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​成吉思 汗 實錄​​チンギス カン ジツロク​ ​卷​​マキ​の​六​​ロク​。

§170(06:01:02)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


​成吉思 汗​​チンギス カン​の逃げ走り

 かく​言​​イ​はれて、​成吉思 合罕​​チンギス カガン​は、​巴歹​​バダイ​、​乞失里黑​​キシリク​ ​二人​​フタリ​の​言​​コトバ​を​信​​シン​じて、​夜​​ヨル​ ​便​​スナハ​ち ​近處​​キンジヨ​に​居​​ヲ​る​賴​​タヨ​るべき​者︀​​モノ​に​話​​ハナシ​を​爲​​ナ​して、​輕​​カロ​き​何物​​ナニモノ​をも​棄​​ス​てて​遁​​ノガ​れ、​夜​​ヨル​ ​便​​スナハ​ち​動​​ウゴ​きたり。​卯 溫都︀兒​​マウ ウンドル​(惡しき高地。親征錄​莫 運都︀兒 山​​マ ウンドル ザン​)の​陰​​カゲ​に​依​​ヨ​り​動​​ウゴ​くに、​卯 溫都︀兒​​マウ ウンドル​の​陰​​カゲ​にて​兀哴罕​​ウリヤンカン​の​者︀勒篾 豁阿​​ヂエルメ ゴア​に​賴​​タヨ​りて、(者︀勒蔑 豁阿は、卽ち者︀勒篾なり。親征錄 元史​折里麥​​ヂエリメ​。豁阿は、媛なり。者︀勒篾は、何故に媛と號したるか、知らず。)​後方​​シリエ​に​殿​​シンガリ​をなし、​斥候​​モノミ​を​放​​ハナ​ちて​動​​ウゴ​きて、かく​動​​ウゴ​けるに​依​​ヨ​り、​翌日​​アス​の​日​​ヒ​の​內​​ウチ​に​日​​ヒ​ ​傾​​カタム​ける​頃​​コロ​、

​合剌合勒只惕​​カラカルヂト​の沙漠の休息

​合剌合勒只惕 額列惕​​カラカルヂト エレト​に​到​​イタ​りて​憩​​イコ​はんと​下馬​​ゲバ​せり。(この額列惕 卽ち沙漠は、名高き戰場なれども、その處は確ならず。親征錄​合蘭只 之 野​​カランヂ ノ ノ​、また合蘭眞 沙陀。元史 本紀 哈闌眞 沙陀、畏荅兒の傳 哈剌眞。朮赤台の