初等整数論講義/第1章/1のn乗根

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

1. 乗根即ち方程式 の根は 個あって,それらは

(1)[1]

然しながら,, の周期性から知られる通り

に対応する 乗根は の倍数, 従って の倍数,即ち なるときに限って相等しいから, 乗根をことごとく得る為に (1) に於いて に与えるべき値は, を法としての一つの剰余系である.

(1) に於いて なるときは, 倍して 始めて の倍数になるから,

乗して始めて に等しくなるものである. これらを の原始 乗根という. 若しも ならば, と置くとき,

であるから,

乗して既に に等しくなる.即ち 乗根である.

定理 1.23.

の原始 乗根は 個ある.それらは

に於いて, を法としての既約剰余系の値を与えて得られるものである.

[例]

乗根は

で,その中始めの 乗根, 乗根, 次の二つは 乗根で,最後の二つだけが原始 乗根である.

定理 1.24.

の素数分解を とし,

(2)

とすれば, の原始 乗根のみを根とする多項式である.

次で,その最高項の係数は ,その他の係数は皆整数である. メイビウスの函数である.

[証]

の原始 乗根のみ根(単根)とする方程式を とし, その最高項の係数を とする. その他の 乗根は の或る真の約数 を次数とする原始 乗根で, 又 乗根は固より全部 乗根の中に含まれているから

由って定理1.22に於ける とに それぞれ とを宛て,又和の代わりに積を取り, 従って を係数とする代わりに,それを指数とするならば

を得る.これを書き直せば (2) を得る.

を用いるならば

から定理1.22に由って

[2]

従って

この計算では, を充分大きい正数として が正の値を有する ものとして, の実数値を取ると考えるがよい.最後の結果は勿論 に 関する恒等式である.(I, §22).

の次数は勿論 で その係数は (2) から見える通り,整数である:(2) の分子と分母とに於ける積を展開して後に,割り算を 行うと想像すれば,分母の最高項の係数が であるから, 割り算に際して商の係数に分数の生ずる余地がない.

例えば

が素数ならば

命題 1.

の常数項は, の場合の外, である.

命題 2.

の第二項の係数は に等しい. 即ち の原始 乗根の和は に等しい

[証]

原始 乗根の和を とすれば, から

[3] [4]

故に(定理1.22)


命題 3.

の原始 乗根とすれば,

がすべての 乗根で, その中 なるものだけが原始 乗根である.

[証]

は無論 乗根であるが, が原始 乗根であるから の冪が に等しいのは指数が の倍数であるときに限る. 故に になるのは, のときに限る.

を法として完全なる代表の一組の値を与えるとき, から 個の相異なる 乗, 即ちすべての 乗根が出で来る.

とすれば,. 又 ならば, の倍数. 由って の倍数である. 即ち は原始 乗根である. 特に のときに, は原始 乗根である.


命題 4.

ならば, 乗根と 乗根とを すべての組み合わせに掛けて得られる 個の積が, 乗根の全部になる. 若しも原始 乗根と原始 乗根とのみかけ合わせるならば, 原始 乗根のみが得られる.

[証]

とすれば

[5] ここで にそれぞれ を法としての剰余系 [又は既約剰余系] の値を与えるならば, を法としての剰余系 [又は既約剰余系] の値を取る (定理 1.19) . 故に問題に言う通りになる.


  1. officious: のもと .
  2. 場合わけ式中の日本語を省略した(入力ガ不可能のため)
  3. officious: と同じ考え方
  4. ド・モアブルの定理 を適用し,この結果に三角関数の加法定理をあてはめる.すなわち