シリヤの聖イサアク全書/第三十九説教

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第39説教[編集]

<<れいぞくする人々ひとびとは、身体しんたいまんじゅんじ、霊界れいかいぞくするものをしきにより幾許いくばくかんすべきか、如何いかにしてそのまんよりうへたかめらるべきか、これよりゆうなるをざるは何故なにゆえなるか、何時いつ如何いかなる方法ほうほうにより、とうとき妄想もうそうなくしてとどまるをべきか。>>


われまへもんひらたまへるしゅ栄光えいこう頌讃しょうさんせらる、ねがはくはかれむか願望がんぼうほか願求がんきゅうわれにあらざらん。けだしあいわれ一切いつさいて、霊魂れいこんかれひとりふて突進とつしんす、ゆゑに霊魂れいこんためしゅ直覚ちょくかくするをがいせんとするおもんばかりはあらず。あいしゃよ、有形物ゆうけいぶつためおもんばかるをて、肉体にくたいためおもんばかると、このおもんばかりためねんするとよりたかまるにじゅんじ、らいのぞみためしんするほど益々ますますせいになりて、とうおい照明しょうめいせられん。しかして肉体にくたい有形的ゆうけいてきれんよりまぬかれてゆうん、しかしてそのおもんばかりれんよりゆうるにしたがひ、照明しょうめいせられ、照明しょうめいせらるゝにしたがひいよ〳〵せいになりて、だいなる有様ありさまゆうするこの概念がいねんよりたかうせられん。其時そのときかみかみごと直覚ちょくかくするをまなぶべくして、われ観察かんさつするごとくなるにはあらざるべし。もしひともくうくるにふるものとならずんば、これ観察かんさつするあたはざるべく、浄潔じょうけつたつせずんば、概念がいねんは、しんなるものを観察かんさつするほど照明しょうめいせらるゝをあたはざるべし。しかしてすべて有形ゆうけい造物ぞうぶつおいところ有形ゆうけいなるものよりまぬかれて、ゆうるにいたまでは、有形ゆうけいなるものにたいする概念がいねんよりもゆうざるべくして、くらまされたるねんよりきよめらるゝものとはならざるべし。ねん暗黒あんこく惑乱わくらんところは、よくところなり。もしひとわれひしごとく、此慾このよくその原因げんいんとよりまぬがれてゆうずんば、しんなるものを洞察どうさつせざるべし。ゆえににしゅ第一だいいちよくになるべきことゝ、擾乱じょうらんよりとほざかりて衆人しゅうじん一般いつぱんなる配慮はいりょよりだつすべきことをめいぜり、へらく、すべ全人間ぜんにんげんとすべておのれにぞくするものとをせず、またおのれをも捨てざる者もんとなるをずと〔ルカ十四の三十三〕。


すべてのものよりがいけざらしめんためると、くと、物体ぶつたいためおもんばかると、その滅却めつきゃくと、増殖ぞうしょくとよりかつひとよりもがいけずして、かみたいする独一どくいつぼうこれ結合けつごうせしめんために、しゅ百般ひゃくはんおもんばかりわれよりとほざけしめたるは、われこれによりて独一どくいつかみ交通こうつうするをねがはじめんためなり。さりながらとうさら練修れんしゅう必要ひつようゆうす、これながつとむるによりてさんためなり。とうわれおもひれんよりだつするよくのち練修れんしゅうもつぱらならんを要求ようきゅうす、なんとなればときひさしきととも練修れんしゅう習慣しゅうかんもとめて、ねん反拒はんきょすべき所以ゆえんり、いづみよりあたはざるものをなが実験じつけんもつまなぶによる。けだしすべ現在げんざい生涯しょうがいその成長せいちょうこれさきだつ生涯しょうがいよりるべく、さきだつものを要求ようきゅうするはのちきたるものをんがためなり。とうさきだつものは遁世的とんせいてき生涯しょうがいにして、遁世的とんせいてき生涯しょうがいとうため必要ひつようなり、しかしてとうそのものはかみあいするのあいわれんがため必要ひつようなり、けだしわれかみあいするの原因げんいんとうもとらるべきによる。


あいしゃよ、われはすべて奥密おうみつおこなはるゝ交通こうつうと、すべてかみことおけ善良ぜんりょうなるさいおもんばかりと、すべて霊神れいしんじょうのことの冥想めいそうとはとうためてられ、とうもつしょうせらるゝことをもらんをようす、たとへばあるい種々しゅじゅ誦経しょうけいはんか、あるいかみ讃栄さんえいするの調しらべなるか、あるいしゅためねんするのかなしみなるか、あるい叩拝こうはいなるか、あるい聖詠せいえいうたふことか、あるいはすべて其外そのほか真実しんじつなるとうのすべてのしきしきせらるゝものと、これよりしてかみあいするあいしょうずるものとは、このもとまとめて一所いつしょにせらるゝことのごとこれなり、けだしあいとうよりしょうじて、とう遁世的とんせいてき生涯しょうがいとどまるよりしょうずるなり。ゆゑにかみあいたいしてだんすることんがためわれ遁世とんせい生涯しょうがい必要ひつようゆうす。さりながら遁世とんせい生涯しょうがいさきだつものはつるなり。けだしひとてずして、ぞくするすべてのものよりかんずんば、退隠たいいんするあたはざるべし。かくのごとくなればつるにさきだつものはさら忍耐にんたいにして、忍耐にんたいさきだつものはいとふなり、しかしていとふにさきだつものはおそれあいとなり。けだしごくおそれこころおどろかすことなく、あい幸福こうふくねがひにみちびかずんば、このいと念慮ねんりょこころおこらざるべし。しかれどもいとはずんば、安息あんそくほかるにざるべくして、こころ忍耐にんたいさきだつあらずんば、荒涼こうりょうてゝたれぢうするあたはざる選択せんたくするあたはざるべし。もし遁世とんせい生涯しょうがいみづから選択せんたくせずんば、とうもつぱらなるあたはざらん。もしかみだんするなく、とうがつせらるゝこの冥想めいそうわれべたるとうしきすべての種類しゅるいとにとどまらずんば、あいかんぜざらん。


ついかみあいするはあい対談たいだんするよりしょうずれども、とうてき冥想めいそう教訓きょうくんとは沈黙ちんもくもつらるべく、沈黙ちんもくよくもつらるべく、よく忍耐にんたい貪心たんしんにくむとをつてらるべくして貪心たんしんにくむはごくおそれ福楽ふくらくのぞみとをもつらるゝなり。貪心たんしん結果けつか貪心たんしんひとなにそなふると、貪心たんしんためひと如何いかなる福楽ふくらくにもるをゆるされざるとをもの貪心たんしんにくまん。かくのごとすべてこうそのさきんずるものと結合けつごうせられ、その成長せいちょうこれよりりて、もつとも高上こうじょうなるものにうつらん。しかるにもし一者いつしゃ自己じこよりひくからばかれのちきたところのものもかたちて顕然けんぜんたるものとなるあたはざるべし、なんとなればすべてはかいかつ絶滅ぜつめつすればなり。これよりじょうことば定限ていげんあり、まいさんすべからず。