通俗正教教話/十誡の第三誡命
▼十誡 の第三 誡命
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汝 主 爾 の神 の名 を妄 に口 に称 ふる勿 れ>>
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問 神様の
- 答 神様の
御名 を妄 に称 へると申 しまするのは何 も必要 もないのに神様 々々と神 の名 を口 にし或 は故意 と人 を詐 る為 に神様の名 を籍 りたり兎 に角 少 しも謹慎 の心 なく神様の名 を口 にすることを神様の名 を妄 りに称 へると申 すので御座います。
問 神様の
- 答
其内 には第一に神様の旨 に逆 ったり又 は神様を辱 むる様 な事 を言 ふこと、第二には神様を怨 むこと、第三には神様を祭 る時 に用 いる聖品物 を少 しも敬 はず此 を玩具 にしたり是 を穢 したりすること、第四は祈 祷 を虚 の空 で行 ふこと、第五は偽 の誓 を立 つること、第六は誓 を立 てながら其 誓 を実行 しないこと、第七は神様の前 に誓 った約束 を破 ること、第八は詰 らぬことに直 ぐ誓 をなすこと等 が含 って居 るので御座います。
問
- 答 御座います
即 ち馬太 の福音書 の中 に主 が申 された言 が御座います『我 爾 等 に告 ぐ一切 誓 ふ勿 れ、爾 等 の言 は是是 、否否 たるべし之 に過 ぐる者 は悪 よりするなり』(馬太五の三十四、三十七)
問
- 答
否 其 うでは御座いません、公 の事 に誓 を立 つることは少 しも悪 くない許 りでなく若 し正 しい心 を以 て誓 を立 つるならば世 の中 は其 誓 によって争 がなくなるので御座いますから大変 利益 になるので御座います、聖書 の中 に聖 使徒 パエルが申 して居 りますには『人 は己 より大 なる者 を指 して誓 ふ且 つ事 を確証 する誓 は彼 等 の凡 の争論 を息 む故 に神 も許約 を嗣 ぐ者 に己 の旨 の易 らざるを更 に明 に示 さんと欲 して別 に誓 を立 てたり』(エウレイ六の十六、十七)して見 ますれば公 の事 に誓 を立 てることは決 して悪 いことでは御座いませぬ。
▼十誡 の第四 誡命
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安息 日 を憶 えて之 を聖潔 すべし六 日 の間 は労 きて汝 の一切 の業 を為 すべし七 日 は主 ・汝 の神 の安息 日 なれば其 日 には何 の業務 をも為 す可 らず>>
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問
- 答
其 は七 日目 は主 が世 界 を全 くお創 りになって其 手 をお休 めになった日 で御座いますから『主 の日 』と特 に申 すので御座います、神様は実 に六 日 の間 其 手 を御 働 せになって世 界 をお創 りになり七 日目 の日 は其 業 を全 く終 って御 休 みになったので御座います。
問
- 答
左 様 で御座います、併 し素 と私 共 の教会は古 の旧約 教会 とは全 く異 つた新 しい新約 の教会 で御座いますから敢 て昔 の教会 が安息 日 を祭 った様 な意味 で此 日 を祭 るのでは御座いませぬ、此 日 を私 共 の教会 が祭 りまするのは只 神様が世 界 の創造 を御 終 りになったことを記 憶 すると共 に古 の祭 を後世迄 傳 へる為 に祭 りまするので、私 共 新約 教会 の信 徒 の為 には此 安息 日 (今日 の土曜日)よりも尚 尊 き主 の御 復 活 の日 (日曜日)が有 ります、此 日 こそ私 共 が最 も熱心 に安息 日 に換 へて大 に祭 らなければならぬ日 で御座います。
問
- 答
其 は前 にも申 しました通 り私 共 の教会 では古 の旧約 教会 の様 に七 日 の終 の日 即 ち今 の土 曜 日 を祭 らず七 日 の首 の日 即 ち今 の日曜 日 を祭 り古 の祭 を畢竟 一日 送 ったので御座います。
問
- 答
主 が御 復 活 なさった時 からの事 で御座います。
問
- 答
記 して御座います先 づ聖 使徒 行 実 の内 には主 の門 徒等 が聖体 機 密 を行 って主 の御 苦 みを記 憶 する為 に復 活 日 に集 ったことを記 して斯 う申 して御座います『七 日 の首 の日 門 徒 が餅 を擘 く為 に集 り云々 』(二十の七)又 黙 示 録 に『主 の日 に箛 の如 き大 なる声 を聞 けり』(一の十)と記 して御座います、『主 の日 』とは主 の御 復 活 の日 を指 したもので御座います。
問
- 答
否 、矢張 関 係 して居 るので御座います昔 の旧約 教 会 では只 七 日目 の土 曜 日 の日 許 りでなく他 の祝 日 及 び大 斎 の日 をも安息 日 と申 して其 日 を慎 むべきことを誡 めて居 りましたが、丁 度 其 と同 じく私 共 新約 教会に於 きましても矢張 り只 主 の復 活 日 許 りでなく生 神 女 マリヤ及 び諸聖人 を祭 る為 に定 められた紀 念 日 にも慎 むことを命 じて居 るので御座います、で御座いますから十誡 の第四誡命 は只 主 の日 許 りでなく諸聖人 の日 にも関 係 して居 るので御座います。
問
- 答
其 は私 共 の救 の為 に人体 を取 り給 ひし神 の子 イイスス ハリストスの御事 跡 を紀 念 する祭 と、其 神 の子 が身 をお籍 りになった聖 母 マリヤの御事 跡 を紀 念 する御 祭 で御座います、茲 に順 序 を追 ふて其 祭 を述 べて見 ませうならば、 - ▲第一
生 神 女 誕 生 祭 之 は聖 母 マリヤの御 生 れになった日 を紀 念 する祭 で御座います - ▲第二
生 神 女 進堂 祭 是 は聖 母 が神様の宮 に献 ぜられたことを紀 念 する祭 で御座います - ▲第三
生 神 女 福音 祭 是 は聖 母 が神 の使 から神 の御子 が聖 母 の体 に懐妊 なさる御 告 をお受 になったことを紀 念 した日 で御座います - ▲第四
主 の降誕 祭 是 は主 の母 マリヤが神 の子 なるイイスス ハリストスをお生 みなさった日 を紀 念 したもので御座います - ▲第五
主 の洗礼 祭 聖三者 祭 此 は聖 母 から御 誕 生 なさった主 イイスス ハリストスが先 駆 預 言 者 イオアンから洗礼 をお受 けになり、聖三者 が御 顕 になったことを紀 念 する日 で御座います - ▲第六
主 の進堂 祭 之 は聖 母 が主 を携 れて神 の宮 に其 当時 の風 に従 って宮詣 でに御出 でになった日 を紀 念 したもので御座います - ▲第七
主 の変容 祭 是 は主 が其門 徒 なるペトル ヤコフ イオアンに己 の栄 を御 示 になる為 ハオル山 に於 てお姿 をお変 へになった日 を紀 念 した祭 で御座います - ▲第八
聖 枝 祭 是 は主 が十 字架 にお懸 りになる一週間前 に厳 かにエルサリム城 にお入 りになり人民 が手 に枝 を持 って主 をお迎 へした日 で御座います - ▲第九
主 の復 活 祭 是 は主 が私 共 の救 の為 に十 字架 にお懸 りになり三日目に死 より復生 って私 共 の救贖 を御立 てになった日 で私 共 が尤 も祝 ひ楽 むべきお祭 で御座います - ▲第十
主 の昇 天 祭 是 は主 が御 復 活 の後 四十日目に天 にお昇 りになった日 で御座います - ▲第十一
五 旬 祭 是 は主 の御 昇 天 の後 十日目に聖神 が門 徒 の上 に降 ったことを紀 念 し至 聖三者 を讃 め揚 ぐる日 で御座います - ▲第十二
十 字架 挙栄 祭 之 はギリシヤ国 の聖 皇 后 エレナが主 のお懸 りになった十 字 架 を発見 した日 を紀 念 したお祭 で御座います - ▲第十三
聖 母 就寝 祭 是 は生 神 母 マリヤの御薨去 になった日 を紀 念 した祭 で御座います
問 教会には
- 答
其 は四 旬 大斎 と申 しまして主 イイスス ハリストスが四十日間 斎 をなさいました例 に倣 ひまして四十日の間 続 く斎 で御座います此 斎 は毎年 主 の御 復 活 祭 の前 に御座 いまして、主 が種々 のお苦 をお忍 びになった苦 の一週間に行 ふ所 の七 日 の厳 しき斎 と合 せて四十七日の斎 を教会では実行 して居 ります。
問
- 答 水曜日に
斎 をしまするのは我主 イイススが苦 に御 付 されになったことを思 出 す為 で金曜日は其 苦 難 と死 とを紀 念 する為 で御座います。
問
- 答
此 二 のお祭 の前 に在 る斎 は主 の御 誕 生 と聖 母 の御 寝 りを敬 ひ心 を清 くして此 御 祭 を迎 へるが為 に設 けたもので御座いまして、後 の使徒 の祭 の前 の斎 は聖 使徒 の神 の教 を伝道 した事 跡 を想 ひ出 し、彼 等 の行 に倣 ふ為 に設 けたもので御座います。
問
- 答
其 は神様の日 なる第 七 日目 には俗 なる仕 事 をなさず常 に此 日 を慎 んで清 い仕 事 に其 日 を献 ずる様 にしなければなりませぬ。
問
- 答
例 へば聖堂 に行 って祈 祷 に與 って神様の御 教 を聞 いたり、家 に居 ては霊 の益 になるやうな書 を読 んだり又 は美 しい話 をしたり、そして教会の為 、教会に務 めて居 る者 の為 め或 は病 気 で困 って居 る者 や貧 しい人 の為 に金品 を惠 んだり又 は彼 等 を慰 むることで御座います。
問
- 答
否 、其様 なことは御座 いません残 の六 日 とても出来 る丈 け善 い行 をなし力 めて徳 を積 むやうにしなければなりませぬ、私 共 神様を信 じて居 る者 は必 ず毎朝夕 神様に祈 祷 を献 げ何事 をなすにも人 の為 め神様の栄 を現 はすと謂 ふ心 掛 を以 てしなければなりませぬ。
問 神様の
- 答
其 は無 論 大罪悪 で御座います其様 な行 は常 の日 でさへ甚 だ善 くない行 で御座 いますものを况 して主 の日 などに其様 な行 をなせば赦 すべからざることで御座います。
問
- 答
其様 な者 は無 論 十誡 の此 第 四 誡命 に悖 って居 ります、何故 かと申 しますれば神様は其 誡 の内 に於 て『六 日 の間 は労 きて汝 の一切 の業 をなすべし』と申 して人 は六 日 間 は一 生 懸命 に働 かなければならぬものと教 へて有 るので御座います。