聖金口イオアン教訓下/第18講話

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第18講話[編集]

<<現生げんせいおい邪悪じゃあくなるひと情況じょうきょう>>


かんにはなまりてつぎんきんまた宝石ほうせきわれにみな一様いちようゆるならん、けだしこれもの判別はんべつするがためひかりらざるによる、かくのごとけつなる生涯しょうがいおくひと貞潔ていけつたかきも、てつも、さとざるなり。けだしがいひしごと宝石ほうせき暗中くらがりにありてそのをあらはさゞるは、其物そのもの自己じこによるにあらずして、暗中くらがりにありてもの不知ふちによる。さりながらわれ罪中ざいちゅうときは、われおよぶものは、たゞいつこうのみにあらざるなり、われとうさらまただんおそれうちらん。げつみちをゆくものなにおそろしきものゝあらざるにかゝはらず、おそれをおぼゆるがごとく、罪人ざいにんもかくのごとし、たれかれめずといへども、ゆうなることあたはざらん、いなかれ良心りょうしんまるゝをおぼえて、すべてをおそれてまわし、すべてに戦慄せんりつせん。さればかくのごとくるしき生涯しょうがいのがれん。かくごとくるしみののちまたしたがつきたるものはなり、不死ふしなり。