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  • 佐兵衛はもう五十ぐらいの独身者(ひとりもの)で、になるといつも疝気に悩んでいる男であった。ほかの二人は伝七(でんしち)と長作(ちょうさく)と云って、これも四十を越した独身者であった。この三人は当の責任者であるだけに、町(ちょう)役人からも厳しく叱
    49キロバイト (10,224 語) - 2020年7月19日 (日) 08:43
  • 「これから出かけると、夜がふけて何かの都合が悪かろう。まあ、あしたにしようぜ。世間のうわさがあんまり騒々(そうぞう)しくなったのと、勝次郎の奴がこの頃だんだんぐらつき出したので、向うでも引っかついで行ってしまったんだろうから、なにも命を取るようなこともあるめえ。種さえあがれば、そんなに慌てなくてもいい」…
    93キロバイト (18,524 語) - 2019年2月27日 (水) 14:50
  • 「道具屋の惣八から聴いた。そいつから惣八にたのんで、惣八から宗匠にたのんで、どこへか金魚を売り込んだことがあるそうだ」 の金魚の一件を聞かされて、松吉は幾たびかうなずいた。 「わかりやした。するとその元吉が宗匠を殺(や)ったんでしょう」 「おめえはそう思うか」 「だって親分」と、松吉は声をひそめた。「そいつの売り込んだ金…
    55キロバイト (11,261 語) - 2022年1月2日 (日) 00:26
  • れてしまったんです。山の手には武家屋敷が多いせいか、そんな噂はあまりきこえませんで、主(おも)に下町をあらして歩いたんですが、なにしろ物騒ですから暗い晩などに外をあるくのも兢々(びくびく)もので、何時(いつ)だしぬけに土手っ腹を抉(え)られるか判
    48キロバイト (9,773 語) - 2019年2月27日 (水) 14:44
  • 半七は長火鉢の前で訊(き)いた。 「いや、実はそれで今夜上がったんですが……。親分、ちょっと聞いてお貰い申してえことがあるんです」 「なんだ。又いつもの法螺熊じゃあねえか」 「どうして、どうして、こればかりは決して法螺のほの字もねえんで……」と、熊蔵はまじめになって膝を揺り出した。「去年の
    49キロバイト (9,748 語) - 2021年8月31日 (火) 23:11
  • って仔細ありげにうろついていた。裏へまわって格子をあけると、狭い沓脱(くつぬぎ)は草履や下駄で埋めれていた。お竹は泣き顔をしてすぐ出て来た。 「おい。何かあったのかい」 「おかみさんが殺されて……」 お竹は声を立てて泣き出した。半七もさすがに呆気(あっけ)に取れた。 「誰に殺されたんだ」…
    51キロバイト (10,308 語) - 2021年8月31日 (火) 23:11
  • 【經】 六年春、鄭人、來り渝《か》へて平《たひ。夏、五月、辛酉《しんいう》、公、齊侯《せいこう》に會し、艾《かい》に盟《ちか》ふ。秋、七月。、宋人、長葛《ちようかつ》を取る。 【傳】 六年(周ノ桓王三年)春、鄭人、來り渝《か》へて平《たひとは、更《あらた》めて平《たひなり。…
    8キロバイト (850 語) - 2018年4月28日 (土) 09:26
  • ← 弁天娘 の金魚 → 『半七捕物帳』(はんしちとりものちょう) 第二巻/山祝いの夜 作者:岡本綺堂 底本:1999年10月10日春陽堂書店発行『半七捕物帳第二巻』 「その頃の箱根(はこね)はまるで違いますよ」 半七老人は天保(てんぽう)版の『道中懐宝図鑑(どうちゅうかいほうずかん)』という小形の本をあけて見せた。…
    34キロバイト (6,872 語) - 2021年12月29日 (水) 13:36
  • れたというので、自分もなんだか気味が悪くなって、四、五日ばかり場所をかえて、青山辺には寄り付かなかったんですが、馴染のない場末は面白くないと見えて、又もや青山辺へ立廻って来たところを庄太に押えたんです。 青山辺を荒した賊は別にあるので、これは又あらた
    74キロバイト (14,859 語) - 2019年2月27日 (水) 14:45
  • らたまごろく)という人で、以前はここらで売卜者(うない)などをしていたが、ひとり娘が容貌(きりょう)望みで砧村(きぬたむら)の豪家の嫁に貰われたので、今では楽隠居のように暮らしていると云うのです。こいつ又、鍋久の二番目を出したなと思いながら、徳次もその日は何げなく帰って来て、あらためて手続きをした上で、召捕りました。…
    82キロバイト (16,562 語) - 2019年2月27日 (水) 14:45
  • 「もうは二十歳(はたち)ぐらいでしょうね」 「左様だそうです。当人はもう少し奉公していたいと云うのを無理に暇を取せて、この春から家へ連れて来たのですが、やはり長し短しで良い婿がいないそうで、いまだに一人でいるようでございます」 「どこに奉公していたんです」…
    60キロバイト (12,073 語) - 2021年8月31日 (火) 23:12
  • 木へ鉛色の椋鳥(むくどり)が何百羽と知れず下りたことから、だんだん霜は鋭くなって来た。 になって尭の肺は疼(いた)んだ。落葉が降り溜(た)まっている井戸端(いどばた)の漆喰(しっくい)へ、洗面のとき吐く痰(たん)は黄緑色からにぶい血の色を出すようになり、時にそれは驚くほど鮮(あざ)やかな紅に冴(さ…
    37キロバイト (7,629 語) - 2021年12月10日 (金) 09:31
  • いだ亡くなった黒沼さんのお屋敷の隣りにいらっしゃるのだ」と、源蔵はあらためて長三郎を紹介した。「お前のお父さんに逢って、なにか訊きたいことがあると云うので、ここへご案内して来たんだが、お父さんがまだ帰ねえじゃあ仕様がねえな」 おはやはり俯向いて黙っていた。藪(やぶ)うぐいすか籠の鶯か、ここでも遠…
    238キロバイト (48,030 語) - 2019年2月27日 (水) 14:39
  • お駒(こま)という女が変死した。それがこのお話の発端(ほったん)です」 お駒はことし二十二の勤め盛りで、眼鼻立ちはまず普通であったが、ほっそりとした痩型(やせがた)の、いかにも姿のいい女で、この伊勢屋では売(うれ)っ妓(こ)のひとりに数えれていた。彼女(かれ)が売っ妓となったのは姿がいいばかりで…
    50キロバイト (10,346 語) - 2019年2月27日 (水) 14:50
  • 「それは判っているが、もうひとりのお客様だ。そのお客は四、五日ぐらい途切れて又来ることがある。きのうは来たんだね」 お千代はやはり黙っていた。 「そうして、日の暮れから出て行って、夜なかに帰って来たかえ。それとも今朝になって帰って来たかえ。なにしろ生魚をむしゃむしゃ食って、その骨を庭のさきなんぞへむやみに捨てれちゃあ困るね」…
    55キロバイト (11,235 語) - 2021年12月13日 (月) 14:27
  • 怪談が付きまとうので、屋敷跡の屯所の築山にも古狐や古猫のたぐいが棲(す)んでいないとは限ない。蠣殻町(かきがちょう)の有馬(ありま)の屋敷の火の見櫓(やぐら)には、一種の怪物が棲んでいたのを火の番の者に生捕れ、それが瓦版(かわらばん)の読売の材料となって、結局は有馬の猫騒動などという飛んでもな…
    67キロバイト (13,250 語) - 2019年2月27日 (水) 14:47
  • 家(うち)に帰って長火鉢の前に坐って、灰を睨みながらじつと考えているうちに、の短い日はもう暮れかかった。半七は早く夕飯を食って、九段の長い坂をもう一度あがって、裏四番町の横町へはいると、どこの屋敷の甍(いか)もゆうれの寒い色に染めれて、呪(のろ)いの伝説をもっている朝顔屋敷の大きな門は空家(あきや…
    49キロバイト (9,828 語) - 2020年7月14日 (火) 14:25
  • 黄醅(くわうばい)緑醑(りよくしよ)(ふゆ)を迎(むか)へて熟(じゆく)し、 絳帳(ほうちやう)紅炉(こうろ)夜(よ)を逐(お)ひて開(ひ)く、 黄醅緑緑醑迎熟。絳帳紅炉逐夜開。戯招諸客 白居易 みるにやばなくきくにうひすなし、 ふのうちのふうくわうはひにむかへる、 看(み)るに野馬(やば)なく聴(き)くに鴬(うひす)なし、…
    324キロバイト (63,686 語) - 2019年11月19日 (火) 14:37
  • 云うまでもなく、この当時の大相撲すなわち勧進相撲は春場所と場所の二回で、場所は十月の末頃から十一月にかけて晴天十日の興行と決まっていた。その場所が終った後で、呼出しの三太は江戸に遊んでいるしかった。彼は半七を見て挨拶した。 「親分、お寒うございます」 「場所はたいそう景気がよかったそうだね」…
    61キロバイト (12,383 語) - 2019年2月27日 (水) 14:39
  • れずに済んだのです」 「お絹は可哀そうでしたね」 「刃物などを振廻したのは悪いに相違ないが、こうなると可哀そうなもので、それでまあ一旦は納まったんですが、五月の末頃になると、重兵衛が下谷の方から古着屋を呼んで来て、娘の夏
    81キロバイト (16,273 語) - 2019年2月27日 (水) 14:46
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