聖金口イオアン教訓下/第2講話

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第2講話[編集]

<<かみしょむのえき>>


かみしょ練習れんしゅうするはおだやかなるみなとなり、やぶりがたきしろなり、かた要塞ようさいなり、うばべからざるえいなり、おかしがたき武器ぶきなり、みだされざる安全あんぜんなり、かわらざる快楽かいらくにしてかつことごとくのぜんなることはわれわづかにこれを想像そうぞうすることをん。かれ憂鬱ゆううつふべく、善心ぜんしんまもるべく貧者ひんしゃ富者ふうしゃよりましめて、富者ふうしゃには安然あんぜんしむべく、罪人ざいにんじんとなして、じんをばけんなき避所かくれがたしむべし、らざるところぜんうべく、怨悪うらみにくみふて徳行とくこうかえらしむべし、かつたゞにこれにかえらしむるのみならず、心神上しんしんじょう療方りょうほうとなり、よくめつする神妙しんみょうにしてべからざるうたとなり、徳行とくこう涵養かんようして、堅固不抜けんごふばつなるものとなさん。かれつみ荊棘いばらり、をきよめ、敬虔けいけん種子たねをまきて、果実くだもの成熟せいじゅくせしめん。それ薫物たきもの芳香よきかほりはつするは分量ぶんりょうによるにあらずして、天性てんせいる、かくのごとかみしょわれおほいなるえきしむるはことばおほきがためあらず、たゞ含有がんゆうするところちからによるなり。薫物たきもの自己じこ天性てんせいによりてみづかこうばし、しかれどもこれをとうずるときは、みづからすべてのかいはつするなり、かくのごとかみしょみづかはなはかいなり、しかれどもわれ霊魂たましいとほる時は、あたかこうおつるがごとく、芳香よきかほりぜんたしめん。