出入国の管理に関する政令
公布時
[編集]出入国の管理に関する政令をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年八月十日
政令第二百九十九号
出入国の管理に関する政令
内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、この政令を制定する。
(目的)
第一条 この政令は、連合国最高司令官の許可を得て本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人(公務のため出入国する占領軍の軍人及び軍属並びにこれらの家族を除く。)の出入国(以下「出入国」という。)の管理、不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整並びにこれらの実施に必要な行政機関及び職員について規定することを目的とする。
(入国管理部の設置)
第二条 外務省管理局に、入国管理部を置く。
(入国管理部の事務)
第三条 入国管理部においては、左の事務をつかさどる。
一 出入国の記録を整備すること。
二 入国監理官の行う事務に関すること。
三 前二号に掲げるものの外、出入国の管理に関すること。
四 不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整を行うこと。
五 前各号に掲げる事務に関し連合国官憲と連絡すること。
(入国監理官)
第四条 出入国に際し、権限のある公的機関の発行する旅券又はこれに代わるべき書類に証印させるため、税関に、入国監理官を置く。
2 外務大臣は、入国監理官の行う事務について税関長を指揮監督する。
3 入国監理官が置かれる税関は、大蔵大臣が外務大臣と協議して定める。
(出入国管理連絡協議会)
第五条 出入国の管理並びに不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整を図るため、外務省の附属機関として出入国管理連絡協議会を置く。
2 出入国管理連絡協議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、政令で定める。
附 則
1 この政令は、公布の日から施行する。
2 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
別表第二中「
外務省 政務局 |
情報部 |
外務省 政務局 管理局 |
情報部 入国管理部 |
3 外務省設置法(昭和二十四年法律第百三十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十号を第二十一号とし、以下一号ずつ繰り下げ、同条第十九号の次に次の一号を加える。
二十 出入国の管理並びに不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整に関すること。
第五条に次の一項を加える。
3 管理局に、出入国の管理に関する政令(昭和二十四年政令第二百九十九号)により、入国管理部を置く。
第十条に次の一号を加える。
八 出入国の管理並びに不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整に関すること。
同條に次の一項を加える。
2 入国管理部は、出入国の管理に関する政令の定めるところにより、前項第八号に規定する事務をつかさどる。
第十二条中「中央連絡協議会」を
「中央連絡協議会
出入国管理連絡協議会」に改める。
第十四条の次に次の一條を加える。
(出入国管理連絡協議会)[2]
第十四条の二 出入国管理連絡協議会に関しては、出入国の管理に関する政令の定めるところによる。
4 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第二十条第四号の次に次の一号を加える。
五 旅券又はこれに代わるべき書類の証印に関すること。
5 関税法(明治三十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第百一条ノ五第一項中「外国ニ出国セントスル者」の下に「(公務ノ為出入国スル占領軍ノ軍人及軍属並ニ其ノ家族ヲ除ク)」を加え、「其ノ査証」を「之ニ入国監理官ノ証印」に改め、同条第二項中「税関官吏」を「入国監理官」に改める。
6 財産及び貨物の輸出入の取締に関する政令(昭和二十四年政令第百九十九号)の一部を次のように改正する。
第三十四条の見出し中「旅券査証等」を「旅券証印等」に、同条第一項中「出国の際税関職員に」を「出国の際税関に」に、「その査証」を「これに入国監理官の証印」に、「この場合において、税関職員は」を「この場合において、入国監理官は」に、同条第二項中「税関職員」を「入国監理官」に改める。
正誤訂正
[編集]- ↑ 昭和24年9月1日付け官報本紙第6761号にてこの表(縦書き)の左右の縦の枠線なし状態を枠あり状態へ正誤訂正
- ↑ 昭和24年9月1日付け官報本紙第6761号にてこの見出しを一字下げる(空白を挿入する)正誤訂正
改廃経過
[編集]- 出入国の管理に関する政令の一部を改正する政令(昭和25年政令第24号)(ポツダム政令):
- 第1条中「すべての人(公務のため出入国する占領軍の軍人及び軍属並びにこれらの家族を除く。)」を「すべての人(公務のため出入国する占領軍の軍人及び軍属、対日理事会の構成員、連合国最高司令官の承認した外国使節団の構成員並びにこれらの者の家族を除く。)」に改める。第3条第3号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を第4号とし、以下一号ずつ繰り下げ、同条第2号の次に次の一号を加える。
- 三 出国(第六条の規定による許可を受けた日から一年以内に本邦に再び入国する目的でする出国を含む。以下同じ。)の許可に関する事務を行うこと。
- 第4条第1項中「書類に証印させるため、」の下に「及び出国の許可に関する事務を行わせるため、」を加える。第5条の次に次の四条を加える(以上昭和24年2月28日施行、同月25日遡及適用)。
- (出国の許可の申請)
- 第六条 出国しようとするすべての人は、外務大臣に出国の許可の申請をしなければならない。但し、左の各号に掲げる者については、この限りでない。
- 一 公務のため出国する占領軍の軍人及び軍属、対日理事会構成員、連合国最高司令官の承認した外国使節団の構成員並びにこれらの者の家族
- 二 連合国最高司令官の許可を得て本邦に入国した者であつて、入国の日から三月以内に本邦を出国する者(第二条第三号に規定する再入国の目的をもつて出国する者を除く。)
- 三 連合国最高司令官の許可を得て、海外に渡航する者に対して発給する旅券に関する政令(昭和二十五年政令第十一号)に基き、旅券の発給を受けた者
- 第七条 前条の規定による出国の許可申請をしようとする者は、横浜税関若しくは神戸税関に置かれた入国監理官を経由して、又は直接に、外務大臣に出国の許可申請書を、外務省令の定める様式及び手続により、提出しなければならない。
- (出国の許可)
- 第八条 外務大臣が出国の許可をした場合においては、外務省管理局入国管理部長又は横浜税関若しくは神戸税関に置かれた入国監理官は、当該出国の許可申請書を提出した者に係る権限のある公的機関の発行する旅券又はこれに代るべき書類に出国の許可があつた旨及び当該出国の許可の有効期間を記入しなければならない。
- (手数料)
- 第九条 前条の場合においては、出国の許可を受けた者は、同条の規定による記入を受ける際、[1]手数料として手数料納付書に千円に相当する収入印紙をはつて、[2]これを入国管理部長あてに提出しなければならない。
- 第1条中「すべての人(公務のため出入国する占領軍の軍人及び軍属並びにこれらの家族を除く。)」を「すべての人(公務のため出入国する占領軍の軍人及び軍属、対日理事会の構成員、連合国最高司令官の承認した外国使節団の構成員並びにこれらの者の家族を除く。)」に改める。第3条第3号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を第4号とし、以下一号ずつ繰り下げ、同条第2号の次に次の一号を加える。
- 外務省設置法の一部を改正する法律(昭和25年法律第80号): 第5条を次のように改める(昭和25年4月1日施行)。
- 第五条 削除
- 出入国管理庁設置令(昭和25年政令第295号)(ポツダム政令):
- 第1条中「、不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整並びにこれらの実施に必要な行政機関及び職員」を削る。第2条から第5条までを次のように改める。
- 第二条から第五条まで 削除
- 第6条第2号中「(第二条第三号に規定する再入国の目的をもつて出国する者を除く。)」を「(出国の許可を受けた日から一年以内に本邦に再び入国する目的をもつて出国する者を除く。)」に改める。第7条中「入国監理官」を「出入国監理官」に改める。第8条中「外務省管理局入国管理部長」を「出入国管理庁長官」に、「入国監理官」を「出入国監理官」に改める。第9条中「入国管理部長」を「出入国管理庁長官」に改める(以上昭和25年10月1日施行)。
- 第1条中「、不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整並びにこれらの実施に必要な行政機関及び職員」を削る。第2条から第5条までを次のように改める。
- 出入国管理令(昭和26年政令第319号): 廃止(昭和26年11月1日施行)
改正法令の正誤訂正
[編集]関連項目
[編集]この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。