と齊等ヒトシナミになりては、踵クビス斡雪格亦耶兒にて壓オして、足掌アシノヒラ斡勒速亦耶兒にて踏フまん」と云イひき。古余克グユク 言イハく「彼等カレラ 箭筒ヤナグヒある嫗オウナどもを、その胸前ムナサキを柴打シバウたん、我等ワレラは彼等カレラを」と云イひき。額勒只吉歹エルヂギダイの子コ 哈兒合孫ハルガスン 言イハく「木キの尾ヲを接ツがん、彼等カレラを(明譯他カレノ 後頭ウナヂニ 接ツガン㆓與 他箇カノヒトツノ 木尾子キノヲヲ㆒)」と云イひき。我等ワレラこそは、別コトなる肝キモある敵テキの民タミの處トコロに出馬シユツバせさせられて、善ヨくか宜ヨロしくかなりになれる(明譯爲タメニ㆔俺每ワレラ 征コトムケタルガ㆓了 這コノ 異種的イシユノ 百姓タミヲ㆒、恐オソル㆔事コト 有アランヲカナヒ㆓合㆑宜
§276(12:31:06)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
巴禿バトの此コの言コトバに、合罕カガン 甚イタく怒イカりて、古余克グユクを見マミえさせずして宣ノリタマはく「この下郞ゲラウ朶兒篾該は、誰タレの言コトバに從シタガ朶魯思古ひてか、兄人アニビト阿合古溫を口一杯クチイツパイ阿蠻都︀兀嗹に言イへる。獨ヒトツの卵タマゴ 腐クサれ(明譯捨スツルコトハ㆓了 你ナンヂヲ㆒如ゴトシ㆑棄スツルガ㆓一鳥卵ヒトツノタマゴヲ㆒)。卽スナハチ 兄人アニビトの胸前ムナサキに逆サカラひたりき。先驅サキガケ阿勒斤赤に放ヤりて、その十トヲ哈兒班の指ユビの爪ツメ 磨盡スリツク哈兀惕荅剌るまで、山ヤマ阿兀剌思の如ゴトき城シロどもに爬登ハヒノボ阿巴哩兀魯牙らしめん。探馬タンマに放ヤ塔勒必りて、その五イツヽ塔奔の指ユビの爪ツメ 剝ハ塔木塔剌ぐるまで、築キヅ荅卜塔馬勒ける堅カタき城シロどもに爬登ハヒノボらしめん、汝ナンヂに。歹アシき下郞ゲラウ 哈兒合孫ハルガスンは、誰タレに學マナびてか我等ワレラの親ミウチを口一杯クチイツパイに大言タイゲン 言イひたりし。古余克グユク 哈兒合孫ハルガスン 二人フタリを共トモに遣ヤらん。哈兒合孫ハルガスンをば斬キらしむべきなりき。偏頗ヘンパしたりと云イはん、汝等ナンヂラ(明譯罪ツミ本モト當ベケレドモ㆑殺︀コロス若モシ殺︀コロシ