地所質入書入規則 (明治7年太政官布告第6号による改正)

• 明治6年1月17日太政官布告第18号
• 改正の施行: 改正法令の施行欄参照
• 改正前: 地所質入書入規則 (公布時)
• 改正:
  • 地所質入書入規則第十五條增補 → 地所質入書入規則 (明治6年太政官布告第167号による改正)
  • 地所質入書入規則第九條改正 → 地所質入書入規則 (明治7年太政官布告第6号による改正)
  • 地所質入書入規則第十條第十二條改正 → 地所質入書入規則 (明治7年太政官布告第52号による改正)
  • 地所質入書入規則第十六條增補 → 地所質入書入規則 (明治7年太政官布告第76号による改正)
  • 地所質入書入規則第五條改正 → 地所質入書入規則
  • 登記法（登記法に牴触する規定は明治20年2月1日より廃止する）
• 廃止:
  • （第11条以外）明治31年7月16日 → 民法施行法第9条第2項
  • （第11条）大正15年11月10日 → 外国人土地法附則第9条
• 被消滅法令:
  • 外國人ヘ地所賣渡地券書入等ヲ禁ス
  • 質地處分ノ儀ニ付磐前縣伺
• 註: 以下のリストに掲載される漢字はJIS X 0208外の異体字であり、Unicode表のBMP（基本多言語面、0面）が正しく表示できない環境によっては正しく記されない可能性がある。尚U+FA30からU+FA60の文字は、JIS X 0213対応のフォント（IPAフォント等）による記述を行っている。

  • 凡例

    親字 → 異体字 (Unicode番号) ; 異体字の説明。

  • 増 → 增 (U+589E) ; 「曽」の部分が「曾」となる字形
  • 節 → 節 (U+FA56) ; 「即」の偏部分が「漑」のさんずいと旡を除いた部分となる字形
  • 穀 → 穀 (U+FA54) ; ワ冠と禾の間に「一」を加えた字形
  • 徳 → 德 (U+5FB7) ; 旁が「聽」の旁部分となる字形
  • 戸 → 戶 (U+6236) ; 1、2画目が「斤」の1、2画目となる字形
  • 諸 → 諸 (U+FA22) ; 「者」の部分が「偖」の旁部分となる字形
  • 勤 → 勤 (U+FA34) ; 艸冠が「廿」となる字形
  • 者 → 者 (U+FA5B) ; 「偖」の旁部分となる字形
• 註: 文中「トキ」は合字で記されている。

府縣ヘ

先般田地永代賣買被差許候ニ付自今質入書入致シ侯節ハ左ノ規則ノ通可相心得事

地所質入書入規則

第一條 金穀ノ借主地主ヨリ返濟スヘキ證據トシテ貸主金主ニ地所ト證文ヲ渡シ貸主其作德米ヲ以テ貸高ノ利息ニ充侯ヲ地所ノ質入ト云フ

第二條 金穀ノ借主地主ヨリ返濟スヘキ證據トシテ貸主金主ニ地所引當ノ證文ノミヲ渡シ借主ノ作德米ノ全部又ハ一部ヲ貸主ニ渡シ利息ニ充候ヲ書入ト云フ

第三條 金穀ノ借主地主ヨリ返濟スヘキ證據トシテ貸主金主ニ地所引當ノ證文ノミヲ渡シ借主ヨリ其利息トシテ米又ハ金ヲ拂ヒ候ヲモ亦タ書入ト云フ

第四條 地所ヲ質入ニ致シ候節ハ地券ヲモ相渡シ可申其年期ノ儀ハ三ケ年ヲ限ル可シ尤三ケ年以下期限取極候儀ハ勝手タルヘク且ツ年限取極候廉ハ判然證文面ニ記載致シ置可申事

但書入ノ儀ハ地券ヲ相渡スニ及ハス其年限長短共本文ノ限ニアラスト雖モ雙方相對ニテ取極候年限ハ本文同樣證文面ニ記載致置可申事

第五條 質入又ハ書入ノ地所期限ニ至リ貸主借主相談ノ上金穀ヲ返サスシテ地所ヲ引渡候節ハ舊地主其地券ノ裏ニ金主ヘ可引渡旨相認メ其地ノ戶長加判ノ上金主ヨリ新地券書替可願出事

第六條 質入ノ地所ハ金主ニテ其地所耕作可致筈ニ付テハ地租諸役トモ總テ金主ニテ可相勤事

但其段管轄廳ヘ屆出證書可差出事

第七條 書入ノ地所ハ地主ニテ耕作致シ候儀ニ付地租諸役トモ無論ニ地主ヨリ可相勤事

但管轄廳ヘ屆出ニ不及候事

第八條 管轄違ノ者或ハ同管轄ト雖モ懸隔ノ地所ヲ質ニ取リ候節ハ其現地ノ村町ヘ金主ノ名代人相定置其地租諸役トモ差支無之樣可爲相勤事

第九條 質入又ハ書入證文ハ必ス其村町戶長ノ奧書證印ヲ取ル可シ其村町戶長ノ役場ニハ奧書割印帳ヲ備ヘ置キ證文ノ奧書割印ヲ願出ル時ハ帳面ト證文トニ番號ヲ朱書シ割印ヲ押シ奧書ヲ爲ス可シ若シ奥書幷ニ割印ナキ證文ハ質入又ハ書入ノ證據ニハ不相成ニ付右證文ヲ以テ訴出ルニ於テハ負債主財產分散ノ時債主他ノ債主ニ對シ先キ取リノ特權ヲ失ヒ獨リ質入又ハ書入ナキ金穀貸借ノ處分ヲ可受事但戶長不在ノ節ハ其旨ヲ記シ副戶長奥書調印ス可シ

第十條 一箇所ノ地ヲ二重三重ニ書入候儀ハ不相成候得共若シ第一番ノ金主ヘ引當ニ入レ置候事ヲ第ニ番ノ金主承知ノ上ニテ地所代價ノ餘分ヲ見込一箇所ノ地所ヲ引當ニ借添ヘ致シ候儀ハ不苦尤引當ノ地所身代限リノ處分ニ至リ糶賣ニ相成候節ハ右ノ代金ヲ以テ先ツ第一番ノ者ヘ元利ノ金數ヲ引渡シ其餘金ヲ以テ第二番ノ者ヘ元利ノ金數ヲ引渡タシ第三番以下右ニ準シ引渡申ス可ク若シ糶賣ノ金高ヲ以テ先ツ第一番ノ金主ヘ元利ノ金數ヲ引渡シ其餘金不足スル時ハ第二番ノ金主ヘ不足ノ借引渡スヘク第三番以下ハ皆損失ト心得ヘキ事

但第二番ノ金主ヘ受取候證文ヘハ地所代價ノ餘分ヲ見込借添ヘ候旨ヲ書載セ可申事

第十一條 地所ハ勿論地券ノヨタリ𪜈外國人ヘ賣質質入書入等致シ金子請取又ハ借受候儀一切不相成候事

第十二條 質入年期中天災ニテ地所流亡等其地ノ全形ヲ失スルニ至ル時ハ地券モ消滅ト可心得池成野地成等ニ變換シ又ハ欠崩等其地ノ半部或ハ三分ノ一部形跡ヲ存セサルニ至ル時ハ右變換地及殘存地ニ應シ規則ニ基キ地券書替可願出儀ニ付貸金穀高モ其割合ヲ以テ相滅シ證文書替候儀ト可相心得事

但貸主借主相對示談ハ格別ノ事

第十三條 質入ノ地所年期中天災ニ因リ荒蕪ト相成ハ貸主地主ヨリ起返ノ見込ヲ定メ借主金主承諾ノ證書ヲ取リ其管轄ヘ可願出尤入費ハ借主ヨリ償フ可キ事

但借主起返ノ入費ヲ出スヿ能ハサルトキハ證書ヲ以テ其地所ヲ貸主ニ引渡シ可申尤相對示談ノ處置ハ格別ノ事

第十四條 當今質入又ハ書入二致シ置年期中ノ分ハ總テ前文規則ニ照準シ當七月限リ證文相改可申事

第十五條

一是迄質入書入ニ致シ置候分ハ前約ノ年期据置不苦尤證文面等前文規則ニ觸レ候廉ハ總テ相改可申事

右之通相定侯事