Page:成吉思汗実録.pdf/166

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​衝​​ツ​きたり。​衝​​ツ​きて​阿赤黑失㖮​​アチクシルン​は、​忽亦勒荅兒​​クイルダル​を​刺​​サ​して​落​​オ​しき。​忙忽惕​​モンクト​どもは​忽亦勒荅兒​​クイルダル​の​上​​ウヘ​に​翻​​カヘ​りき。​主兒扯歹​​ヂユルチエダイ​は、​兀嚕兀惕​​ウルウト​にて​衝​​ツ​きて、​土綿 土別干​​トメン トベゲン​を​敗​​ヤブ​れり。​敗​​ヤブ​りて​動​​ウゴ​かしめて​往​​ユ​く​時​​トキ​、​斡欒 董合亦惕​​オロン ドンガイト​ ​迎​​ムカ​へ​衝​​ツ​きたり。​主兒扯歹​​ヂユルチエダイ​は、​又​​マタ​ ​董合亦惕​​ドンガイト​を​敗​​ヤブ​れり。​敗​​ヤブ​りて​往​​ユ​く​時​​トキ​、​豁哩 失列門 太石​​ゴリ シレムン タイシ​、​千​​セン​の​侍衞​​ジヱイ​にて​衝​​ツ​きたり。​主兒扯歹​​ヂユルチエダイ​、​又​​マタ​ ​豁哩 失列門 太石​​ゴリ シレムン タイシ​を​退​​シリゾ​かしめて​敗​​ヤブ​りて​往​​ユ​く​時​​トキ​、​王罕​​ワンカン​に​相談​​サウダン​も​無​​ナ​く、​桑昆​​サングン​は​迎​​ムカ​へ​衝​​ツ​かんとし、

​桑昆​​サングン​の負傷

​赤​​アカ​き​腮​​ホヽ​を​射​​イ​られて、​桑昆​​サングン​すぐ​其處​​ソコ​に​倒​​タフ​れき。​桑昆​​サングン​を​倒​​タフ​されて​客咧亦惕​​ケレイト​ ​都︀​​スベ​てにて​桑昆​​サングン​の​上​​ウヘ​に​翻​​カヘ​りて​立​​タ​ちたり。​彼等​​カレラ​を​敗​​ヤブ​りて、​落​​オ​つる​日丘​​ヒヲカ​の​上​​ウヘ​に​拍​​ウ​ちつゝある​時​​トキ​、[​主兒扯歹​​ヂユルチエダイ​は、]​我等​​ワレラ​の​軍​​イクサ​に​翻​​カヘ​りて、​忽亦勒荅兒​​クイルダル​を、​倒​​タフ​れたる​傷​​キズ​あるを​伴​​ツ​れ​回​​カヘ​りて、​成吉思 合罕​​チンギス カガン​は、​我等​​ワレラ​の​軍​​イクサ​[を​收​​ヲサ​めて、]​王罕​​ワンカン​より​戰​​タヽカ​へる​地​​トコロ​より​離​​ハナ​れて、​夕​​ユフベ​に​動​​ウゴ​きて​離​​ハナ​れ​宿​​ヤド​れり。


§172(06:11:02)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


大戰の翌朝の​點視︀​​テンシ​

 ​立​​タ​ちて​宿​​ヤド​りて​日​​ヒ​ ​明​​ア​けさせ​點視︀​​テンシ​すれば、​斡闊歹​​オコダイ​、(元史 本紀に、太宗 英文 皇帝、諱は窩闊台、太祖︀の第三子なり)​孛囉忽勒​​ボロクル​、​孛斡兒出​​ボオルチユ​ ​三人​​ミタリ​ ​無​​ナ​かりき。​成吉思 合罕​​チンギス カガン​ ​言​​イ​はく「​斡闊歹​​オコダイ​と​共​​トモ​に​賴​​タヨ​るべき​孛斡兒出​​ボオルチユ​、​孛囉忽勒​​ボロクル​ ​二人​​フタリ​ ​後​​ノチ​に​殘​​ノコ​りき。​生​​ウマ​きても​死​​シ​にても​何​​ナニ​ぞ​離​​ハナ​れん、​彼等​​カレラ​」と​云​​イ​へり。​我等​​ワレラ​の​軍​​イクサ​は、​夜​​ヨル​その​騸馬​​センバ​を​執​​ト​りて​宿​​ヤド​りて、​成吉思 合罕​​チンギス カガン​ ​言​​イ​はく「​我等​​ワレラ​の​後​​ノチ​より​襲​​オソ​ひて​來​​コ​ば、​戰​​タヽカ​はん」とて、​整​​トヽノ​へ