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検索結果

  •  急に大きな蜜蜂(みつばち)がブーンという羽の音をさせて、部屋の中へ舞い込んで来た。お島は急いで昼寝をしている子供の方へ行った。庭の方から入って来た蜂は表の方へ通り抜けた。 「(まあ)ちゃんはどうしたろう」と高瀬がこの家で生れた姉娘のことを聞いた。 「屋外(そと)で遊んでます」 「また大工さんの家の娘と遊んでいるじゃないか…
    91キロバイト (18,380 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  • と、問はせたまふ。 「大将の君は、丑寅の町に、人びとあまたして、もて遊ばして見たまふ」と聞こしめして、 「乱りがはしきことの、さすがに目覚めてかどかどしきぞかし。いづら、こなたに」 とて、御消息あれば、参りたまへり。若君達めく人びと多かりけり。 「持たせたまへりや。誰々かものしつる」 とのたまふ。 「これかれはべりつ」…
    146キロバイト (31,415 語) - 2022年12月1日 (木) 08:13
  • えるとはいわず、我来也を捉えるというようになった。 ある日、逮捕の役人が一人の賊を牽いて来て、これが即ち我来也であると申し立てた。すぐに獄屋へ送って問(きくもん)したが、彼は我来也でないと言い張るのである。なにぶんにも証拠とすべき贓品がないので、容易に判決をくだすことが出来なかった。そのあいだに、彼は獄卒にささやいた。…
    39キロバイト (8,248 語) - 2020年7月14日 (火) 07:48
  • に不離は、後生の障と成ぬべければ、我思の深き色を御息所に一端申て、心安く臨終をもせばやと思て、上人狐裘に鳩の杖をつき、泣々京極の御息所の御所へ参て、のつぼの懸の本に、一日一夜ぞ立たりける。余の人は皆いかなる修行者乞食人やらんと、怪む事もなかりけるに、御息所御簾の内より遥に御覧ぜられて、是は如何様…
    45キロバイト (10,948 語) - 2022年12月1日 (木) 07:59
  • 小学校の柾屋根(まさやね)に我が投げし(まり) いかにかなりけむ ふるさとの かの路傍(みちばた)のすて石よ 今年も草に埋(うづ)もれしらむ わかれをれば妹(いもと)いとしも 赤き緒(を)の 下駄(げた)など欲(ほ)しとわめく子なりし 二日(ふつか)前に山の(ゑ)見しが 今朝(けさ)になりて にはかに恋しふるさとの山…
    67キロバイト (13,278 語) - 2022年4月5日 (火) 21:39
  • 伯耆 是者御馬拝領畿内諸国面〻御出仕在之 七月三日於 禁中 親王様御被遊式掌の儀式御結搆不申足御馬廻計被召列御過候て 信長くろ戸の御所御をき緑(えん)まて御祇候忝も 天盃御さい之内にて御拝領 御見物は清凉殿之御庭也     御の次第 御黒戸御所 軒西 初八勧修寺大納言  飛鳥井中将雅敦朝臣○ 御○…
    3キロバイト (101,980 語) - 2024年4月5日 (金) 17:57
  •  お房の発熱は幾日となく続いた。庭に向いた部屋へ子供の寝床を敷いて、その枕頭(まくらもと)へお雪は薬の罎(びん)を運んだ。(まり)だの、キシャゴだの、毛糸の巾着(きんちゃく)だの、それから娘の好きな人形なぞも、運んで行った。お房は静止(じっと)していなかった。臥(ね)たり起きたりした。…
    483キロバイト (94,851 語) - 2022年9月18日 (日) 11:16
  • 数多く上がる。人々の心地いと艶なり。故ある木蔭に立ち休らひ給へる院の御かたち、いと清らにめでたし。春宮もいと若う美しげにて、濃き紫の浮き織物の御指貫、なよびかに、気色ばかり引き上げ給へれば、花のいと白く散りかかりて、文のやうに見えたるもをかし。御覧じ上げて、一枝押し折り給へる程、
    424キロバイト (97,325 語) - 2022年10月1日 (土) 01:23
  • 錦の直垂に、緋威の鎧、鍬形打つたる白星の兜の緒を締め、金作りの太刀帯いて、切斑の征矢負ひて、滋籐の弓の真中握り、馬引き寄せ、召して、大庭に駆け出で、の懸にて、「喜三太と召しければ、喜三太申しけるは、「下無き下郎、心剛なるによつて、今夜の先駆承つて候ふ。喜三太と申す者なり。生年廿三、我と思はん者は…
    482キロバイト (112,842 語) - 2023年1月24日 (火) 19:22
  • うしう)里見家(さとみけ)の先祖(せんぞ)を尋(たづね)るに老士かたつていはく。われ聞伝(つた)へしは。昔(むかし)あはの国に。安西(あんざい)。金(かねまり)。丸(まる)。東条(とうでう)と号(がう)し四人の侍(さふらひ)あり。安房一国を四人して修領(しうりやう)す。此人々文武(ぶんぶ)に達(…
    198バイト (21,098 語) - 2023年11月20日 (月) 00:09
  •  元泰直為の後を襲いだものが元岱直賢(げんたいちよくけん)である。字(あざな)は英卿(えいけい)又可久(かきう)、竹渓と号した。翁(きくをう)は其致仕後の称である。林復斎が其官歴を叙してゐる。「文化五年九月襲家秩。為西闈侍医。別賜二百苞。十二月叙法眼。会文恭大君有榴房之福。群…
    1.54メガバイト (342,889 語) - 2024年3月25日 (月) 01:52
  • 、陽火(やうくわ)におどろきおつると云々。かくのごとくさま〴〵の説あり。畢竟(ひつきやう)いづれにてもあれ実は火なり。おちたる所をみれど、ちやうちんの勢なる火の転(ころ)びはしるのみにて、外はみえず唯くらき計也。そのうへ天地自然の猛火(みやうくわ)なれば、えんせうの薫りのごとくして、こげたる物の…
    3キロバイト (53,374 語) - 2024年1月31日 (水) 13:56
  • 静証院資給の金額を削減せしむ重賢夫人の婦徳家臣の進退に就き婦人の容喙を許さず重賢の兄弟姉妹   銀台遺事 冬 鷹狩家士に対する恩情重賢の宿札粗末なる場冗費の節約奢侈の風俗を憂ふ老臣を敬ふ肥後に鳳凰自然を愛す中将となる希望重賢倹約の本旨政の要は人を得るに在り書牘遺著詠歌詠詩名声支那に及ぶ   銀台遺事の事に付高本敬蔵紙面之写…
    44バイト (42,552 語) - 2024年4月21日 (日) 09:28
  • 一つ宛御手水の器あり。或は青色を以てし、又金器銀器のある所もあり。其道すがらの諸木花を交へて、さながら極楽世界ともいふべし。其道々の傍に、小弓の場・の庭・手玉の庭・女取の場、其外広き地には、女楽童形の物の上手を、錦の幕を張りて、舞台を飾りて、秘曲を尽させり。香の薫は吹風に連れて、さながら天上の楽…
    4キロバイト (28,537 語) - 2024年2月3日 (土) 11:08
  • ノ床ニ臥シ明年正治元年正月十三(ニタ)日五十三歳ニシテ薨シ給フ頼朝ノ嫡子頼家天下ノ権柄ヲ受ケ取リ其職ニ備ルト云ヘトモ器ノ狭小ニシテ大度ヲ不知ウタノ友ノ友十人計ヲ集メテ朝夕此会ニ心ヲ入天下ノ政ヲハ畠山重忠和田義盛北条義時大江広元梶原景時ナト指計イテ評定シケル其年ノ四月ニ高雄ノ文学坊ハ頼朝ニ忠有ル法…
    44バイト (42,738 語) - 2024年4月19日 (金) 06:46
  • 地に生れた神アンテウスのように、お前の足の親指の尖が地に障ると、 9610 すぐにお前に力が附くのだ」と云っているのさ。 そんな風で、(まり)が敲(たた)かれて飛ぶように、ここの岩の 並んでいる上を、こっちの岩角からあっちの岩角へと、あちこち飛び廻る。 そのうち出し抜けに荒々しい谷の穴へ落ちて見えなくなった。…
    1.06メガバイト (154,483 語) - 2023年10月22日 (日) 05:06