正教要理問答/暮の祈祷文

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くれの祈祷文[編集]

永遠えいえんの神萬物ばんもつの王我をの時に至らしめ給ひし主や 我今日おこなひことばおもひにて犯せし所のもろもろの罪を赦し我いやしたましひからだと心のもろもろけがれよりきよめ給へ 主や我に又是の夜のねむり平安へいあんすごして我やぶれしとこより起き存命ぞんめいの日に於てつねなんぢせいなる名にかなひし事を行ひ我をせむ有形ゆうけいけいあだかつを得せしめよ 主や我をけがむなしおもひよこしまなるよくより我を救ひ給へ けだしくに権能ちから光栄さかえなんぢ父と子と聖神せいしんす今も何時いつも世々にアミン

問 我等は此祈祷を以て如何なることを神に願ひ求むるや
答 我等は神にその日を無難にすごさせ給ひしめぐみを感謝しその日に行ひし諸罪しょざいの赦しを願ひなほその夜をなんすごさせ給ふことを願ひ求むるなりしかして終りに聖三者をさんするのことばを以て結ばれたり
問 おこなひにてをかす罪とは何なりや
答 窃盗ぬすみ殺人ひとごろしなどのたぐひなり
問 ことばにてをかす罪とは何なりや
答 悪口あくこうをなしあるひ猥褻みだらなるうたを歌ふなどのたぐひなり
問 おもひにてをかす罪とは何なりや
答 嫉妬ねたみ傲慢たかぶりなどのたぐひなり
問 からだけがすものとは何なりや
答 こん憎悪にくみなどのたぐひなり
問 たましひからだてきとは何を指すや
答 からだてきとは我等をまどはし我等を罪にいざなふもの及び我等の心をまよはしむるものをたましひてきとはすべたましひよく即ち嫉妬ねたみ矜傲たかぶりなどのたぐひことあくを云ふなり

わが神やなんぢは仁慈にして人をあいするにり我このに於てことばおこなひおもひにてをかせし事をゆる平安へいあんにしてみだれざるねむりを我にたまひ 我をもろもろわざはひよりおほまもしゅしん使つかはし給へ けだし爾は我等のたましひからだしゅしゃたり 我等なんぢ父と子と聖神に光栄さかえす今も何時いつも世々にアミン

問 我等は此祈祷を以て如何なることを神に願ひ求むるや
答 神は我等の罪をゆるし我等にやすらかなるねむりをあたへ又我等をもろもろわざはひよりまもしゅしん使つかはし給ふことを祈るなりしかして此祈祷は聖三者せいさんしゃさんするのことばを以て終らるるなり