(合廸黑里黑の嶺。親征錄哈丁黑 山ハヂンク ザン、元史哈丁里ハヂンリ)の木魯徹 薛兀勒ムルチエ セウル(親征錄 元史莫那察 山モノチヤ ザン、親征錄 また 木奴叉力 之 野、額兒忒曼 木里察克 速兒)に戰タヽカヒひて、脫黑脫阿 別乞トクトア ベキを巴兒忽眞 脫古木バルクヂン トグムに逐オひて、篾兒乞惕メルキトの民タミを虜︀トラへて、彼等カレラのあまたの馬羣バグン 宮室キウシツ 彼等カレラの田禾デンクワ 都︀スベてを取トりて、罕 額赤格カン エチゲに與アタへたるぞ、我ワレ。爾ナムチの飢ウゑたるを日ヒの晝ヒルに至イタらしめざりしぞ。爾ナムチの痩ヤせたるを月ツキの半ナカバに至イタらしめざりしぞ、我ワレ。(親征錄使シム㆘汝饑ナムチヲウヱテ不ズ㆑過スギ㆓日午ヒノヒルヲ㆒、羸ツカレテ不ザラ㆖㆑過スギ㆓月望ツキノモチヲ㆒。)
又マタ 我等ワレラは古出古兒台グチユグルタイ(卷五の古出古惕、乃蠻の分部の名)不亦嚕黑 罕ブイルク カンを兀魯黑塔黑ウルクタクの莎豁黑 兀孫シヨゴク ウスン(莎豁黑の水、卷五の鎖豁黑 兀孫)より阿勒台 山アルタイ ザンを越コえしめ追オひて、兀嚨古 河ウロング ガハに沿シタガひ往ユきて、乞赤勒巴石 納兀兒キチルバシ ナウル(乞赤勒巴石の湖、卷五の乞失勒巴失 納兀兒)に窮キハめて取トりしぞ、我等ワレラ。そこより回カヘりて來キる時トキ、乃蠻ナイマンの闊克薛兀 撒卜喇黑コクセウ サブラク(親征錄曲薛吾 撒八剌コクセウ サバラ)、拜荅喇黑 別勒赤兒バイダラク ベルチル(拜荅喇黑の河股)に軍イクサを整トヽノへて對陣タイヂンしたる時トキ、夕暮ユフグレになられて、明日アスの朝アサ 戰タヽカはんとて、整トヽノへ合アひて宿ヤドれば、我ワが罕 額赤格カン エチゲ、爾ナムチは、その陣處ヂンシヨに火ヒを燒ヤかせて、夜ヨル 合喇 薛兀勒 河カラ セウル ガハに、泝サカノボりて動ウゴきたるぞ、爾ナムチ。明日アスの朝アサ 見ミれば、その陣處ヂンシヨに無ナく爲ナられ、爾ナムチに動ウゴかれて、「此等コレラは、我等ワレラを燒飯︀ヤキメシとしけり」と云イひて、我ワレも動ウゴきて、額迭兒 阿勒台エデル アルタイの汭カハマタにて渡ワタりて來キて、撒阿里 客額兒サアリ ケエルに下馬ゲバしたるぞ。
そこに爾ナムチを可克薛兀 撒卜喇黑コクセウ サブラクは襲オソひて、桑昆サングンの妻子ツマコ 人民ジンミン 住具ヂウグ 都︀スベてを取トり、罕 額赤格カン エチゲの爾ナムチ