禮記/喪服小記

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訳は、『漢文叢書 第17（礼記）』有朋堂、昭和2年(1927)発行NDLJP:1118535（Commonsのファイル）による。※一部の異体字（「旣」）などは平易化しています。

斬衰，括發以麻；為母，括發以麻，免而以布。齊衰，惡笄以終喪。男子冠而婦人笄，男子免而婦人髽。其義：為男子則免，為婦人則髽。苴杖，竹也；削杖，桐也。祖父卒，而後為祖母后者三年。為父母，長子稽顙。大夫吊之，雖緦必稽顙。婦人為夫與長子稽顙，其餘則否。男主必使同姓，婦主必使異姓。為父後者為出母無服。親親，以三為五，以五為九。上殺，下殺，旁殺，而親畢矣。王者禘其祖之所自出，以其祖配之，而立四廟。庶子王，亦如之。別子為祖，繼別為宗，繼禰者為小宗。有五世而遷之宗，其繼高祖者也。是故，祖遷於上，宗易於下。尊祖故敬宗，敬宗所以尊祖禰也。庶子不祭祖者，明其宗也。庶子不為長子斬，不繼祖與禰故也。庶子不祭殤與無後者，殤與無後者從祖祔食。庶子不祭禰者，明其宗也。親親尊尊長長，男女之有別，人道之大者也。

〈訳：NDLJP:1118535/184 斬衰（ざんさい）には括髮（くわつぱつ）するに麻（ま）を以てす。母（はゝ）の爲には括髮（くわつぱつ）するに麻（ま）を以てし、免（ぶん）すると きは布（ふ）を以てす。齊衰（しさい）には惡笄（あくけい）して以て喪（も）を終（を）ふ。男子（だんし）冠（くわん）するときは、婦人（ふじん） 笄（けい）し、男子（だんし）免（ぶん）するときは婦人髽（ざ）す。其の義（ぎ）男子（だんし）たれば則ち免（ぶん）し、婦人たれば則ち髽（ざ） す。苴杖（そぢやう）は竹（たけ）なり、削杖（さくぢやう）は桐（きり）なり。祖父（そふ）卒（しゆつ）して、而る后（のち）に祖母（そぼ）の後たる者は 三年す。父母、長子の爲に稽顙（けいさう）す。大夫（たいふ）之を弔（てう）せば、緦（さい）と雖も必ず稽顙（けいさう）す。婦人 は夫（ふ）と長子との爲に稽顙（けいさう）す。其の餘（よ）は則ち否（しか）せず。男（だん）の主は必ず同姓を使（つかひ）せ しめ、婦の主は必ず異姓（いせい）を使（つかひ）せしむ。父の後たる者は出母（すゐぼ）の爲に服（ふく）なし。 親（しん）を親（しん）とするは、三を以て五と爲し、五を以て九と爲す。上殺（さい）下殺（さい）旁殺（ばうさい）して親畢（つ） く。 王者（わうしや）其の祖（そ）の自（よ）りて出でし所を禘（てい）し、其の祖（そ）を以て之に配し、而して四廟を立 つ。庶子（しよし）の王たるも、亦（また）之（かく）の如くす。別子（べつし）を祖（そ）と爲す、別に繼（つ）ぐを宗（そう）となし、 禰（でい）に繼（つ）ぐを小宗（せうそう）となす。五世にして還（うつ）〔ママ〕るの宗（そう）あり、其の高祖（かうそ）に繼（つ）ぐ者なり、是故（このゆゑ） に祖（そ）は上（かみ）に遷（うつ）り、宗（そう）は下（しも）に易（かは）る。祖（そ）を尊（たふと）ぶが故に宗（そう）を敬（けい）す。宗を敬するは祖（そ） 禰（でい）を尊（たふと）ぶ所以なり。庶子（しよし）祖（そ）を祭らざる者は、其宗（そう）を明（あきらか）にするなり。庶子（しよし）、 長子の爲めに斬（ざん）せざるは、祖（そ）と禰（でい）とに繼（つ）がざるが故なり。庶子（しよし）は殤（しやう）と後（のち）なき者 とを祭らず。殤（しやう）と後なき者とは、祖（そ）に從（したが）ひて祔食（ふしよく）す。庶子（しよし）、禰（でい）を祭らざるは、 其の宗（そう）を明（あきらか）にするなり。親（しん）を親（したし）み尊（そん）を尊（たふと）び長（ちやう）を長とし、男女の別あるは、 人道の大なる者なり。〉

從服者，所從亡則已。屬從者，所從雖沒也服。妾從女君而出，則不為女君之子服。禮不王不禘。世子不降妻之父母；其為妻也，與大夫之適子同。父為士，子為天子諸侯，則祭以天子諸侯，其尸服以士服。父為天子諸侯，子為士，祭以士，其尸服以士服。婦當喪而出，則除之。為父母喪，未練而出，則三年。既練而出，則已。未練而反，則期；既練而反，則遂之。

〈從（したが）ひて服する者は、從（したが）ふ所亡（な）ければ則ち已（や）む。屬從（しよくしよう） の者は、從（したが）ふ所沒（ぼつ）すと雖も服す、妾（せふ）女君（ぢよくん）に從（したが）ひて出（いだ）さるれば、則ち女君（ぢよくん）の子 の爲めに服せず。禮王（わう）たらずんば禘（てい）せず。世子（せいし）妻（さい）の父母を降（くだ）さず。其の妻 の爲にするや、大夫（たいふ）の適子（てきし）と同じ。父（ちゝ）、士（し）たり、子（こ）、天子諸侯たれば、則ち祭 るに天子諸侯を以てし、其の尸（し）の服は士服（しふく）を以てす。父（ちゝ）、天子諸侯たり、子、 士（し）たれば、祭るに士（し）を以てし、其の尸（し）の服は士服（しふく）を以てす。婦（ふ）喪（も）に當（あた）りて出（いだ） さるれば、則ち之を除（のぞ）く。父母の喪（も）の爲めに、未（いま）だ練（れん）せずして出（いだ）さるれば則ち三 年す。既に練（れん）して出（いだ）さるれば則ち已（や）む。未（いま）だ練（れん）せずして反（かへ）れば則ち期（き）す、既に練（れん） して反（かへ）れば、則ち之を遂（と）ぐ。〉

再期之喪，三年也；期之喪，二年也。九月七月之喪，三時也；五月之喪，二時也；三月之喪，一時也。故期而祭，禮也；期而除喪，道也。祭不為除喪也。三年而後葬者必再祭，其祭之間不同時而除喪。大功者主人之喪，有三年者，則必為之再祭。朋友，虞祔而已。士妾有子，而為之緦，無子則已。生不及祖父母諸父昆弟，而父稅喪，己則否。降而在緦小功者，則稅之。為君之父母、妻、長子，君已除喪而後聞喪，則不稅。近臣，君服斯服矣；其餘，從而服，不從而稅。君雖未知喪，臣服已。

〈NDLJP:1118535/185 再期（さいき）の喪（も）は三年なり、期（き）の喪（も）は二年なり、九月七月の喪（も）は三時（じ）なり、五月の喪 は二時なり、三月の喪（も）は一時なり、故に期（き）にして祭（まつ）るは禮なり、期にして喪を除 くは道なり。祭（まつり）は喪（も）を除（のぞ）くが爲めならざるなり、三年にして后（のち）〔ママ〕に葬（はうむ）る者は、必 ず再（ふたゝ）び祭（まつ）る。其の祭（まつり）の間（あひだ）、時を同じくせずして喪（も）を除（のぞ）く。大功（こう）の者人の喪（も）に 主（しゆ）たるとき三年の者あれば、則ち必ず之が爲めに再（ふたゝ）び祭（まつ）る、朋友（ほういう）には虞祔（ぐふ）するの み。士（し）の妾（せふ）は子あれば、之れが爲めに緦（さい）し、子（こ）無ければ則ち已（や）む。生（うま）れて祖（そ） 父母（ふぼ）諸父昆弟（こんてい）に及ばずして、父（ふ）は税喪（たいさう）し己（おのれ）は則ち否（しか）せず。 君の父母、妻（さい）、長子の 爲めには、君已（すで）に喪（も）を除（のぞ）きて而して后（のち）〔ママ〕に喪（も）を聞けば、則ち税（たい）せず。 降（くだ）りて緦（さい）小功（せうこう） に在る者には、則ち之に税（たい）す。 近臣（きんしん）は君服せば斯（こ）に服す、其の餘は從（したが）ひて服し、 從（したが）ひて税（たい）せず。君未（いま）だ喪（も）を知らずと雖も、臣（しん）は服するのみ。〉

虞，杖不入於室；祔，杖不升於堂。為君母后者，君母卒，則不為君母之黨服。绖殺五分而去一，杖大如绖。妾為君之長子與女君同。除喪者，先重者；易服者，易輕者。無事不辟廟門。哭皆於其次。復與書銘，自天子達於士，其辭一也。男子稱名，婦人書姓與伯仲，如不知姓則書氏。

〈虞（ぐ）には杖（ぢやう）、室に 入らず、祔（ふ）には杖（ぢやう）、堂（だう）に升（のぼ）らず。君母（くんぼ）の後（のち）〔ママ〕たる者、君母（くんぼ）卒（しゆつ）すれば、則ち君母の 黨（たう）の爲めに服せず。絰（てつ）の殺（さい）は五分にして一を去る。杖（ぢやう）の大（おほい）さ絰（てつ）の如し。妾（せふ） 君の長子の爲めにするは、女君（ぢよくん）と同じ。 NDLJP:1118535/186 喪（も）を除（のぞ）く者重き者を先にし、服を易（か）ふる者輕（かろ）き者を易（か）ふ。事無ければ廟門（べうもん）を 辟（ひら）かず。哭（こく）皆（みな）其の次（じ）に於てす。復（ふく）と書銘（しよめい）とは、天子より士（し）に達し、其の辭（ことば）一 なり。男子（だんし）には名を稱（しよう）し、婦人には姓（せい）と伯仲（はくちう）とを書す、如（も）し姓（せい）を知らざれば則ち 氏を書す。〉

斬衰之葛與齊衰之麻同。齊衰之葛與大功之麻同。麻同，皆兼服之。報葬者報虞，三月而後卒哭。父母之喪偕，先葬者不虞祔，待後事。其葬，服斬衰。

〈斬衰（ざんさい）の葛（かつ）は、齊衰（しさい）の麻（ま）と同じ。齊衰（しさい）の葛（かつ）は、大功（たいこう）の麻（ま）と同じ。麻（ま）皆 之れを兼ね服す。報（と）く葬（はうむ）る者は報（と）く虞（ぐ）す。三月にして后〔ママ〕に卒哭（そつこく）す。父母の喪（も） 偕（とも）なるときは先（ま）づ葬（はうむ）る者は虞祔（ぐふ）せず。後事を待（ま）つ。其の葬（さう）には斬衰（ざんさい）を服す。〉

大夫降其庶子，其孫不降其父。大夫不主士之喪。為慈母之父母無服。夫為人後者，其妻為舅姑大功。士祔於大夫則易牲。繼父不同居也者；必嘗同居。皆無主後。同財而祭其祖禰為同居；有主後者為異居。哭朋友者於門外之右南面。祔葬者不筮宅。士大夫不得祔於諸侯，祔於諸祖父之為士大夫者，其妻祔於諸祖姑，妾祔於妾祖姑；亡則中一以上而祔。祔必以其昭穆。諸侯不得祔於天子，天子、諸侯、大夫可以祔於士。

〈大夫は其の庶子（しよし）に降（くだ）す、其の孫（そん）は其の父を降（くだ）さず。大夫は士の喪（も）に主たらず。 慈母（じぼ）の父母（ふぼ）の爲に服無し。夫（ふ）、人の後たる者は、其妻（さい）舅姑（きうこ）の爲に大功す。 士（し）、大夫（たいふ）に祔（ふ）せば則ち牲（せい）を易（か）ふ。繼父（けいふ）の同居せざる者とは、必ず嘗（かつ）て同居せ るなり。皆（みな）主後（しゆご）なく、財（ざい）を同（おな）じくして其の祖禰（そでい）を祭るを、同居と爲す。主後ある 者を異居（いきよ）と爲す。朋友（ほういう）を哭（こく）するには、門外（もんぐわい）の右に於て南面（なんめん）す。祔葬（ふさう）する者は 宅（たく）を筮（ぜい）せず。士（し）大夫は諸侯に祔（ふ）するを得ず。諸祖父（しよそふ）の士（し）大夫たる者に祔（ふ）す。其 の妻（さい）は諸祖姑（しよそこ）に祔（ふ）し、妾（せふ）は妾（せふ）の祖姑（そこ）に祔（ふ）し、亡（な）ければ則ち一を中（へだて）て以て上（のぼ）りて祔（ふ） す。祔（ふ）するに必ず其の昭穆（せうぼく）を以てす、諸侯は天子に祔（ふ）するを得ず、天子、諸侯、 大夫は、以て士に祔（ふ）す可し。〉

為母之君母，母卒則不服。宗子，母在為妻禫。為慈母后者，為庶母可也，為祖庶母可也。為父母、妻、長子禫。慈母與妾母，不世祭也。丈夫冠而不為殤，婦人笄而不為殤。為殤後者，以其服服之。久而不葬者，唯主喪者不除；其餘以麻終月數者，除喪則已。箭笄終喪三年。齊衰三月與大功同者，繩屨。練，筮日筮尸，視濯，皆要绖杖繩屨。有司告具，而後去杖。筮日筮尸，有司告事畢而後杖，拜送賓。大祥，吉服而筮尸。庶子在父之室，則為其母不禫。庶子不以杖即位。父不主庶子之喪，則孫以杖即位可也。父在，庶子為妻以杖即位可也。諸侯吊於異國之臣，則其君為主。諸侯吊，必皮弁錫衰。所吊雖已葬，主人必免。主人未喪服，則君於不錫衰。養有疾者不喪服，遂以主其喪。非養者入主人之喪，則不易己之喪服。養尊者必易服，養卑者否。妾無妾祖姑者，易牲而祔於女君可也。婦之喪、虞、卒哭，其夫若子主之。祔，則舅主之。士不攝大夫。士攝大夫，唯宗子。主人未除喪，有兄弟自他國至，則主人不免而為主。

〈NDLJP:1118535/187 母（はゝ）の君母（くんぼ）の爲（ため）には、母卒（しゆつ）すれば則（すなは）ち服（ふく）せず。宗子（そうし）は母（はゝ）在（いま）せば、妻（さい）の爲（ため）に禫（たん） す。慈母（じぼ）の後（のち）〔ママ〕たる者、庶母（しよぼ）の爲（ため）にするも可なり、祖庶母の爲（ため）にするも可なり。 父母妻長子の爲（ため）に禫（たん）す。慈母（じぼ）と妾母（せふぼ）とは、世〻（よ〳〵）祭（まつ）らざるなり。大夫（たいふ）〔ママ〕冠（くわん）すれ ば、殤（しやう）と爲（な）さず。婦人（ふじん）笄（けい）すれば、殤（しやう）と爲（な）さず。殤（しやう）の後（のち）爲（た）る者（もの）は、其（そ）の服（ふく）を以（もつ）て 之（これ）に服（ふく）す。久（ひさ）しくして葬（はうむ）らざる者（もの）は、唯（たゞ）喪（も）に主（しゆ）たる者（もの）のみ除（のぞ）かず、其餘（よ）の麻（ま）を 以（もつ）て月數（げつすう）を終（を）ふる者（もの）は喪（も）を除（のぞ）きて則（すなは）ち已（や）む。箭笄（せんけい）して喪（も）を終（を）ふる三年（ねん）。 齊衰（しさい）三月の、大功（こう）と同（おな）じき者（もの）は、繩屨（じようく）なり。練（れん）には日（ひ）を筮（ぜい）し尸（し）を筮（ぜい）し濯（たく）を視（み）る に、皆（みな）要絰（えうてつ）し杖（つゑ）つき繩屨（じようく）す。有司（いうし）具（そなは）るを告（つ）げて、而（しか）して后（のち）〔ママ〕に杖（つゑ）を去（さ）る。日（ひ）を筮（ぜい） し尸（し）を筮（ぜい）し、有司（いうし）事（こと）畢（をは）ると告（つ）げて、而（しか）して后（のち）〔ママ〕に杖（つゑ）つき、拜（はい）して賓（ひん）を送（おく）る。大祥（たいしやう）に は吉服（きつぷく）して尸（し）を筮（ぜい）す。庶子（しよし）父（ちゝ）の室（しつ）に在（あ）れば、則（すなは）ち其母（そのはゝ）の爲（ため）に禫（たん）ぜず。庶子（しよし）杖（つゑ） を以（もつ）て位（くらゐ）に即（つ）かず。父（ちゝ）、庶子（しよし）の喪（も）に主（しゆ）たらざれば、則（すなは）ち孫（そん）杖（つゑ）を以（もつ）て位（くらゐ）に即（つ）くも 可（か）なり、父（ちゝ）在（いま）せば、庶子（しよし）妻（さい）の爲（ため）に杖（つゑ）を以て位（くらゐ）に即（つ）くも可（か）なり。 NDLJP:1118535/188 諸侯（しよこう）異國（いこく）の臣（しん）を弔（てう）すれば、則（すなは）ち其君（そのきみ）、主（しゆ）となる。諸侯（しよこう）弔（てう）するには、必（かなら）ず皮（ひ） 弁（べん）錫衰（せきさい）す、弔（てう）する所（ところ）已（すで）に葬（はうむ）ると雖（いへも〔ママ〕）も、主人（しゆじん）必（かなら）ず免（ぶん）す。主人（しゆじん）未（いま）だ喪服（もふく）せざれ ば、則（すなは）ち君（きみ）亦（また）錫衰（せきさい）せず。疾（やまひ）ある者（もの）を養（やしな）ふには喪服（さうふく）せず、遂（つひ）に以（もつ）て其喪（も）に主（しゆ） たり、養（やしな）ふ者（もの）に非（あら）ずして入（い）りて人（ひと）の喪（も）に主（しゆ）たれば、則（すなは）ち己（おのれ）の喪服（もふく）を易（か）へず。 尊者（そんしや）を養（やしな）ふには必（かなら）ず服（ふく）を易（か）ふ。卑者（ひしや）を養（やしな）ふには否（しか）せず。妾（せふ）、妾祖姑（せふそこ）なき者（もの） には、牲（せい）を易（か）へて女君（ぢよくん）に祔（ふ）するも可（か）なり。婦（ふ）の喪（も）には、虞（ぐ）と卒哭（そつこく）とに、其（そ）の夫（ふ）若（もし） くは子（し）之（こ）れに主（しゆ）たり、祔（ふ）には則（すなは）ち舅（きう）之（こ）れに主（しゆ）たり。士（し）は大夫（たいふ）を攝（せつ）せず。士（し）、大（たい） 夫（ふ）を攝（せつ）するは唯（たゞ）宗子（そうし）のみ。主人（しゆじん）未（いま）だ喪（も）を除（のぞ）かざるに、兄弟（けいてい）あり他國（たこく）より至（いた）れば、 則（すなは）ち主人（しゆじん）免（ぶん）せずして主（しゆ）たり。〉

陳器之道，多陳之而省納之可也；省陳之而盡納之可也。奔兄弟之喪，先之墓而後之家，為位而哭。所知之喪，則哭於宮而後之墓。父不為眾子次於外。與諸侯為兄弟者服斬。下殤小功，帶，澡麻不絕本，詘而反以報之。

〈器（き）を陳（つら）ぬるの道（みち）は、多（おほ）く之（これ）を陳（つら）ねて、省（はぶ）きて之（こ）れ を納（い）ること可（か）なり、省（はぶ）きて之（こ）れを陳（つら）ねて、盡（ことごこ）く之（こ）れを納（い）るゝこと可（か）なり。兄（けい） 弟（てい）の喪（も）に奔（はし）るには、先（ま）づ墓（ぼ）に之（ゆ）きて、而（しか）して後（のち）に家（いへ）に之（ゆ）き、位（くらゐ）を爲（つく）りて哭（こく）す。知（し） る所（ところ）の喪（も）には、則（すなは）ち宮（きう）に哭（こく）して、而（しか）して後（のち）に墓（ぼ）に之（ゆ）く。父（ちゝ）は衆子（しうし）の爲（ため）に外（ほか）に 次（し）せず。諸侯（しよこう）と兄弟（けいてい）たる者（もの）は斬（ざん）を服（ふく）す。下殤（かしやう）の小功（こう）には、澡麻（さうま）を帶（おび）にし、本（もと） を絶（た）たず、詘（くつ）して反（かへ）して以（もつ）て之（これ）を報（あは）す。〉

婦祔於祖姑，祖姑有三人，則祔於親者。其妻為大夫而卒，而後其夫不為大夫，而祔於其妻則不易牲；妻卒而後夫為大夫，而祔於其妻，則以大夫牲。為父後者，為出母無服。無服也者，喪者不祭故也。婦人不為主而杖者：姑在為夫杖，母為長子削杖。女子子在室為父母，其主喪者不杖，則子一人杖。

〈NDLJP:1118535/189 婦（ふ）は祖姑（そこ）に祔（ふ）す、祖姑（そこ）三人（にん）あれば、則（すなは）ち親（した）しき者（もの）に祔（ふ）す。其（そ）の妻（さい）大夫（たいふ）とな りて卒（しゆつ）し、而（しか）して后（のち）〔ママ〕に其（そ）の夫（ふ）、大夫（たいふ）たらざれば、其（そ）の妻（さい）を祔（ふ）するには、則（すなは）ち牲（せい） を易（か）へず。妻（さい）卒（しゆつ）して后（のち）〔ママ〕に夫（ふ）、大夫（たいふ）たれば、其（そ）の妻（さい）を祔（ふ）するには、則（すなは）ち大夫（たいふ）の牲（せい）を 以（もつ）てす。父（ちゝ）の後（のち）たる者（もの）は、出母（すゐぼ）の爲（た）めに服（ふく）なし。服（ふく）なしとは喪者（さうしや）祭（まつ）らざるが故（ゆゑ） なり。婦人（ふじん）主（しゆ）たらずして杖（つゑ）つく者（もの）は、姑（こ）在（いま）せば夫（ふ）の爲（ため）に杖（つゑ）つき、母（はゝ）は長子（ちやうし）の 爲（ため）に削杖（さくぢやう）し、女子子（ぢよしこ）室（しつ）に在（あ）りて父母（ふぼ）の爲（ため）にするとき、其（そ）の喪（も）に主（しゆ）たる者（もの）杖（つゑ）つかざ れば、則（すなは）ち子（こ）一人（にん）杖（つゑ）つく。〉

緦小功，虞卒哭則免。既葬而不報虞，則雖主人皆冠，及虞則皆免。為兄弟既除喪已。及其葬也，反服其服。報虞卒哭則免。如不報虞則除之。遠葬者比反哭者皆冠，及郊而後免反哭。君吊，雖不當免時也，主人必免，不散麻。雖異國之君，免也。親者皆免。除殤之喪者，其祭也必玄。除成喪者，其祭也朝服縞冠。

〈緦（さい）と小功（こう）とは、虞（ぐ）と卒哭（そつこく）とには則（すなは）ち免（ぶん）す。既（すで）に葬（はうむ） りて報（と）く虞（ぐ）せざれば、則（すなは）ち主人（しゆじん）と雖（いへど）も皆（みな）冠（くわん）し、虞（ぐ）に及（およ）びて則（すなは）ち皆（みな）免（ぶん）す。兄弟（けいてい）の 爲（ため）には、既（すで）に喪（も）を除（のぞ）きて已（や）む、其葬（はうむ）るに及（およ）びてや、反（かへ）りて其（そ）の服（ふく）に服（ふく）す、報（と）く虞（ぐ） し卒哭（そつこく）すれば則（すなは）ち免（ぶん）す。如（も）し報（と）く虞（ぐ）せざれば則（すなは）ち之（こ）れを除（のぞ）く。遠（とほ）く葬（はうむ）る者（もの）は、反（はん） 哭（こく）する比（ころほ）ひ皆（みな）冠（くわん）し、郊（かう）に及（およ）びて而（しか）して後（のち）に免（ぶん）して反哭（はんこく）す。君（きみ）弔（てう）すれば免（ぶん）する時（とき） に當（あた）らずと雖（いへど）も、主人（しゆじん）必（かなら）ず免（ぶん）し、散麻（さんま）せず、異國（いこく）の君（きみ）と雖（いへど）も免（ぶん）す、親者（しんしや）皆（みな） 免（ぶん）す。殤（しやう）の喪（も）を除（のぞ）く者（もの）は、其（そ）の祭（まつ）るや必（かなら）ず玄（げん）す、成喪（せいさう）を除（のぞ）く者（もの）は、其（そ）の祭（まつ）る や朝服（てうふく）縞冠（かうくわん）す。〉

奔父之喪，括發於堂上，袒降踴，襲绖于東方。奔母之喪，不括發，袒於堂上，降踴，襲免于東方。绖即位成踴，出門哭止。三日而五哭三袒。適婦不為舅後者，則姑為之小功。

〈父（ふ）の喪（も）に奔（はし）るには、堂上（だうじやう）に括髮（くわつはつ）し、袒（たん）して降（くだ）りて踊（よう）し、襲（しふ）し て東方（とうはう）に絰（てつ）す。母（はゝ）の喪（も）に奔（はし）るには、括髪（くわつばつ）せず。堂上（だうじやう）に袒（たん）し、降（くだ）りて踊（よう）し、襲（しふ）して 東方（とうはう）に免（ぶん）す。絰（てつ）して位（くらゐ）に即（つ）き踊（よう）を成（な）し、門（もん）を出（いで）て哭（こく）すること止（や）む。三日にして 五哭（ごこく）三袒（さんたん）す。適婦（てきふ）舅姑（きうこ）の後（のち）たらざる者（もの）は、則（すなは）ち姑（こ）之（こ）れが爲（ため）に小功（こう）す。〉

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