第一「カフィズマ」

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

<聖詠経

第一聖詠

ダワィドの詠
悪人の謀に行かず、罪人の途に立たず、壞亂者の位に坐せずして、
其の心を主の法に置き、晝夜此の法を思念する人は福なり。
彼は水邊に植ゑたる木の、時に及んで果を結び、其の葉萎まざるが如し。凡そ行う所皆遂げざるなし。
悪人は否らず、乃ち塵の地面より風に吹き上げらるるが如し。
故に悪人は審判に立つを得ず、罪人は義人の会に立つを得ざらん。
蓋主は義人の道を知る。悪人の途は滅びん。

第二聖詠

ダワィドの詠
諸民何爲ぞ騒ぎ、諸族何爲ぞ徒に諮るや、
地の諸王興り諸侯相議り主を攻め、其の膏つけられし者を攻む。
其の縄を断ち、其の鎖を棄てんと、
天に居る者は之を嗤ひ、主は彼等を辱かしめん。
其の時憤りて彼等に言い、其の怒りを以て彼等を擾さん。
曰く、我膏を以て我が王をシオン、我の聖山に膏せりと、
我命を宣べん、主我に謂えり、爾は我の子、今爾を生めり。
我に求めよ、我諸民を与えて爾の業となし、地の極を与えて爾の領となさん。
爾鉄杖を以て彼等を撃ち、陶器の如く彼等を砕かんと、
故に諸王や悟れよ、地の士師や学べよ、
畏れて主に勤めよ、戦きて其の前に喜べよ。
子を恭えよ、恐らくは彼怒りて爾等途に亡びん。蓋其の怒り、速やかに起こらん。凡彼を恃む者は福なり。

第三聖詠

ダワィドの詠、其の子アワェサロムを避くる時作る所、
主や我が敵は何ぞ多きや、多くの者は我を攻む、
多くの者は、我が霊を指して彼救いを神に得ずと云う、
然れども、主よ、爾は我を衛るの盾なり、我の榮えなり。爾は我が首を挙ぐ、
我が声を以て主に呼ぶに、主は其の聖山より、我に聴き給う。
我臥し眠り、又覚む、蓋主は我を防ぎ衛ればなり。
環りて我を攻むるの萬民は我懼るるなし。
主や起てよ、吾が神や、我を救い給え。爾は我が諸敵の頬を打ち、悪人の歯を挫けり。
救いは主に依る。爾の降福は爾の民に在り。

光榮讃詞
第四聖詠

伶長に琴を弾いて之を歌わしむ。ダワィドの詠。
吾が義の神や、吾が呼ぶ時、我に聴き給え、我が狭きに在る時、爾我に広きを与えり。我を憐れみ、我の祷を聴き給え。
人の子や、我が榮えの辱しめらるる事、何れの時に至るや、爾等虚しきを好み、偽りを求むる事、何れの時に至るや、
爾等主が其の聖人を分かちて、己に属せしを知れよ、我呼べば主は之を聴く。
怒るも罪を犯す勿れ。床に在る時爾等の心中に謀りて己を鎮めよ。
義の祭りを献げて主を恃めよ、
多くの者は言う、誰か我等に善を示すや、主や爾の顔の光を我等に顕わし給え。
爾の我が心に楽しみを満たすは、我等が餅と酒と油に豊かなる時より勝れり、
我安然として臥し寝ぬ、蓋主や獨爾我に無難にして世を渡るを得せしめ給う。

第五聖詠

伶長に蕭を以て之を和せしむ。ダワィドの詠。
主よ、我が言を聴き、我が思いを悟れ。
我が王我が神や、我が呼ぶ声を聴き納れ給え、我爾に祷ればなり。
主や、晨に我が声を聴き給え、我晨に爾の前に立ちて待たん。
蓋し爾は不法を喜ばざる神なり、悪人は爾に居るを得ず、
不虔の者は爾が目の前に止まらざらん、爾は凡そ不法を行う者を憎む、
爾は偽りを言う者を亡ぼさん、残忍詭譎の者は主之を悪む。
唯我爾が憐の多きに依りて爾の家に入り、爾を畏れて爾が聖堂に伏拝せん。
主や我が敵の爲に我を爾の義に導き、我が前に爾の道を平らかにせよ。
蓋し彼等の口には真実なく、彼等の心は悪逆、彼等の喉は開けん、棺其の舌にて媚び諂う、
神や彼等の罪を定め、彼等に其の謀を以て自ら敗れしめ、彼等が不虔の甚だしきに依りて之を逐い給え、彼等爾に逆らえばなり。
凡そ爾を頼む者は喜びて永く楽しみ、爾は彼等を庇護らん、爾の名を愛する者は爾を以て自らほこらんとす。
蓋主や爾は義人に福を降し、恵みを以て盾の如く之を環らし衛ればなり。

第六聖詠

ダワィドの詠伶長に八弦の琴を以て歌わしむ。
主や爾の憤りを以て我を責むる勿れ、爾の怒りを以て我を罰する勿れ、
主や我を憐れみ給え、我弱ければなり、主や我を癒し給え、我が骸は戦き
我が霊も甚だ戦けばなり、爾主や何れの時に至るや、
主や面を転し、我が霊を免れしめ、爾の憐れみに由りて我を救い給え。
蓋死の中には爾を記憶するなし、墓の中には誰か爾を讃揚せんや、
我嘆きて疲れたり、毎夜我が寝床を滌い、我が涙にて我の褥を潤す、
我が眼は憂いに因りて枯れ、我が諸々の敵に由りて衰老えたり。
凡そ不法を行う者は我を離れよ、蓋主は我が泣く声を聞けり、
主は我が願いを聴き給えり、主は我が祷を納れんとす。
願わくは我が諸々の敵は辱められて痛く撃たれん、願わくは退きて俄に恥を得ん。

光榮讃詞
第七聖詠

悲哀の詠、ダワィドがワェニアミンの族フスの事に因りて主に謳歌せし所なり。
主我が神や我爾を頼む、我を悉くの窘逐者より救うて我を援け給え、
願わくは彼は獅子の如く我が霊を抜き、援け救う者なき時の如く之を擘かざらん。
主我が神や、若し我何事をか爲し、若し我が手に不義あり、
若し我故なく我が敵となりし人をも救いしに、我と親しみある者に悪を報ゆれば、
願わくは敵は我が霊を追うて之を執え、我が生命を地に踏みにじり我が榮えを塵に擲たん。
主や怒りを発して興き、敵の暴虐に向かえよ、我が爲に起て爾が定めし審判を行い給え、
万民爾を環らん、爾其の上の高きに升り給え、
主は衆民を審判す。主や我の義と我の疵なきに従うて我を審判せよ。
願わくは悪者の残害は絶たれん、義人は爾之を固めよ、義なる神や、爾は人の心腹を試むればなり。
我の盾は心正しき者を救うの神にあり、
神は義且つ勇毅にして寛忍なる審判者なり。
又神は人若し反正せざれば、日々に厳しく糺す者なり、彼は其の剱を研ぎ、其の弓を張りて之を向け、
是が爲に死の器を備え、其の矢を以て火矢と爲す。
夫れ悪者は不義を宿し、残害を孕み、己の爲に詐偽を生めり、
落とし穴を掘り、之を掘り終わりて自ら設けし穴に陥れり、
其の残害は其の首に帰り、其の暴虐は其の頂に落ちん、
我主の義に因りて之を崇め讃め、至上なる主の名を讃め歌う。

第八聖詠

伶長にゲフの楽器を以て之を歌わしむ。ダワィドの詠。
主我が神や、爾の名は何ぞ全地に大いなるや、爾の光榮は諸天に超ゆ。
爾は爾が敵の故を以て嬰児と哺乳者の口より讃美を備えたり、敵の仇を報ゆる者とに言葉なからしめん爲なり。
我爾が指の所爲なる諸天を観、爾の建てし月と星を観れば、
則人は何物たる、爾之を憶うや、人の子は何物たる、爾之を顧みるや。
爾彼を天使より少しく降らしめ、彼に光榮と尊敬を冠らせ、
彼を爾が手の造りし者の上に立て、ばんぶつを其の足下に服せしめたり。
即悉くの羊、牛、又野の獣、
天の鳥、海の魚、一切海に泳ぐ者なり。
主我が神や、爾の名は何ぞ全地に大いなるや。

光榮讃詞