトを聽キきてありて越コえば(犯さば)、勅ミコトの旨ムネに依ヨり、番直バンチヨクを脫ハヅさば、番士バンシは罪ツミとなれ」と勅ミコトありき。
「番直バンチヨクの宿老オトナは、長ヲサとなられたりとのみ云イひて、同等ドウトウに入イりたる我ワが番士バンシを我ワレに相談サウダン 無ナくて勿ナ 責セめそ。法度ハフドを動ウゴカさば、我ワレに吿ツげよ。斬キらしむる理リあるならば、我等ワレラは斬キらしむるぞ。打ウたるゝ理リあるならば、臥フさしめて打ウつぞ。長ヲサとなれりとのみ云イひて、同等ドウトウの我ワが番士バンシを己オノが手足テアシを致イタして笞打ムチウたば、笞シモトの報ムクイに笞シモトを亦マタ、拳コブシの報ムクイに拳コブシを亦マタ 回カヘさん」と宣ノリタマへり。
§228(09:44:10)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
千戶センコより上にある番士バンシ
又マタ 成吉思 合罕チンギス カガン 勅ミコトあるには「外ホカに居ヲる千戶センコの官人クワンニンより我ワが番士バンシは上カミに在アるぞ。外ホカに居ヲる百戶ヒヤクコ 十戶ジツコの官人クワンニンより我ワが番士バンシの家人ケニンは上カミにあるぞ。我ワが番士バンシに、外ホカに居ヲる千戶センコども、同等ドウトウとなりて竝ナラびて、我ワが番土バンシと毆ウち合アはば、千戶センコの人ヒトを罪ツミせん」と勅ミコトありき。
§229(09:45:09)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
箭筒士セントウシ 侍衞ジヱイ 厨官カシハデの勤方
又マタ 成吉思 合罕チンギス カガン 勅ミコトありて、班班クミグミの官人クワンニンどもに勅ミコトを傳ツタふるには「箭筒士セントウシ、侍衞ジヱイ 等ラ、番直バンチヨクに入イりて、晝ヒルの行オコナひを各オノ〳〵その道道ミチミチに行オコナいて、日ヒの光ヒカリあるに宿衞シユクヱイに譲ユヅりて、外ホカに出イでて宿ヤドれ。我等ワレラの處トコロに夜ヨルは宿衞シユクヱイ 宿トマり居ヲれ。箭筒士セントウシは箭筒セントウを、厨官カシハデは器︀皿キベイを宿衞シユクヱイに渡ワタして去サれ。外ホカに宿ヤドれる箭筒士セントウシ、侍衞ジヱイ、厨官カシハデは、我等ワレラ 湯ユを飮ノむまで、聚馬處ウマヨセバに坐スワりて、宿衞シユクヱイに