聖金口イオアン教訓下/第43講話

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第43講話

<<敵（てき）の為（ため）に祷（いの）るべし>>

友（とも）の為（ため）に祷（いの）るは、敵（てき）の為（ため）に祷（いの）るほどの利（り）益（えき）を我（われ）等（ら）にあたへざらん。ハリストスのいひ給（たま）ふをきくべし、曰（いは）く『汝（なんぢ）等（ら）もし唯（たゞ）己（おのれ）を愛（あい）する者（もの）を愛（あい）せば、何（なん）の報賞（むくい）かあらん、税（ぜい）吏（り）も然（しか）するにあらずや』〔マトフェイ五の四十六〕。されば我（われ）等（ら）友（とも）の為（ため）に祷（いの）る時（とき）は、我（われ）等（ら）は未（いま）だ税（ぜい）吏（り）よりまされりとせざるなり、然（しか）れども敵（てき）を愛（あい）して敵（てき）の為（ため）に祷（いの）るならば、人力（じんりょく）によりて神（かみ）に肖（に）る者（もの）とならん、曰（いは）く『然（しか）らば汝（なんぢ）等（ら）天（てん）にいます汝（なんぢ）等（ら）の父（ちち）の子（こ）とならん、彼（かれ）は善人（ぜんにん）と悪人（あくにん）との上（うへ）に其（そ）の日（ひ）を昇（のぼ）し、義者（ぎしゃ）と不義（ふぎ）者（しゃ）との上（うへ）に雨（あめ）を降（ふら）したまふなり』〔マトフェイ五の四十五〕。