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  •  長津呂(ながつろ)の漁村へ行くに丁度晝迄かゝつた。そこから斷崖の間にある細道を攀ぢた。登ると、松林の中へ出た。半島の絶端を極めたいと思ふ勃々とした心が先に立つて、吾儕はこゝへ來る迄の疲勞(つか)と熱苦さとを忘れた。「僕は斯ういふ路を歩いて行くのが好きサ。」とK君は私を顧みながら言つた。「僕も好きだ。」…
    39キロバイト (8,361 語) - 2019年9月29日 (日) 04:55
  • て歩いた。以前には戦争を記念する為の銅像もなく、高架線もなく、大きな建築物(たてもの)も見らなかった万世橋附近へ出ると、こうも多くの同胞が居るかと思われるほど、見ず知らずの男女(おとこおんな)が広い道路を歩いている。風俗からて移り変って来たその人達の中を、彼は右に避(よ)け、左に避け
    40キロバイト (8,155 語) - 2023年1月24日 (火) 19:17
  • 距離(きょり)漸(ようや)く減(へ)じて僅(わずか)かに四艇身(ていしん)、両艇(りょうてい)の走(は)る事(こと)矢(や)の如(ごと)く雲(くも)の如(ごと)。予等(よら)の叫声(さけびごえ)に連(つ)、件(くだん)の船尾(せんび)の男(おとこ)は甲板(かんぱん)に突立(つった)ち上(あが)り、甲高(かんだか)き亀裂…
    611キロバイト (98,208 語) - 2023年5月1日 (月) 15:22
  • が、近年浦賀船渠株式会社勃興て、工業地として発展するに至り。浦賀水飴、鹿尾菜、和布は夙に名産として名あり。 本町は、北東方大津の海岸にやや広濶なる平地を存、その他は概して、低平なる丘陵延亘、山勢海に迫りて、平地甚だ少し。三浦半島の地勢は、この地において、最も怒張
    58キロバイト (10,991 語) - 2023年8月19日 (土) 05:06
  • 曲つたところなぞをも指して見せ、この工事が完成せらるゝ日には、千トン乃至二千トン級の數隻の船を同時に港口の岸壁に繋ぎ得るであらうこと、さういふ築港のあらましなぞを、世故(せこ)に長(た)けた調子で話聞かせるのは渡邊君だ。船から見て行く島根半島
    158キロバイト (34,214 語) - 2019年9月29日 (日) 05:09
  • 「ははア、こんなところですかな」  と老訓導は言った。  清三は浦塩(うらじお)から一直線にやって来た敵の艦隊と轟沈(ごうちん)さたわが商船とを想像て、久しくその掛け図の前に立っていた。  湯屋でも、理髪舗(とこや)でも、戦争の話の出ぬところはなかった。憎いロシアだ、こらてやれと
    509キロバイト (98,550 語) - 2023年11月4日 (土) 14:56
  • 3然(さ)ど兩人(りやうにん)は久(ひさ)しく滯在(たいざい)て、憚(はばか)る所(ところ)なく主(ゆ)の爲(ため)に盡力(じんりよく)、主(ゆ)は彼等(から)の手(て)によりて徵(しるし)と奇蹟(きせき)とを行(おこな)はしめて、恩寵(おんちよう)の敎(をへ)を保證(ほしよう)給(たま)へり。…
    196キロバイト (29,389 語) - 2019年11月29日 (金) 17:04
  • ところへ持って行って、人知れずそのことを自分に言って見た。  義雄兄からの便りには、「例の人」は産後の乳腫(ちちば)で手術を受けさせるから、その費用を送れとしてあった。それから一月半ばかりも待つうちに節子は精(くわ)いことを知らせてよこした。産は重くて骨が折
    1メガバイト (204,909 語) - 2019年9月29日 (日) 05:14
  • 3375 尋ぬとも、その落著は つひに帰らじ、とこへに。 彼人まさねば、いづかたも 冢穴(つかあな)にしも異ならず。 苦(にが)きを嘗(な)むる所とぞ 3380 世の中は皆なりにける。 物狂ほしくもなれるかな、 あはれわがこの頭(こうべ)。 ちぎ/\になりかな、 あはれわがこの心。 3385 心の落著なくなりて、…
    1.06メガバイト (154,483 語) - 2023年10月22日 (日) 05:06