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禮記/玉藻


天子玉藻,十有二旒,前後邃延,龍卷以祭。玄端而朝日於東門之外,聽朔於南門之外,閏月則闔門左扉,立於其中。皮弁以日視朝,遂以食,日中而餕,奏而食。日少牢,朔月大牢;五飲:上水、漿、酒、醴、酏。卒食,玄端而居。動則左史書之,言則右史書之,御瞽几聲之上下。年不順成,則天子素服,乘素車,食無樂。諸侯玄端以祭,裨冕以朝,皮弁以聽朔於大廟,朝服以日視朝於內朝。朝,辨色始入。君日出而視之,退適路寢,聽政,使人視大夫,大夫退,然後適小寢寢,釋服。又朝服以食,特牲三俎祭肺,夕深衣,祭牢肉,朔月少牢,五俎四簋,子卯稷食菜羹,夫人與君同庖。

〈訳:NDLJP:1118535/169 天子は玉藻ぎよくさう、十有二りう前後ぜんごえんふかくして、龍卷りようこんして以て祭る。玄端げんたんして東門とうもんほかてうし、さく南門なんもんほかく。閏月じゆんげつには則ち門の左扉さひぢて、其うち に立つ。皮弁ひべんして以て日にてうつひに以てしよくし、日中につちうにしてしゆんし、奏して食 す。日に少牢せうらう朔月さくげつには大牢たいらう五飮ごいんは水を上にして、漿しやうしゅれいあり。食を へて、玄端げんたんして居る。うごけば則ち左史さし之を書し、言へば則ち右史うし之を書す、ぎよ せい上下しやうかあきらかにす。とし順成じゆんせいならざれば、則ち天子素服そふくして、素車そしやに乘り、 食ふに樂なし。諸侯は玄端げんたんして以て祭り、裨冕ひべんして以ててうし、皮弁ひべんして以て朔 を大廟たいべうき、朝服てうふくして以て日〻ひゞ朝を内朝ないてうる。てうには色をべんじて始めて入り、 君は日出でて之を、退きて路寢ろしんまつりごとを聽く、人をして大夫を視しむ。 大夫退きて、然る後に小寢せうしんきてふくく。又朝服てうふくして以て食す。特牲とくせいあ り、はいまつり、夕に深衣しんいして牢肉らうにくを祭る、朔月さくげつには少牢せうらう、五(判読困難)あり、子卯しばう稷食しよくし菜羹さいかうをす。夫人は君とはうを同じくす。〉

君無故不殺牛,大夫無故不殺羊,士無故不殺犬、豕。君子遠庖廚,凡有血氣之類,弗身踐也。至於八月不雨,君不舉。年不順成,君衣布搢本,關梁不租,山澤列而不賦,土功不興,大夫不得造車馬。卜人定龜,史定墨,君定體。君羔幦虎犆;大夫齊車,鹿幦豹犆,朝車;士齊車,鹿幦豹犆。君子之居恒當戶,寢恒東首。若有疾風迅雷甚雨,則必變,雖夜必興,衣服冠而坐。日五盥,沐稷而靧粱,櫛用椫櫛,發曦用象櫛,進禨進羞,工乃升歌。浴用二巾,上絺下绤,出杅,履蒯席,連用湯,履蒲席,衣布曦身,乃屨進飲。將適公所,宿齊戒,居外寢,沐浴,史進象笏,書思對命;既服,習容觀玉聲,乃出,揖私朝,輝如也,登車則有光矣。天子搢挺,方正於天下也,諸侯荼,前詘後直,讓於天子也,大夫前詘後詘,無所不讓也。

〈君故無ければうしころさず。大故ママ 故無ければひつじころさず。士故無ければけんころさず。君子は庖廚はうちうとほざく。凡 そ血氣けつきあるのるゐ身をころさざるなり。八月に至りてあめふらざれば、君げず。としじゆん せいならざれば、君ぬのほんさしはさみ、關梁くわんりやうせず、山澤さんたくれつしてせず、土功どこうおこ さず、大夫たいふ車馬しやばつくるを得ず。卜人ぼくじんさだめ、ぼくを定め、君、たいさだむ。 君は羔幦かうへきこちよく大夫たいふ齊車さいしやは、鹿幦ろくへきへうちよく朝車てうしやと士の齊車さいしやとは、鹿幦ろくへきへうちよくNDLJP:1118535/170 君子の居はつねに當り、しんつね東首とうしゆす、若し疾風しつぷう迅雷じんらい甚雨じんうあれば、則ち必 ずへんず、夜と雖も必ずき、服をくわんしてす。日に五たびてあらふ、しよくもく してりやうママくわいす、くし樿櫛てんしつを用ひ、はつかわけば象櫛やうしつを用ひ、すゝしうを進む。こう 乃ち升歌しようかす。よく二巾にきんを用ふ。上はしもげきを出でて蒯席くわいせきみ、あらふに湯を用ふ。蒲席ほせきみ、ぬの、身をかわかし、乃ちき、いんを進む。將に公の所に かんとすれば、宿あらかじ齊戒さいかいして外寢ぐわいしんり、沐浴もくよくす。象笏しやうそうを進む。たいめいを書す。既に服して、容觀ようくわん玉聲ぎよくせいを習ふ、乃ち出づ。私朝してういふすること輝如きじよた り、しやのぼれば則ちひかりあり。天子はていさしはさむ、天下に方正はうせいするなり。諸侯 はじよをす、前にくつしりへちよく、天子にゆづるなり。大夫は前もくつしりへくつす、讓 らざる所無きなり。〉

侍坐,則必退席;不退,則必引而去君之黨。登席不由前,為躐席。徒坐不盡席尺,讀書,食,則齊,豆去席尺。若賜之食而君客之,則命之祭,然後祭;先飯辯嘗羞,飲而俟。若有嘗羞者,則俟君之食,然後食,飯,飲而俟。君命之羞,羞近者,命之品嘗之,然後唯所欲。凡嘗遠食,必順近食。君未覆手,不敢飧;君既食,又飯飧,飯飧者,三飯也。君既徹,執飯與醬,乃出,授從者。凡侑食,不盡食;食於人不飽。唯水漿不祭,若祭為已儕卑。君若賜之爵,則越席再拜稽首受,登席祭之,飲卒爵而俟君卒爵,然後授虛爵。君子之飲酒也,受一爵而色灑如也,二爵而言言斯,禮已三爵而油油以退,退則坐取屨,隱辟而後屨,坐左納右,坐右納左。凡尊必上玄酒,唯君面尊,唯饗野人皆酒,大夫側尊用棜,士側尊用禁。

侍坐じざするときは則ち必ず席を退く、退かざれば則ち必ず引 きて、君のたうを去る。席に登るには、前よりせず、席をまんが爲めなり。徒坐とざ すれば席をつくさざることせきしよを讀み食するときは則ちひとしくす。とうは席を去 ることせき。若し之に食をたまひて、君之をかくとせば、則ち之にまつれと命じて、然 る後に祭る。先づはんし、あまねしうめ、飮んでつ、若ししうむる者あれば、 則ち君のくらふをちて、然る後に食ふ、いんくらつてつ、君之にしうめいずれば、 近き者をしうす、之にひんめいずれば之をむ、然る後にたゞほつする所のまゝにす。凡 そ遠食ゑんしよくむるには、必ず近食きんしよくしたがふ、君未だ手をおほはざれば、敢てそんせず、 君食をふるときは、又そんくらふ。そんくらふ者は三ぱんなり。君既にてつすれば、 はんしやうとをりて、乃ち出でて從者じゆうしやに授く。凡そすゝめ食するときはことごとく食 はず、人に食ふときはかず。唯水漿すゐしやうは祭らず。若し祭ればはなは難読けふひなりと爲 す。 NDLJP:1118535/172 君若し之にしやくたまはば、則ちせきえて再拜さいはい稽首けいしゆして受け、席に登りて之を祭 り、飮みてしやくへて君のしやくふるをつ、然る後に虚爵きよしやくを授く。君子の さけを飮むや、一しやくを受けて、色洒如せんじよたり、二しやくして言言ぎんぎんとしてこのれいむ、三爵 にして油油いういうとして、以て退く。退けば則ちしてくつを取り、隱辟いんべきして而してのちママ く、左をして右をれ、右を坐して左をる。凡そそんは必ず玄酒げんしゆうへにす。 唯君はそんめんす。唯野人やじんきやうするには皆酒をもてす。大夫の側尊そくそんにはもちひ て、側尊そくそんは、きんを用ふ。〉

始冠,緇布冠,自諸侯下達,冠而敝之可也。玄冠朱組纓,天子之冠也。緇布冠繢緌,諸侯之冠也。玄冠丹組纓,諸侯之齊冠也。玄冠綦組纓,士之齊冠也。縞冠玄武,子姓之冠也。縞冠素紕,既祥之冠也。垂緌五寸,惰游之士也,玄冠縞武,不齒之服也。居冠屬武,自天子下達,有事然後緌。五十不散送,親沒不髦,大帛不緌。衣冠紫緌,自魯桓公始也。

〈始めてくわんするときは緇布しふくわんとす、諸侯より たつす。くわんして之をててなり。玄冠げんくわん朱組しゆそえいは天子の冠なり。緇布しふくわんくわい すゐは、諸侯のくわんなり。玄冠げんくわん丹組たんそえいは、諸侯の齊冠さいくわんなり。玄冠げんくわん綦組きそえいは、 士の齊冠さいくわんなり。縞冠かうくわん玄武げんぶ子姓しせいの冠なり。縞冠かうくわん素紕そひは、既祥きしやうの冠なり。垂綏すゐすゐ 五寸ごすんなるは、惰游だいうの士なり。玄冠げんくわん縞武かうぶは、よはひせざるもののふくなり。居冠は武を しよくす、天子より下達かたつす。事ありて然る後にすゐママす。五十は散送さんそうせず、しんほつすれば ばうせず、大帛たいはくすゐママせず、玄冠げんくわん紫綏しすゐママは、桓公くわんこうよりはじまるなり。〉

朝玄端,夕深衣。深衣三袪,縫齊倍要,衽當旁,袂可以回肘。長中繼掩尺。袷二寸,祛尺二寸,緣廣寸半。以帛裹布,非禮也。士不衣織,無君者不貳采。衣正色,裳間色。非列采不入公門,振絺绤不入公門,表裘不入公門,襲裘不入公門。纊為繭,缊為袍,褝為絅,帛為褶。朝服之以縞也,自季康子始也。孔子曰:「朝服而朝,卒朔然後服之。」曰:「國家未道,則不充其服焉。」唯君有黼裘以誓省,大裘非古也。君衣狐白裘,錦衣以裼之。君之右虎裘,厥左狼裘。士不衣狐白。君子狐青裘豹褎,玄綃衣以裼之;麑裘青豻褎,絞衣以裼之;羔裘豹飾,緇衣以裼之;狐裘,黃衣以裼之。錦衣狐裘,諸侯之服也。犬羊之裘不裼,不文飾也不裼。裘之裼也,見美也。吊則襲,不盡飾也;君在則裼,盡飾也。服之襲也,充美也,是故尸襲,執玉龜襲,無事則裼,弗敢充也。

てうには玄端げんたんせき には深衣しんい深衣しんいそでを三にす、すそふはこしばいす、えりかたはらに當り、袂は以て ひぢめぐる可くす。ちやうちうとはふことせきくびは二寸、そでは尺二寸、へりの廣 さは寸半すんはんきぬを以てぬのうらするは禮に非ざるなり。士はしよくず。君なき 者はさいを貳にせず。正色せいしよくしやう間色かんしよく列采れつさいに非ざれば、公門こうもんに入らず、ひとへ絺綌ちげきしては公門こうもんに入らず。表裘へうきうしては公門に入らず。襲裘しふきうしては公門に入らず くわうけんとなし、うんはうとなし、たんけいとなし、はくてふとなす。朝服てうふくかうを 以てすることは、季康子きかうしよりはじまるなり。孔子曰く、朝服てうふくしててうす。さくへて 然る後に之を服す、曰く、國家未だ道あらざれば、則ち其ふくさず。 NDLJP:1118535/173 唯君は黼裘ほきうして以てせいせんとちかふあり、大裘たいきういにしへに非ざるなり。君、狐白こはく きうるときは、錦衣きんい以て之にせきす、君の右は虎裘こきうの左は狼裘らうきう、士は狐白こはくず。君子は狐青裘こせいきうにはへうそでをし、玄綃衣げんせうい以て之にせきす。麛裘べいきうには青豻せいかんそでを し、絞衣かうい以て之にせきす。羔裘かうきうにはへうかざりをし、緇衣しい以て之に裼す。狐裘こきうにはくわう 以て之にせきす。錦衣きんい狐裘こきうは、諸侯のママなり。犬羊けんやうきうにはせきせず。文飾ぶんしよくせざ ればせきせず。きうせきするは、あらはすなり、てうするときは則ちしふす。かざりつくさ ざるなり。君いませば則ちせきす。飾を盡すなり。服のしふするは、おほふなり。是 故にしふす。玉龜ぎよくきれば襲す、事無ければ則ちせきす、敢ておほはざるなり。〉

笏:天子以球玉;諸侯以象;大夫以魚須文竹;士竹本,象可也。見於天子與射,無說笏,入大廟說笏,非古也。小功不說笏,當事免則說之。既搢必盥,雖有執於朝,弗有盥矣。凡有指畫於君前,用笏造,受命於君前,則書於笏,笏畢用也,因飾焉。笏度二尺有六寸,其中博三寸,其殺六分而去一。

こつは天子は球玉きうぎよくを以てし、諸侯はしやうを以てし、大夫は魚須ぎよすうを以てたけかざり、士 は竹本ちくほんをもてす、しやうも可なり。天子にまみゆるとしやとには、こつぐこと無し。 大廟たいべうりてこつくは、禮に非ざるなり。小功せうこうにはこつかず、事に當りて ぶんすれば則ち之を説く。既にさしはさめば必ずてあらふ、てうるありと雖も、また てあらはず。凡そ君の前に指畫しぐわくすることあればこつを用ふ、いたりてめいを君の前に受く れば、則ちこつしよす、こつことごとく用ふ。りてかざる。こつは二尺有六寸、其の 中ごろはひろさ三寸、其のさいは六分して一を去る。〉

韠:君朱,大夫素,士爵韋。圜殺直,天子直,公侯前後方,大夫前方後挫角,士前後正。韠下廣二尺,上廣一尺,長三尺,其頸五寸,肩革帶博二寸。一命缊韍幽衡,再命赤韍幽衡,三命赤韍蔥衡。天子素帶朱里終辟,而素帶終辟,大夫素帶辟垂,士練帶率下辟,居士錦帶,弟子縞帶。并紐約,用組、三寸,長齊於帶,紳長制,士三尺,有司二尺有五寸。子游曰:「參分帶下,紳居二焉,紳韍結三齊。」大夫大帶四寸。雜帶,君朱綠;大夫玄華,士緇辟,二寸,再繚四寸。凡帶,有率無箴功,肆束及帶勤者,有事則收之,走則擁之。王后褘衣,夫人揄狄;君命屈狄,再命褘衣,一命襢衣,士褖衣。唯世婦命於奠繭,其他則皆從男子。

NDLJP:1118535/174 ひつは君はしゆ、大夫は爵韋しやくゐゑんさいちよく、天子はちよく諸侯しよこう前後ぜんごはう、大夫 はまへはうにしてしりへかくぐ、士は前後ママんごせいひつしもひろさ二尺、かみの廣さ一尺、 長さ三尺、其のけいは五寸、けん革帶かくたいとはひろさ二寸、一めい縕韍うんばつ幽衡いうかう再命さいめい赤韍せきふつ 幽衡いうかう三命さんめい赤韍せきふつ葱衡そうかう。 天子は素帶そたい朱裏しゆり終辟しゆうひす、而して素帶そたい終辟しゆうひ、大夫は素帶そたいしてすゐし、士は練帶れんたい してりつし、下辟かひす。居士きよし錦帶きんたいし、弟子ていし縞帶かうたいし、并びにちうやくするにを用ふ、 三寸、長さおびひとしうす、しんの長さのせい、士は三尺、有司いうしは二尺有五寸、子游しいう曰く、 帶の下を參分さんぶんしてしんふたつに居り、しんひつけつ、三つひとし、大夫は大帶だいたい四寸、帶をかざるこ と君は朱緑しゆりよく、大夫は玄華げんくわ、士は緇辟しひ二寸、再繚さいれうすれば四寸、凡そ帶はりつありて 箴功しんこうなし。肆束しそく及び帶はつとむる者事あれば則ち之ををさむ、はしれば則ち之をかゝゆ。 王后わうこう褘衣ゐい、夫人は揄狄ゆてき、君命ずれば屈狄くつてきす、再命は 褘衣ゐい、一めい襢衣てんい、士は褖衣たんい、唯世婦せいふまゆてんするに命ぜらる。其の他は則ち皆 男子に從ふ。〉

凡侍於君,紳垂,足如履齊,頤溜垂拱,視下而聽上,視帶以及袷,聽鄉任左。凡君召,以三節:二節以走,一節以趨。在官不俟屨,在外不俟車。士於大夫,不敢拜迎而拜送;士於尊者,先拜進面,答之拜則走。士於君所言,大夫沒矣,則稱謚若字,名士。與大夫言,名士字大夫。於大夫所,有公諱無私諱。凡祭不諱,廟中不諱,教學臨文不諱。古之君子必佩玉,右徵角,左宮羽。趨以《采齊》,行以《肆夏》,周還中規,折還中矩,進則揖之,退則揚之,然後玉鏘鳴也。故君子在車,則聞鸞和之聲,行則鳴佩玉,是以非辟之心,無自入也。

NDLJP:1118535/175 およそ君にするにはしんれ、足はむが如くし、おとがひりうのごとくきようる。下をかみく、たいを視て以てくびに及ぶ、むかふは左にまかす。凡そ 君召すに三節を以てす。二せつには以てはしり、一節には以てはしる。くわんに在ればくつたず、ほかに在ればしやたず。大夫たいふに於ては、あへ拜迎はいげいせず、而して拜送はいそう す。尊者そんしやに於ては、はいし進んで面す。之に答へてはいすれば則ちはしる。士、 君の所に於て大夫たいふに言ふに、ぼつしたれば則ちおくりな若しくはあざなしようし、士にないふ、 大夫たいふと言へば、士にないひ、大夫たいふあざないふ。大夫たいふの所に於て、こういみなあり、わたくしいみななし、凡そまつりにはまず、廟中べうちうにはまず、教學けうがくぶんのぞむときはまず。 いにしへの君子必ずたまぶ、右に徴角ちかく、左に宮羽きううはしるには采齊さいしを以てし、行く には肆夏しかを以てし、周還しうせんあたり、折還せつせんあたる。進めば則ち之をいふし、退しりぞけば 則ち之をやうす。然る後にたまさうとしてるなり。故に君子くるまに在れば、則ち鸞和らんくわの 聲を聞き、行けば則ち佩玉はいぎよくらす。こゝを以て非辟ひへきの心、りて入ること無きな り。〉

君在不佩玉,左結佩,右設佩,居則設佩,朝則結佩,齊則綪結佩而爵韍。凡帶必有佩玉,唯喪否。佩玉有沖牙;君子無故,玉不去身,君子於玉比德焉。天子佩白玉而玄組綬,公侯佩山玄玉而朱組綬,大夫佩水蒼玉而純組綬,世子佩瑜玉而綦組綬,士佩瓀玟而缊組綬。孔子佩象環五寸,而綦組綬。

〈君いませば玉をびず、ひだりはいむすび、右にはいまうく。居れば則ちはいまうけ、 てうすれば則ちはいむすぶ。せいすれば則ちはいかがめ結びて、しやくしてひつす。凡そたいは 必ず佩玉はいぎよくあり、たゞにはしからず。佩玉はいぎよくには衝牙しようがあり。君子故なければ、たま身を去 らず。君子玉に於てとくを比す。天子は白玉はくぎよくびて、玄組げんそじゆをし、公侯こうこう山玄さんげん ぎよくびて、朱組しゆそじゆをし、大夫は水蒼玉すゐさうぎよくびて、純組しそじゆをし、世子せいし瑜玉ゆぎよくびて、綦組きそじゆをし、士は瓀玫せんびんびて、縕組うんそじゆをす。孔子は象環しやうくわん五寸 をびて、綦組きそじゆをせり。〉

童子之節也,緇布衣錦緣,錦紳,并紐錦,束發皆朱錦也。童子不裘不帛,不屨絇,無緦服。聽事不麻,無事則立主人之北面,見先生從人而入。侍食於先生異爵者,後祭先飯。客祭,主人辭曰:「不足祭也。」客飧,主人辭以疏。主人自置其醬,則客自徹之。一室之人,非賓客,一人徹。壹食之人,一人徹。凡燕食,婦人不徹。食棗桃李,弗致于核,瓜祭上環,食中棄所操。凡食果實者後君子,火孰者先君子。有慶,非君賜不賀。孔子食於季氏,不辭,不食肉而飧。

NDLJP:1118535/176 童子どうじの節は緇布しふころもにしきえんにしきしんならびにひもをし、にしきもてかみつかぬ、 皆朱錦なり。童子どうしきうせずはくせず、屨絇くくせず、緦服さいふく無く、事をくにはせず。 事なければ則ち主人の北に立ちて[訳語疑問点]面す。先生にまみゆるには、人に從ひて入る。 先生と異爵者いしやくしやとにし食するときは、後にまつりて先づはんす。かくまつれば主人辭して 曰く、祭るに足らざるなり。かくそんすれば、主人辭するにを以てす。主人みづから其 のしやうを置けば、則ちかくみづから之をてつす。一室の人は、賓客ひんかくに非ざれば、一人てつ す。壹食いつしよくの人は一人てつす。凡そ燕食えんしよくに、婦人はてつせず。 さうたうくらふときは、かくてず。くわ上環じやうくわんを祭りて、なかくらひ、る所を つ。凡そ果實くわじつくらふ者は、君子におくる。火孰くわじゆくの者は、君子にさきたつ。けいある とき、君のたまものに非ざればせず。孔子、季子きしくらひし ときせず。にくくらはずしてそんせり。〉

君賜車馬,乘以拜賜;衣服,服以拜賜;君未有命,弗敢即乘服也。君賜,稽首,據掌致諸地;酒肉之賜,弗再拜。凡賜,君子與小人不同日。凡獻於君,大夫使宰,士親,皆再拜稽首送之。膳於君,有葷桃茢,於大夫去茢,於士去葷,皆造於膳宰。大夫不親拜,為君之答己也。大夫拜賜而退,士待諾而退,又拜,弗答拜。大夫親賜士,士拜受,又拜於其室。衣服,弗服以拜。敵者不在,拜於其室。凡於尊者有獻,而弗敢以聞。士於大夫不承賀,下大夫於上大夫承賀。親在,行禮於人稱父,人或賜之,則稱父拜之。禮不盛,服不充,故大裘不裼,乘路車不式。

〈君、車馬しやばたまへば、りて以て拜し、 衣服をたまへば、服して以てはいす。たまものは君いまめいあらざれば、あへて即ち乘服じようふくせ ざるなり。きみたまへば、稽首けいしゆ據掌きよしやうして、これを地に致す。酒肉しゆにくたまものには再拜さいはいせず。 凡そたまものは、君子も小人とは日を同じくせず。凡そ君にけんずるには、大夫は さい使とし、士はみづからす、皆再拜さいはい稽首けいしゆして之を送る。君にぜんするには、くんたうれつあり。大夫に於てはれつを去り、士に於てはくんを去る。皆膳宰ぜんさいいたす。大夫親ら 拜せず、君のおのれに答へんが爲めなり。大夫を拜して退しぞりママく、士、だくちて退 き、又拜す。答拜たうはいせず。大夫親ら士にたまへば、拜して受け、又其室に拜す。衣 服は服して以て拜せず。敵者てきしやには在らざれば其のしつに拜す。凡そ尊者そんしやに於てけんず ることあれば、あへ以聞いぶんせず。士大夫に於てはけず。下大夫かたいふ上大夫じやうたいふに 於てはく。おやいませば、禮を人におこなふに父をしようす。人或は之にたまへば、則 ち父をしようして之を拜す。 NDLJP:1118535/177 れいさかんならざれば、ふくみたさず。故に大裘たいきうせきせず、路車ろしやればしよくせず。〉

父命呼,唯而不諾,手執業則投之,食在口則吐之,走而不趨。親老,出不易方,復不過時。親癠色容不盛,此孝子之疏節也。父歿而不能讀父之書,手澤存焉爾;母歿而杯圈不能飲焉,口澤之氣存焉爾。

〈父 めいじてべば、してだくせず。げふれば則ち之をとうじ、しよく、口に在れば則 ち之をき、はしりてはしらず。おやいたるときは出づるにはうへず、かへるに時を すごさず、おやめば、色容しよくようさかんならざるは、此れ孝子かうし疏節そせつなり。父ぼつして父の書 を讀む能はず。手澤しゆたく存すればなり。はゝぼつして杯圈はいけん飮む能はず、口澤こうたくの氣存すれば なり。〉

君入門,介拂闑,大夫中棖與闑之間,士介拂棖。賓入不中門,不履閾,公事自闑西,私事自闑東。君與尸行接武,大夫繼武,士中武,徐趨皆用是。疾趨則欲發而手足毋移,圈豚行不舉足,齊如流,席上亦然。端行,頤溜如矢,弁行,剡剡起屨,執龜玉,舉前曳踵,蹜蹜如也。凡行容愓愓,廟中齊齊,朝庭濟濟翔翔。君子之容舒遲,見所尊者齊遬。足容重,手容恭,目容端,口容止,聲容靜,頭容直,氣容肅,立容德,色容莊,坐如尸,燕居告溫溫。凡祭,容貌顏色,如見所祭者。喪容纍纍,色容顛顛,視容瞿瞿梅梅,言容繭繭,戎容暨暨,言容詻詻,色容厲肅,視容清明。立容辨,卑毋諂,頭頸必中,山立時行,盛氣顛實,揚休玉色。凡自稱:天子曰予一人,伯曰天子之力臣。諸侯之於天子曰某土之守臣某,其在邊邑,曰某屏之臣某。其於敵以下曰寡人,小國之君曰孤,擯者亦曰孤。上大夫曰下臣,擯者曰寡君之老,下大夫自名,擯者曰寡大夫。世子自名,擯者曰寡君之適,公子曰臣孽。士曰傳遽之臣,於大夫曰外私。大夫私事使,私人擯則稱名,公士擯則曰寡大夫、寡君之老。大夫有所往,必與公士為賓也。

きみ門に入れば、かいげつを拂ひ、大夫にはとうげつとの間にちうし、士のかいとう を拂ふ、ひんは入るに門にちうせず、ゐきまず、公事こうじにはげきの西よりし、私事しじには げきひがしよりす。君、と行くときはを接し、大夫はぎ、士はあたる。 徐趨じよすう皆是れを用ふ。はしるときは則ち發せんことを欲す。手足しゆそくうごことなかれ。 圈豚けんとんして行くには、足をげず。ながるゝが如し、席上せきじやうまたしかり。端行たんかうするとき は、おとがひりうのごとく矢の如し。弁行べんかうするときは剡剡せんせんとしてを起す。龜玉きぎよくれ ば、前をきびすき、蹜蹜如しゆくしゆくじよたり。 NDLJP:1118535/178 凡そ行くかたち愓愓しやうたるべく、廟中べうちうには齊齊せいたるべく、朝廷てうていには濟濟せい翔翔しやうたる べし。君子のかたち舒遲じよちなり。たふとぶ所の者を見るときはせいそくす。足のかたちは重 く、手のかたちうやし、かたちたゞし、口の容はこゑの容はしづかなり、かしらかたちなほし、かたちしゆく、立つかたちとくいろかたちさうするにはの如く、燕居えんきよ するとぐるときは、温温をんたり。凡そまつりには、客貌ようばうママ顏色がんしよくまつる所の者を見るが 如し。かたち纍纍るゐるゐいろかたち顛顛てんてんかたち瞿瞿くく梅梅ばいばいげんかたち繭繭けんけんた るべし。じゆうかたち曁曁ききげんかたち詻詻かくかくいろかたち厲肅れいしゆくかたち清明せいめい。 立つかたちべんしてへつらなかれ、頭頸とうけいは必ずちうより、山のごとく立ち、時ありて行 き、氣をさかんにし顛實てんじつ揚休やうきうす、玉の色あるべし。凡そみづかしようするは、天子は 一人と曰ひ、はくは天子の力臣りよくしんと曰ひ、諸侯しよこうの天子に於けるは、某土ぼうど守臣しゆしん某と 曰ひ、其の邊邑へんいふに在るものは某屏ぼうへいしんぼうと曰ひ、其のてき以下に於ては寡人くわじんと曰ひ 小國せうこくの君はと曰ひ、擯者ひんしやまたと曰ふ。上大夫じやうたいふ下臣かしんと曰ひ、擯者ひんしや寡君くわくんらうと曰ふ、下大夫かたいふみづかないひ、擯者ひんしや寡大夫くわたいふと曰ふ、世子せいしみづかないひ、擯者ひんしやくわ くんてきと曰ふ。公子はしんげつと曰ひ、傳遽でんきよの臣と曰ひ、大夫に於ては外私ぐわいしと曰 ふ。大夫たいふ私事しじ使つかひに、私人しじんひんするときには則ち名をしようす。公のひんすれば則 ち寡大夫くわたいふ寡君くわくんの老と曰ふ。大夫往く所有れば、必ず公の士と賓たるなり。〉

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原文:

この作品は1930年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。

 
翻訳文:

この著作物は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効日(2018年12月30日)の時点で著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以上経過しているため、日本においてパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、1930年1月1日より前に発行された(もしくはアメリカ合衆国著作権局に登録された)ため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。