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聖金口イオアン教訓下/第11講話

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第11講話

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<<眞実しんじつ詐偽さぎ>>


眞実しんじつよりひかかつつよきものはあるあたはざるなり、これとおなじくたとへかぎりなき手段しゅだんもつおほひかくすといへども、詐偽さぎよりよわきものはあるあたはざらん。けだし詐偽さぎとらふるにやすく、ろんずるにやすし、しかれども眞実しんじつおよんとほつするもの公然こうぜんみづかおのれをあらはせばなり。眞実しんじつはかくるゝをこのまず、あやふきをおそれず、讒言ざんげんにをのゝかず、たみほまれもとめず、その人間にんげんのいかなることにもしたがはされざるなり、かれは千百の讒言ざんげんおちいることももとよりこれあらんしかれどもこれがためにもたれずしてそんし、一切いっさいうえたかたんとす、かれわしものかれそのちからおほいなるをもつまもること、けんなる城壁じょうへきごとし、隠密おんみつにすべき避所かくれがようせず、すべおのれにあるところのものを衆人しゅうじん公然こうぜんとあらはさんとす。