コンテンツにスキップ

薩哈嗹州派遣軍裁判令/公布時

提供:Wikisource


○薩軍令第七號󠄂

薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍裁判󠄃令左ノ通󠄃定ム

大正九年八月三十日

薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍司令官 兒島惣次󠄄

薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍裁判󠄃令

第一章 

第一條 薩哈嗹軍政部ニ法院ヲ置キ薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍法院ト稱ス

第二條 薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍法院ニ於テハ民事刑事ノ裁判󠄃ヲ掌ル

第三條 薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍法院ニ審判󠄃官ヲ置キ理事ヲ以テ之ニ充ツ

第四條 薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍法院ニ法院長ヲ置キ上級󠄃審判󠄃官ヲ以テ之ニ充ツ

法院長ハ法院ノ一般ノ事務ヲ指揮シ其ノ行政事務ヲ監督ス

第五條 薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍法院ニ書記ヲ置キ錄事ヲ以テ之ニ充ツ

書記ハ審理ニ關スル準備ヲ爲シ法廷󠄄ニ立會ヒ調書ヲ作リ一切ノ訴訟󠄃記錄ヲ整理保管ス

書記ハ前󠄃項ノ外上官ノ指揮ヲ承ケ法院ニ於ケル諸般ノ事務ニ從事ス

第六條 薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍法院ニ憲󠄆兵三人ヲ附屬セシメ民事ニ付テハ判󠄃決及󠄃和解ノ執行假差押、假處分󠄃、書類ノ送󠄃達󠄃等執達󠄃吏󠄄ノ職務ニ屬スル事務、刑事ニ付テハ法廷󠄄ノ警衞書類ノ送󠄃達󠄃、被吿人ノ護送󠄃及󠄃看守ノ事務ヲ取扱󠄃ハシム

遠󠄄隔ノ地ニ於ケル執達󠄃吏󠄄ノ事務ハ最寄ノ地ニ在勤スル憲󠄆兵ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得

第二章 民事裁判󠄃

第七條 民事裁判󠄃ハ薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍占領地域內ニ於ケル民事訴訟󠄃ニ付之ヲ行フ

第八條 民事裁判󠄃權ハ審判󠄃官單獨ニテ之ヲ行フ

第九條 民事訴訟󠄃手續ハ本令ニ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外帝國ノ民事訴訟󠄃法其ノ他ノ法令ニ準據シテ之ヲ行フ

第十條 民事裁判󠄃ニ對シテハ一切抗議ヲ許サス但シ闕席判󠄃決ニ對シテハ故障󠄂ヲ申立ツルコトヲ得

第十一條 審判󠄃官、書記、證人及󠄃鑑定人ハ之ヲ忌避󠄃スルコトヲ得ス

第十二條 法律上代理人ノ外訴訟󠄃代理人及󠄃補佐人ハ之ヲ許サス但シ法院長ニ於テ必要󠄃ト認󠄃ムルトキハ特ニ代理人ヲ許可スルコトヲ得

第十三條 訴訟󠄃費用ハ敗訴者ノ負擔トス

一部敗訴及󠄃和解成󠄃立ノ場合ニハ審判󠄃官其ノ負擔額ヲ定ム

執行費用ハ被執行者ノ負擔トス

第十四條 訴訟󠄃上ノ救助ハ之ヲ許サス

第十五條 審判󠄃官ハ先ツ和解ヲ勸吿シ和解成󠄃立セサルトキハ判󠄃決ヲ爲ス

成󠄃立シタル和解ハ判󠄃決ト同一ノ效力ヲ有ス

第十六條 送󠄃達󠄃ハ審判󠄃官ニ於テ適󠄃宜ノ方法ニ依リ之ヲ爲サシムルコトヲ得

第十七條 期日ノ變更期間ノ伸長及󠄃訴訟󠄃手續ノ休止ハ當事者合意ノ場合ト雖相當ノ理由アルニ非サレハ之ヲ許サス

第十八條 辯論期日ニ當事者双方出頭セサルトキハ訴ヲ取下ケタルモノト看做ス但シ相當ノ理由アルトキハ再ヒ之ヲ受理スルコトヲ得

第十九條 證據調ノ申請󠄃及󠄃其ノ決定ハ口頭辯論前󠄃ト雖之ヲ爲スコトヲ得

第二十條 證據決定中一部ノ證據調ニ依リ結果ヲ得タルトキハ他ノ證據調ヲ省略スル決定ヲ爲スコトヲ得

第二十一條 審判󠄃官ハ檢證事項ニ關シテハ職權ヲ以テ證人ヲ訊問シ又󠄂ハ鑑定ヲ爲サシムルコトヲ得

第二十二條 判󠄃決ハ職權ヲ以テ之ヲ送󠄃達󠄃スルコトヲ得

前󠄃項ノ送󠄃達󠄃ハ判󠄃決ノ正本又󠄂ハ抄本ノ交󠄄付ヲ以テ之ヲ爲ス

第二十三條 判󠄃決ハ直ニ之ヲ執行スルコトヲ得

第二十四條 審判󠄃官ハ必要󠄃ニ應シ强制執行ニ立會ヒ憲󠄆兵ヲ指揮スルコトヲ得

第二十五條 强制執行ハ執行文󠄃ヲ付シタル判󠄃決ノ抄本ニ基キ之ヲ爲スコトヲ得

第二十六條 本案ノ未タ繫屬セサル請󠄃求ニ付假差押、假處分󠄃ヲ爲シタル場合ニ於テハ債權者ハ其ノ執行ヲ爲シタル日ヨリ審判󠄃官ノ定ムル期間內ニ訴ヲ提起󠄃スヘシ

前󠄃項ノ期間ヲ徒過シタルトキハ假差押、假處分󠄃ヲ取消󠄃スコトヲ得

第二十七條 督促手續ニ關スル規定ハ當事者ノ双方又󠄂ハ一方カ帝國臣民ニ非サル者ナル場合ニハ之ヲ適󠄃用セス

第二十八條 民事訴訟󠄃ニハ別ニ定ムル所ニ從ヒ手數料ヲ納󠄃付ス可シ

第三章 刑事裁判󠄃

第二十九條 刑事裁判󠄃ハ薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍占領地域內ニ於ケル軍令違犯事件ニ付之ヲ行フ

第三十條 刑事裁判󠄃權ハ審判󠄃官單獨ニテ之ヲ行フ

第三十一條 刑事裁判󠄃手續ハ本令ニ特則ノ規定アル場合ノ外陸軍治罪法陸軍治罪法執行規則及󠄃薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍治罪特例ニ準據シテ之ヲ行フ

第三十二條 陸軍檢察官及󠄃陸軍檢察ノ權ヲ有スル諸官軍令違犯事件ニ對シテ檢察處分󠄃ヲ爲シタルトキハ具󠄄申書類ヲ薩哈嗹軍政部長ニ送󠄃致ス可シ

第三十三條 軍政部長前󠄃條ノ書類ヲ受ケタルトキハ之ヲ法院ニ交󠄄付ス可シ

第三十四條 軍政部長ノ指示シタル事件ハ判󠄃決書ニ訴訟󠄃書類ヲ添󠄃ヘ同部長ニ差出シ宣吿ニ付薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍司令官ノ認󠄃可ヲ受ク可シ

第三十五條 死刑ノ執行ハ適󠄃宜ノ方法ニ依リ之ヲ爲スコトヲ得

附則

本令ハ公󠄃布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。