正教要理問答/神の子イイススハリストスに捧ぐる祈祷

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神の子イイスス ハリストスに捧（ささ）ぐる祈祷

主イイスス ハリストス神の子や爾（なんぢ）が至（し）浄（じょう）の母と諸（しょ）聖人（せいじん）の祈祷に因（よ）りて我等を憐（あはれ）み給へアミン

問　是は誰に捧（ささ）ぐる祈祷なりや

答　神の子イイスス ハリストスに捧（ささ）ぐる祈祷なり

問　『イイスス ハリストス神の子』とは誰を指すや

答　聖三者の第二の位を指すなり

問　『至（し）浄（じょう）の母』とは誰を指すや

答　其（その）徳（とく）の勝（すぐ）れたるを以て世の救主（すくひぬし）なる神の子を生むの母として選ばれたる至（し）潔（けつ）なる童貞女（どうていじょ）マリヤを指すなり

問　諸聖人（しょせいじん）とは誰を名づくるや

答　諸聖人（しょせいじん）とは勝（すぐ）れたる信仰（しんかう）と徳行（とくこう）とを以て其生涯（しやうがい）を送り今や天国（てんごく）に在るの人々を名づくるなり例令（たとへ）ば預（よ）言者（げんしゃ）聖（せい）使徒等（しとら）聖徳者（せいとくしゃ）等（ら）殉教（じゅんけう）者（しゃ）等（ら）なり

問　此祈祷は如何なる時に唱（とな）へらるるや

答　此祈祷は税吏（みつぎとり）の祈祷の如く信（しん）徒（と）たる者の出来（でき）る丈（だけ）数々（しばしば）其心に唱（とな）ふべきものなり如何（いかん）となれば我等は数々（しばしば）罪を犯すものなれば其罪を赦（ゆる）さるることも亦（また）数々（しばしば）祈らざるべからず

○　此祈祷は略して『主イイスス ハリストス神の子や我等を憐（あはれ）み給（たま）へ』と唱へらるるなり或（あるひ）は猶（なほ）一層略して『主（しゅ）憐（あはれ）めよ』と唱へらるるなり