國防保安法
朕帝國議會ノ協賛ヲ經タル國防保安法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
- 昭和十六年三月六日
内閣總理大臣 | 公爵 | 近衛 文麿 |
内務大臣 | 男爵 | 平沼騏一郎 |
拓務大臣 | 秋田 清 | |
陸軍大臣 | 東條 英機 | |
海軍大臣 | 及川古志郎 | |
司法大臣 | 柳川 平助 |
法律第四十九號
國防保安法
第一章 罪
[編集]第一條 本法ニ於テ國家機密トハ國防上外國ニ對シ秘匿スルコトヲ要スル外交、財政、經濟其ノ他ニ關スル重要ナル國務ニ係ル事項ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノ及之ヲ表示スル図書物件ヲ謂フ
- 一 御前會議、樞密院會議、閣議又ハ之ニ準ズベキ會議ニ付セラレタル事項及其ノ會議ノ議事
- 二 帝國議會ノ秘密會議ニ付セラレタル事項及其ノ會議ノ議事
- 三 前二號ノ會議ニ付スル爲準備シタル事項其ノ他行政各部ノ重要ナル機密事項
第二條 本章ノ罰則ハ何人ヲ問ハズ本法施行地外ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ付亦之ヲ適用ス
第三條 業務ニ因リ國家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ外國(外國ノ爲ニ行動スル者及外國人ヲ含ム以下同ジ)ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ死刑又ハ無期若ハ三年以上ノ懲役ニ処ス
第四條 外國ニ漏泄シ又ハ公ニスル目的ヲ以テ國家機密ヲ探知シ又ハ収集シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ処ス
- 前項ノ目的ヲ以テ國家機密ヲ探知シ又ハ収集シタル者之ヲ外國ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ死刑又ハ無期若ハ三年以上ノ懲役ニ処ス
第五條 前二條ニ規定スル原由以外ノ原由ニ因リ國家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ外國ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ無期又ハ一年以上ノ懲役ニ処ス
第六條 業務ニ因リ國家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ処ス
第七條 業務ニ因リ國家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者過失ニ因リ之ヲ外國ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ三年以下ノ禁錮又ハ三千圓以下ノ罰金ニ処ス
第八條 國防上ノ利益ヲ害スベキ用途ニ供スル目的ヲ以テ又ハ其ノ用途ニ供セラルル虞アルコトヲ知リテ外國ニ通報スル目的ヲ以テ外交、財政、經濟其ノ他ニ關スル情報ヲ探知シ又ハ収集シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス
第九條 外國ト通謀シ又ハ外國ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ治安ヲ害スベキ事項ヲ流布シタル者ハ無期又ハ一年以上ノ懲役ニ処ス
第十條 外國ト通謀シ又ハ外國ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ金融界ノ撹乱、重要物資ノ生産又ハ配給ノ阻害其ノ他ノ方法ニ依リ國民經濟ノ運行ヲ著シク阻害スル虞アル行爲ヲ爲シタル者ハ無期又ハ一年以上ノ懲役ニ処ス
- 前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ十万圓以下ノ罰金ヲ併科スルコトヲ得
第十一條 第三條乃至第五條、第八條、第九條及前條第一項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第十二條 第三條乃至第五條、第九條又ハ第十條第一項ノ罪ヲ犯スコトヲ教唆シタル者ハ被教唆者其ノ実行ヲ爲スニ至ラザルトキハ十年以下ノ懲役ニ処ス
- 第三條乃至第五條、第九條又ハ第十條第一項ノ罪ヲ犯サシムル爲他人ヲ誘惑シ又ハ煽動シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ
- 第八條ノ罪ヲ犯スコトヲ教唆シタル者ハ被教唆者其ノ実行ヲ爲スニ至ラザルトキハ三年以下ノ懲役ニ処ス
- 第八條ノ罪ヲ犯サシムル爲他人ヲ誘惑シ又ハ煽動シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ
第十三條 第三條乃至第五條、第九條又ハ第十條第一項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備又ハ陰謀ヲ爲シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ処ス
- 第八條ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備又ハ陰謀ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役ニ処ス
第十四條 第四條第一項、第八條、第十一條乃至前條ノ罪ヲ犯シタル者未ダ官ニ発覚セザル前自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽シ又ハ免除ス
第十五條 本章ニ規定スル犯罪行爲ヲ組成シタル物、其ノ犯罪行爲ニ供シ若ハ供セントシタル物又ハ其ノ犯罪行爲ヨリ生ジ若ハ之ニ因リ得タル物ハ其ノ物犯人以外ノ者ニ属セザルトキニ限リ之ヲ没収スル場合ヲ除クノ外何人ノ所有ヲ問ハズ検事之ヲ没収スルコトヲ得
- 前項ノ犯罪行爲ノ報酬トシテ得タル物及同項ニ掲グル物ノ對価トシテ得タル物ハ其ノ物犯人以外ノ者ニ属セザルトキニ限リ之ヲ没収ス其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
第二章 刑事手続
[編集]第十六條 本章ノ規定ハ左ニ掲グル罪ニ關スル事件ニ付之ヲ適用ス
- 一 第三條乃至第十三條ノ罪
- 二 軍機保護法第二條乃至第七條及此等ニ關スル第十五條乃至第十七條、軍用資源秘密保護法第十一條乃至第十五條、第十九條、刑法第二編第三章、陸軍刑法第二十七條乃至第二十九條及此等ニ關スル第三十一條、第三十二條、第三十四條、海軍刑法第二十二條乃至第二十四條及此等ニ關スル第二十六條、第二十七條、第二十九條並ニ國家總動員法第四十四條ノ罪
- 本章ノ規定ハ外國ト通謀シ又ハ外國ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ犯シタル左ニ掲グル罪ニ關スル事件ニ付亦之ヲ適用ス
- 軍機保護法(前項第二號ニ掲グル罪ヲ除ク)、軍用資源秘密保護法(前項第二號ニ掲グル罪ヲ除ク)、要塞地帯法、陸軍輸送港域軍事取締法、明治二十三年法律第八十三號(軍港要港規則違犯者処分ノ件)、軍用電気通信法、國境取締法、刑法第二編第一章、第二章、第四章、第八章乃至第十一章、第十五章乃至第十八章、第二十六章、第二十七章及第四十章、朝鮮刑事令第三條、陸軍刑法第二編第一章(前項第二號ニ掲グル罪ヲ除ク)、第八章及第九十九條、海軍刑法第二編第一章(前項第二號ニ掲グル罪ヲ除ク)、第八章及第百條、治安維持法、大正十五年法律第六十號(暴力行爲等処罰ニ關スル法律)、爆発物取締罰則、匪徒刑罰令(明治三十一年律令第二十四號)、不穏文書臨時取締法、通貨及証券模造取締法、通貨及証券模造取締規則(明治三十六年律令第十四號)、明治三十八年法律第六十六號(外國ニ於テ流通スル貨幣紙幣銀行券証券偽造変造及模造ニ關スル法律)、治安警察法、大正八年制令第七號(政治ニ關スル犯罪処罰ノ件)、外國爲替管理法、關税法、昭和十二年法律第九十二號(輸出入品等ニ關スル臨時措置ニ關スル法律)、船舶法、航空法、電信法、無線電信法竝ニ國家總動員法(前項第二號ニ掲グル罪ヲ除ク)ノ罪
第十七條 検事ハ被疑者ヲ召喚シ又ハ其ノ召喚ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 検事ノ命令ニ因リ司法警察官ノ発スル召喚状ニハ命令ヲ爲シタル検事ノ職、氏名及其ノ命令ニ因リ之ヲ発スル旨ヲモ記載スベシ
- 召喚状ノ送達ニ關スル裁判所書記及執達吏ニ属スル職務ハ司法警察官吏之ヲ行フコトヲ得
第十八條 被疑者正當ノ事由ナクシテ前條ノ規定ニ依ル召喚ニ応ゼズ又ハ刑事訴訟法第八十七條第一項各號ニ規定スル事由アルトキハ検事ハ被疑者ヲ勾引シ又ハ其ノ勾引ヲ他ノ検事ニ嘱託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 前條第二項ノ規定ハ検事ノ命令ニ因リ司法警察官ノ発スル勾引状ニ付之ヲ準用ス
第十九條 勾引シタル被疑者ハ指定セラレタル場所ニ引致シタル時ヨリ四十八時間内ニ検事又ハ司法警察官之ヲ訊問スベシ其ノ時間内ニ勾留状ヲ発セザルトキハ検事ハ被疑者ヲ釈放シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ釈放セシムベシ
第二十條 刑事訴訟法第八十七條第一項各號ニ規定スル事由アルトキハ検事ハ被疑者ヲ勾留シ又ハ其ノ勾留ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 第十七條第二項ノ規定ハ検事ノ命令ニ因リ司法警察官ノ発スル勾留状ニ付之ヲ準用ス
第二十一條 勾留ニ付テハ警察官署又ハ憲兵隊ノ留置場ヲ以テ監獄ニ代用スルコトヲ得
第二十二條 勾留ノ期間ハ二月トス特ニ継続ノ必要アルトキハ區裁判所検事ハ検事正ノ許可、地方裁判所検事ハ検事長ノ許可ヲ受ケ一月毎ニ之ヲ更新スルコトヲ得但シ通ジテ四月ヲ超ユルコトヲ得ズ
- 治安維持法ノ罪ニ付特ニ継続ノ必要アルトキハ検事長ノ許可ヲ受ケ一月毎ニ勾留ノ期間ヲ更新スルコトヲ得但シ通ジテ一年ヲ超ユルコトヲ得ズ
- 検事總長又ハ其ノ指揮ヲ受ケタル検事刑法第七十三條、第七十五條又ハ第七十七條乃至第七十九條ノ罪ノ捜査ノ爲特ニ継続ノ必要アルトキハ一月毎ニ勾留ノ期間ヲ更新スルコトヲ得但シ通ジテ六月ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二十三條 勾留ノ事由消滅シ其ノ他勾留ヲ継続スルノ必要ナシト思料スルトキハ検事ハ速ニ被疑者ヲ釈放シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ釈放セシムベシ
第二十四條 検事ハ被疑者ノ住居ヲ制限シテ勾留ノ執行ヲ停止スルコトヲ得
- 刑事訴訟法第百十九條第一項ニ規定スル事由アル場合ニ於テハ検事ハ勾留ノ執行停止ヲ取消スコトヲ得
第二十五條 検事ハ被疑者ヲ訊問シ又ハ其ノ訊問ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 検事ハ公訴提起前ニ限リ証人ヲ訊問シ又ハ其ノ訊問ヲ他ノ検事ニ嘱託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 司法警察官検事ノ命令ニ因リ被疑者又ハ証人ヲ訊問シタルトキハ命令ヲ爲シタル検事ノ職、氏名及其ノ命令ニ因リ訊問シタル旨ヲ訊問調書ニ記載スベシ
- 第十七條第二項及第三項ノ規定ハ証人訊問ニ付之ヲ準用ス
第二十六條 検事ハ公訴提起前ニ限リ押収、捜索若ハ検証ヲ命ジ又ハ其ノ処分ヲ他ノ検事ニ嘱託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 検事ハ公訴提起前ニ限リ鑑定、通訳若ハ翻訳ヲ命ジ又ハ其ノ処分ヲ他ノ検事ニ嘱託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 前條第三項ノ規定ハ押収、捜索又ハ検証ノ調書及鑑定人、通事又ハ翻訳人ノ訊問調書ニ付之ヲ準用ス
- 第十七條第二項及第三項ノ規定ハ鑑定、通訳及翻訳ニ付之ヲ準用ス
第二十七條 刑事訴訟法中被告人ノ召喚、勾引及勾留、被告人及証人ノ訊問、押収、捜索、検証、鑑定、通訳並ニ翻訳ニ關スル規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外被疑事件ニ付之ヲ準用ス但シ保釈及責付ニ關スル規定ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十八條 外國船舶又ハ外國航空機法律又ハ之ニ基キテ発スル命令ニ依ル禁止又ハ制限ニ係ル區域ニ侵入シタル場合ニ於テ検事捜査ノ爲必要アルトキハ其ノ船舶若ハ航空機ニ對シ指定ノ場所ニ廻航スベキコトヲ命ジ若ハ之ヲ抑留シ又ハ其ノ船舶若ハ航空機ノ長、乗組員及乗客ニ對シ指定ノ場所ニ滞留スベキコトヲ命ズルコトヲ得
- 検事ハ前項ノ規定ニ依ル処分ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
- 前二項ノ規定ハ第十六條ニ規定スル罪以外ノ罪ニ關スル事件ニ付亦之ヲ適用ス
第二十九條 弁護人ハ司法大臣ノ予メ指定シタル弁護士ノ中ヨリ之ヲ選任スベシ但シ刑事訴訟法第四十條第二項ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第三十條 弁護人ノ数ハ被告人一人ニ付二人ヲ超ユルコトヲ得ズ
- 弁護人ノ選任ハ最初ニ定メタル公判期日ニ係ル召喚状ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ十日ヲ經過シタルトキハ之ヲ爲スコトヲ得ズ但シ已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於テ裁判所ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十一條 弁護人ハ審判ヲ公開シタル公判廷ニ於テ口頭弁論ヲ爲ス場合ニハ國家機密、軍事上ノ秘密、軍用資源秘密又ハ官庁指定ノ總動員業務ニ關スル官庁ノ機密ヲ陳述スルコトヲ得ズ此ノ場合ニ於テ弁護人ハ其ノ事項ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ陳述ニ代フルコトヲ得
第三十二條 弁護人ハ訴訟ニ關スル書類ノ謄写ヲ爲サントスルトキハ裁判長又ハ予審判事ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
- 弁護人ノ訴訟ニ關スル書類ノ閲覧ハ裁判長又ハ予審判事ノ指定シタル場所ニ於テ之ヲ爲スベシ
第三十三條 第十六條第一項ニ掲グル罪又ハ外國ト通謀シ若ハ外國ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ同條第二項ニ掲グル罪ヲ犯シタルモノト認メタル第一審ノ判決ニ對シテハ控訴ヲ爲スコトヲ得ズ
- 前項ニ規定スル第一審ノ判決ニ對シテハ直接上告ヲ爲スコトヲ得
- 上告ハ刑事訴訟法ニ於テ第二審ノ判決ニ對シ上告ヲ爲スコトヲ得ル理由アル場合ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
- 上告裁判所ハ第二審ノ判決ニ對スル上告事件ニ關スル手続ニ依リ裁判ヲ爲スベシ
第三十四條 裁判所ハ外國ト通謀シ若ハ外國ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ第十六條第二項ニ掲グル罪ヲ犯シタルモノト認メタルトキハ其ノ旨ヲ判決ニ摘示スベシ
- 前項ノ摘示ヲ爲シタル第一審判決ニ對シ上告アリタル場合ニ於テ上告裁判所外國ト通謀シ若ハ外國ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ犯シタルモノニ非ザルコトヲ疑フニ足ルベキ顕著ナル事由アルモノト認ムルトキハ判決ヲ以テ原判決ヲ破毀シ事件ヲ管轄控訴裁判所ニ移送スベシ
- 第十六條ニ掲グル罪ヲ犯シタルモノト認メタル第一審判決ニ對シ上告アリタル場合ニ於テ上告裁判所同條ニ掲グル罪ヲ犯シタルモノニ非ザルコトヲ疑フニ足ルベキ顕著ナル事由アルモノト認ムルトキハ亦前項ニ同ジ
第三十五條 上告裁判所ハ公判期日ノ通知ニ付テハ刑事訴訟法第四百二十二條第一項ノ期間ニ依ラザルコトヲ得
第三十六條 裁判所ハ本章ノ規定ノ適用ヲ受ケル罪ニ關スル訴訟ニ付テハ他ノ訴訟ノ順序ニ拘ラズ速ニ其ノ裁判ヲ爲スベシ
第三十七條 第十六條ニ規定スル罪ニ該ル事件(陪審法第四條ニ規定スルモノヲ除ク)ハ之ヲ陪審ニ付セズ
第三十八條 刑事手続ニ付テハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外一般ノ規定ノ適用アルモノトス
第三十九條 本章ノ規定ハ第二十一條、第二十二條、第二十八條、第二十九條、第三十條第一項、第三十三條、第三十四條及第三十七條ノ規定ヲ除クノ外軍法會議ノ刑事手続ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ刑事訴訟法第八十七條第一項トアルハ陸軍軍法會議法第百四十三條又ハ海軍軍法會議法第百四十三條、刑事訴訟法第四百二十二條第一項トアルハ陸軍軍法會議法第四百四十四條第一項又ハ海軍軍法會議法第四百四十六條第一項トシ第二十四條第二項中刑事訴訟法第百十九條第一項ニ規定スル事由アル場合ニ於テトアルハ何時ニテモトス
第四十條 朝鮮及臺灣ニ在リテハ本章ニ掲グル法律ハ制令又ハ律令ニ於テ依ル場合ヲ含ム
- 朝鮮ニ在リテハ第二十二條第三項中刑法第七十三條、第七十五條又ハ第七十七條乃至第七十九條トアルハ刑法第七十三條、第七十五條若ハ第七十七條乃至第七十九條又ハ朝鮮刑事令第三條トシ第三十五條中刑事訴訟法第四百二十二條第一項トアルハ朝鮮刑事令第三十一條トス
- 朝鮮ニ在リテハ本章中ノ司法大臣トアルハ朝鮮總督、検事總長トアルハ高等法院検事長、検事長又ハ検事正トアルハ覆審法院検事長、地方裁判所検事又ハ區裁判所検事トアルハ地方法院検事トス
- 臺灣ニ在リテハ本章中ノ司法大臣トアルハ臺灣總督、検事總長又ハ検事長トアルハ高等法院検察官長、検事正トアルハ地方法院検察官長、地方裁判所検事又ハ區裁判所検事トアルハ地方法院検察官又ハ地方法院支部検察官、検事トアルハ検察官、予審判事トアルハ予審判官トス
附則
- 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
- 本法ハ内地、朝鮮、臺灣及樺太ニ之ヲ施行ス
- 第二章ノ規定ハ本法施行前公訴ヲ提起シタル事件ニ付テハ之ヲ適用セズ
- 本法施行前朝鮮刑事令第十二條乃至第十五條ノ規定ニ依リ爲シタル捜査手続ハ本法施行後ト雖モ仍其ノ効力ヲ有ス
- 前項ノ捜査手続ニシテ本法ニ之ニ相當スル規定アルモノハ本法ニ依リ爲シタルモノト看做ス
この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。