聖金口イオアン教訓下/第44講話

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第44講話

<<不和（ふわ）を避（さ）くべし>>

誰（たれ）とも不和（ふわ）あらざらんことをつとめよ、されどもし何（なに）か不和（ふわ）の起（おこ）ることあらば、即日（そくじつ）に和（わ）すべし、けだし不和（ふわ）は二日三日とつゞくときは、直（たゞち）に三日は四日となり、四日は五日となりて、此（こ）の五日は我（われ）等（ら）の為（ため）に不和（ふわ）の日（ひ）の更（さら）にいよ〳〵長（なが）きを生（しょう）ぜん、何（なん）となればいよ〳〵長（なが）くこれを遷延（せんえん）する程（ほど）はいよ〳〵これを耻（は）ぢんとすればなり。さりながら汝（なんぢ）は往（ゆき）て侮（ぶ）辱（じょく）者（しゃ）を接吻（せっぷん）するを耻（はづ）るか。否（いな）、是（こ）れ誉（ほま）れなり、是（こ）れ栄冠（えいかん）なり、是（こ）れ賞讃（しょうさん）なり、是（こ）れ利（り）益（えき）なり、限（かぎ）りなき幸福（こうふく）をみちみつる宝（たから）なり、敵（てき）は自（みづか）ら汝（なんぢ）をうくべく、居（お）る者（もの）は皆（みな）汝（なんぢ）を賞讃（しょうさん）せん、されどもし人々（ひとびと）は汝（なんぢ）を非（ひ）難（なん）することあらんも神（かみ）は必（かなら）ず褒賞（ほうしょう）せん。然（しか）れども若（も）し汝（なんぢ）は彼（かれ）の先（ま）づ来（きた）りて免（ゆる）しを願（ねが）ふを待（ま）つならば、汝（なんぢ）はかゝる利（り）益（えき）を有（ゆう）せざらん、彼（かれ）は賞（しょう）を奪（うば）ふて己（おの）れに祝福（しゅくふく）を得（え）ん、これに反（はん）して汝（なんぢ）は自（みづか）ら往（ゆ）くも、彼（かれ）より下（ひく）くなるにはあらざるなり、却（かへつ）て汝（なんぢ）は神（かみ）に従順（じゅうじゅん）し、己（おの）が生命（いのち）を大（おほい）に望（のぞ）みあるものとなし、不（ふ）平（へい）と騒擾（そうじょう）とより自（みづか）ら免（まぬか）れて、怒（いかり）に克（か）ち、欲（よく）を制（せい）し、大（おほい）なる明哲（めいてつ）をあらはさん。