整理公債条例

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整理公債条例（せいりこうさいじょうれい）

• 法令番号: 明治19年勅令第66号
• 公布: 1886年（明治19年）10月16日 → 明治19年10月16日官報号外1頁
• 施行: 官報各府県庁到達日数の後7日 → 公文式第10条ないし第12条
• 改正前: 整理公債条例/公布時
• 改正:
  • 整理公債条例中追加ノ件 → 整理公債条例/1888年6月18日発行官報各府県庁到達日数等の後7日施行
  • 整理公債条例中改正ノ件 (明治37年勅令第43号) → 整理公債条例/1904年2月21日施行
  • 整理公債条例中改正ノ件 (明治39年勅令第136号) → 整理公債条例
• 効力: 以下のとおり見解に争い有り。いずれにせよ、国債ニ関スル法律附則第4項及び日本銀行国債事務取扱規程附則第2項により、整理公債条例の規定により滅失又は紛失の届出をした無記名国債証券及びその利札の処分については従前の例によることとされている。
  • 日本法令索引（国立国会図書館）: 有効
  • 法令データ提供システム（総務省又は法務省）: 廃止、失効又は実効性喪失

• 註: 本文中の漢字については、原則字体差を基準に選択した。本文中選択されている漢字の中にはデザイン差であると判断される場合もあるが、字体差とデザイン差の基準が必ずしも明確ではないため、デザイン差が判別でき、かつ技術的に表現できるUnicode（IVSを含む。）の範囲内で文字を選択した。デザイン差が判別できない、又は表現できない字形については、Unicodeにおける標準となる字体を選択した。
• 註: 以下のリストに掲載される漢字はJIS X 0208外の異体字であり、Unicode表のBMP（基本多言語面、0面）が正しく表示できない環境によっては正しく記されない可能性がある。尚U+FA30からU+FA60の文字は、JIS X 0213対応のフォント（IPAフォント等）による記述を行っている。

  • 凡例

    親字 → 異体字 (Unicode番号) ; 異体字の説明。

  • 内 → 內 (U+5167) ; 「人」の部分が「入」となる字形
  • 者 → 者 (U+FA5B) ; 「偖」の旁部分となる字形
  • 毎 → 每 (U+6BCF) ; 「毋」の部分が「母」となる字形
  • 徴 → 徵 (U+5FB5) ; 旁が「澂」の旁部分となる字形
  • 既 → 既 (U+FA42) ; 「漑」の旁部分となる字形
  • 類 → 類 (U+F9D0) ; 「大」の部分が「犬」となる字形
  • 難 → 難 (U+FA68) ; 艸冠が「廿」となり、9画目が上に飛び出る字形
• 註: 異体字セレクタに対応したブラウザ及びフォントを利用することで、以下のリストのとおり原文に近い字体を表現することができます。対応していない場合は、基底となる文字がそのまま表示されます。
  • 朕 → 朕󠄁（U+6715 U+E0101）
  • 公 → 公󠄃（U+516C U+E0103）
  • 爵 → 爵󠄄（U+7235 U+E0104）
  • 博 → 博󠄄（U+535A U+E0104）
  • 文 → 文󠄃（U+6587 U+E0103）
  • 松 → 松󠄃（U+677E U+E0103）
  • 前 → 前󠄃（U+524D U+E0103）
  • 分 → 分󠄃（U+5206 U+E0103）
  • 還 → 還󠄃（U+9084 U+E0103）
  • 便 → 便󠄃（U+4FBF U+E0103）
  • 次 → 次󠄄（U+6B21 U+E0104）
  • 割 → 割󠄅（U+5272 U+E0105）
  • 又 → 又󠄂（U+53C8 U+E0102）
  • 所 → 所󠄃（U+6240 U+E0103）
  • 望 → 望󠄉（U+671B U+E0109）
  • 込 → 込󠄃（U+8FBC U+E0103）
  • 過 → 過󠄃（U+904E U+E0103）
  • 翌 → 翌󠄃（U+7FCC U+E0103）
  • 吏 → 吏󠄄（U+540F U+E0104）
  • 會 → 會󠄃（U+6703 U+E0103）
  • 請 → 請󠄃（U+8ACB U+E0103）
  • 紛 → 紛󠄃（U+7D1B U+E0103）
  • 記 → 記󠄂（U+8A18 U+E0102）
  • 及 → 及󠄃（U+53CA U+E0103）
  • 削 → 削󠄃（U+524A U+E0103）
• 註: 文中、以下の漢字等の字形については、技術的な制限により表現が困難であるため、通常の字形で記載した。
  • 記 ; 「己」が「已」となる字形（参考: グリフウィキ）。ただし第4条を除く。
  • 藤 ; 月の内側が二水となる字形（参考: グリフウィキ）
  • 交 ; [⿳亠儿乂]となる字形（参考: グリフウィキ）
  • 訴 ; 旁の最後の3画が「下」となる字形（参考: グリフウィキ）
  • 條 ; 旁の木が「ホ」となる字形（参考: グリフウィキ）。ただし第10条のみ。
  • 除 ; 8画目が6画目を突き抜ける字形（参考: グリフウィキ）
• 底本: 大蔵省印刷局 [編]『官報』1886年10月16日,日本マイクロ写真,明治19年. 国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/2944223/1/9

朕󠄁整理公󠄃債條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公󠄃布セシム

御名 御璽

明治十九年十月十六日

內閣總理大臣伯爵󠄄伊藤博󠄄文󠄃

大藏大臣伯爵󠄄松󠄃方正義

勅令第六十六號

整理公󠄃債條例

第一條 整理公󠄃債ハ從前󠄃發行ノ六分󠄃以上利附ノ內國債ヲ償還󠄃整理スルカ爲メニ募集スルモノトス

第二條 整理公󠄃債ハ壹億七千五百萬圓ヲ限リ大藏大臣財政ノ便󠄃宜ヲ計リ漸次󠄄之ヲ募集スルモノトス

第三條 整理公󠄃債利子ノ割󠄅合ハ一箇年百分󠄃ノ五トス

第四條 整理公󠄃債ニ對シ發行スル證書ハ無記󠄂名利札附トス但應募者又󠄂ハ所󠄃有者ノ望󠄉ニ由リ記名トスルコトヲ得

第五條 整理公󠄃債證書ノ種類及󠄃樣式ハ大藏大臣之ヲ定メ豫メ告示スヘシ

第六條 整理公󠄃債ヲ募集スルトキハ其總額價格應募申込󠄃日限應募金拂込󠄃度數等ハ大藏大臣之ヲ定メ豫メ告示スヘシ

大藏大臣ハ前󠄃項ノ手續ニ據ラス市場ノ時價ニ準シ整理公󠄃債證書ノ價格ヲ定メ臨時之ヲ發行シテ日本銀行ニ交付スルコトヲ得但發行シタル證書ノ金額及價格ハ大藏大臣其發行ノ翌󠄃日之ヲ告示スヘシ

第七條 整理公󠄃債應募高每期需要ノ額ニ超過󠄃スルトキハ大藏大臣ハ應募價格ノ高キモノヨリ順次󠄄證書ヲ交付シ需要額ニ滿ルニ至テ止ム其價格同シキモノハ申込󠄃ノ高ヲ割󠄅合減少スルモノトス但時宜ニ依リ貳百圓以下ノ應募者ニハ之ヲ減少セサルコトアルヘシ

第八條 整理公󠄃債應募金ノ拂込󠄃ヲ數囘ニ分󠄃ツ場合ニ於テ拂込󠄃期ノ末日マテニ拂込󠄃未濟ノモノアルトキハ其翌󠄃日ヨリ現拂込󠄃ノ日マテ一箇年百分󠄃ノ七ノ割󠄅合ヲ以テ利子ヲ徵收スヘシ

前󠄃項拂込󠄃期日後三箇月ヲ過󠄃キ猶ホ拂込󠄃ヲ爲サ丶ルトキハ公󠄃債證書ヲ交付セス且既ニ拂込󠄃ノ金額ハ還󠄃付セサルモノトス

第九條 整理公󠄃債元金ハ募集ノ年ヨリ五箇年据置其翌󠄃年ヨリ向五十箇年間ニ抽籤法ヲ以テ償還󠄃スルモノトス但償還󠄃金額ハ其時々大藏大臣之ヲ定メ豫メ告示スヘシ

第十條 削󠄃除

第十一條 整理公󠄃債ノ利子ハ每年六月十二月ニ於テ支拂フモノトス

第十二條 整理公󠄃債ノ利子ハ其元金拂込󠄃ノ時月ノ十五日以前󠄃ニ在ルモノハ下半月分󠄃ヨリ支拂ヒ月ノ十六日以後ニ在ルモノハ翌󠄃月分󠄃ヨリ支拂ヒ元金償還󠄃ノ年ニ於テハ其償還󠄃ノ月マテ月割󠄅ヲ以テ支拂ヲモノトス

第十三條 整理公󠄃債證書ノ利札ハ利子請󠄃取ノ時其所󠄃有者各自之ヲ截斷シテ日本銀行本支店又󠄂ハ代理店ニ持參スヘシ

第十四條 整理公󠄃債元利ノ支拂ヲ請󠄃求セサルモノアルトキハ元金ハ償還󠄃ノ月ヨリ滿十五箇年利子ハ支拂ノ期月後滿五箇年ヲ過󠄃クレハ之ヲ支拂ハサルヘシ但證書ノ紛󠄃失汚染及ヒ毀損等ニ由リ元利ノ支拂ヲ見合セ及ヒ訴訟事件ニ由リ請󠄃求ヲ爲シ難キ場合アルトキハ其間ノ日數ヲ算セス