正教要理問答/皇帝の為に捧ぐる祈祷

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皇（くわう）帝（てい）の為に捧ぐる祈祷

主や爾（なんぢ）の民（たみ）を救（すく）ひ爾（なんぢ）の業（げふ）に福（さいはひ）を降（くだ）せ我（わが）皇（くわう）帝（てい）　睦仁（むつひと）に敵（てき）に勝（か）たしめ爾（なんぢ）の十（じふ）字（じ）架（か）にて爾（なんぢ）の住所（すまひ）を護（まも）り給へ

問　是は如何なる祈祷なりや

答　是は十字架の讃（さん）詞（し）と皇（くわう）帝（てい）及び生（しょう）国（こく）の祈祷なり

問　此祈祷を以て我等は如何なることを神に願ひ求むるや

答　神が我等を諸（もろもろ）の不（ふ）幸（かう）艱難（かんなん）より護（まも）りて安（やす）らかに此（この）世（よ）を渡らしめ又我等の皇（くわう）帝（てい）に敵（てき）を滅（ほろ）ぼし反逆（むほん）者（にん）を平（たひら）ぐるの威力（ちから）を與（あた）へ及び其（その）十（じふ）字（じ）架（か）を以て我等の生涯（しゃうがい）を覆（おほ）ひ護（まも）ることを願ひ求むるなり

生者（せいしゃ）の為に捧ぐる祈祷

主（しゅ）よ我（わが）神（しん）父（ぷ）と我（わが）父母（ふぼ）兄弟（きょうだい）姉（し）妹（まい）我（わが）肉身（にくしん）の親類（しんるい）と首長（しゅちょう）と恩者（おんしゃ）と悉（ことごと）くの正教（せいけう）の正教信徒（ハリステアニン）を憐（あはれ）みて救（すく）ひ給へ

問　此祈祷を以て我等は如何なることを神に願ひ求むるや

答　神は我等の父母（ふぼ）、兄弟（きょうだい）、親類（しんるい）、縁者（えんじゃ）、恩人（おんじん）、身（み）上（うへ）の者及び近親（きんしん）の者に此世と後の世の幸福（さいはひ）即（すなは）ち無事（ぶじ）平安（へいあん）壮健（さうけん）及び永遠（えいえん）の救（すく）ひを與（あた）へ給ふことを願ひ求むるなり

死者（ししゃ）の為に捧ぐる祈祷

ハリストスや爾が僕（ぼく）婢（ひ）我等の祖父母（そふぼ）、父母（ふぼ）、兄弟（きょうだい）の霊（たましひ）を諸（しょ）聖人（せいじん）と共に疾（やまひ）も哀（かなしみ）も哭（なげき）も無（な）く唯（た）だ永世（かぎりなきいのち）の在（あ）る處（ところ）に安（やす）んじせしめ給へ

問　我等は此祈祷を以て如何なることを神に願ひ求むるや

答　我等は此祈祷を以て此世を過（す）ぎ去（さ）りたる我等の父母兄弟親属（しんぞく）縁者（えんじゃ）が諸聖人と共に病（やまひ）も哀（かなしみ）も哭（なげき）も無（な）く唯（た）だ終り無き福楽（ふくらく）の在（あ）る處（ところ）に安息（あんそく）することを願ひ求むるなり