ハリー・S・トルーマンの第3回一般教書演説

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動


演説[編集]

上院議長[1]下院議長[2]、及び第80議会の議員諸君よ。

本日我々は、連邦の現況について検討することにしたい。

今回は何よりもまず、議会大統領政党にでなく国家に、注意を集中せねばならない。我々を分裂させるものでなく、結び付けるもの――米国の体制の永続的原理、米国民の将来の福祉と安全保障に対する我々の共通の目標――に、注意を集中せねばならないのである。

我々は、細部については見解を異にすれども、1人の国民としては偉大な目的のために協力できた。米国が偉大な国家となり得たのはこのためである。

我々の強さは、多くの要素から成る。例えば民主政府、経済体制、膨大な天然資源などである。だが、それだけでは全てを説明したことにはならない。

我が国の強さの根源は、精神的なものである。我々は、信念を持つ人民である。我々は、人間の尊厳を信ずる。我々は、米国民が建国の父と同じ姿を持つと信ずる。

我々は、人民というものが単に国家を強力にするためだけに、あるいは経済という機械の歯車となるためだけに存在しているとは信じない。我々は、政府は人民に貢献するために創造され、経済体制は人民の要望に奉仕するために存在すると信ずる。我々は、人間としての個人の幸福と権利に対する深い情熱を持っている。

我が人民の信条は、世界情勢が不安定で変動している現在にあっては、歴史上特に大きな意味を有する。

多くの国々における戦争の被害者は、己の生活を立て直すべく努力しており、戦争の悲劇が再発しないとの保証を探し求めている。世界中で、新たな思想が古き思想に取って代わりつつある。あらゆる国の人民が、拠って立つ信条を考え直しつつある。科学や工業の激変は、文明の将来的道筋に影響を及ぼすであろう新たな力を生み出した。

連邦の現状は、こうした現代世界の変化を反映している。経済発展の能力、そして更に重要なことには、精神的成長の能力という巨大なエネルギーを動かす兆候が至る所にある。だがこの大いなる活動には、大いなる疑念、大いなる不安、大いなる願望が伴っている。それらは、生活をより価値あるものにするための状況が整わねばならないという、賢明な人民の思いを示している。

我々は、こうした不安や願望に対する解答を己の手で見出さねばならない。我々は、真の自由と機会の基礎たるべき寛容、滅私、友愛といった道徳的・精神的な要素を体現する解答を求めている。

連邦の現状を検証するに当たっては、最近10年の成果や、次の10年への目標という見地から考えるのが有益である。我々はこの10年の間にどこまで進んできたのか? 次の10年にどこまで進むことができるのであろうか?

独裁者らの、人類に戦争を仕掛けようとする決意が明白になったのは、10年前のことであった。以後数年間、戦争は名状し難いほどの死と破壊をもたらした。

我々も戦争の苦難を味わったが、幸いにも戦災はほとんど受けずに済んだ。この10年間を通じて我々は、農場や工場の生産力を拡大することができた。

しかしながら、より重要なのは、この数年間が自由民主主義の理想に対する新たな勇気を、そして新たな信念を我々に与えたという事実である。自由と正義に対する我々の深い信頼は、戦争という試練の中でより強くなったのである。

大いに強くなった経済基盤や、民主主義の価値に対する新たな信頼に基づき、我々は前進し続けることができる。

将来の計画を立てると、即座に恐れと疑惑の目を向ける者もいる。だが、我々の大きな国家的業績は、展望を持つ者によって成し遂げられてきた。先を見通す者によって、我が国は形成され、領土は拡大し、巨大な産業は築かれたのである。

今日、国民が我が国の民主主義と国民の幸福との基盤に最も関わる将来目標を見据えることを期待する。

斯様なことを言うのは、私が確信しているからである。我々は明確な目標と堅い決意をもって、過去10年の成果に基づき、今後10年の間に輝かしい未来を達成できるのだと。これからは、我々はこうした進歩の相当部分を毎年のように築かなければならない。

我々の第1の目標は、市民の基本的人権を完全に保障することである。

米国は常に、人権に対する深い関心を持ってきた。信教言論思想の自由は、我が国が大切にしてきた本質である。如何なる人権の否定も、民主主義の基本的な信条の、そして個々人の価値に対する我が国の敬意の否定を意味する。

しかし今日、一部の国民は教育のための、職業と経済発展のための、そして投票による意見表明のための均等な機会を未だ与えられていない。中でも最も深刻なのは、法による等しき保護を与えられていない者が存在するということである。差別というものは、それが人種や信条、肌の色、出身地のいずれに根差すものであるかに関わらず、米国の民主主義の理想に全く反しているのである。

大統領公民権諮問委員会の最近の報告は、連邦政府、、地方自治体による是正措置への道を示している。効果的な国家的行動が必要であるため、私はこの重要課題に関する特別教書を議会に提出する所存である。

我々は、準州及び属領の人民に最大限の公民権を保証する義務についても考えねばならない。私は、アラスカハワイが州として連邦に加わるべき時が来たと考える。

我々の第2の目標は、国内の人的資源の保護育成である。

公民権の保護には、市民の発展の機会及び経済的不安定からの保護に対する、等しい配慮が伴わねばならない。この国における自由と平等の理想は、健康、教育、社会保障、及び住宅の問題に関して特別の意味を持っている。

過去12年に亙り、我々は社会保障法の堅固な枠組みを構築してきた。現在、数百万の国民が、賃金労働者の失業、老年または死亡に伴う所得の喪失から保護されている。それでも、我が国の制度には問題と不整合性がある。同制度は、半ばしか完成していない。

我々は今、現在保護されていない数百万の人々にまで、失業手当、老齢年金、遺族年金を拡大せねばならない。同時に、給付額の水準も引き上げねばならない。

我が国の社会保障構造における最大の問題は、国民の健康に対する充分な備えの欠如である。我々は、米国で提供される高水準の医療を、大変誇りに思う。だが実際には、大半の国民が必要な医療費を支払えずにいるのである。

私は、現状が全国的保健計画を必要としていることを、何度も強く主張してきた。計画の核心は、検証済みの保険原則に基づく、医療費負担に関する国家制度でなければならない。この偉大なる国家は、適当な治療の不足によって国民がいたずらに苦しむのを容認できない。

我々の究極の目的は、あらゆる国民を不安定と不健康から等しく保護するための、包括的保険制度でなければならない。

米国の民主主義のもう1つの基本目標は、あらゆる者に充分な教育を提供することである。

我が国の教育組織は、財政危機に瀕している。我が国ほどの豊かな国家に、適正な初等教育や中等教育のための充分な校舎や教師を持たない何百万もの児童がいることは遺憾である。いずれの州の教育が不充分であっても、国家全体が疲弊する。この危機に対処すべく、連邦政府は責任を持って財政援助を提供する。

加えて、我々は教育に関する機会均等を全国民に拡充させねばならない。そうすることによってのみ、国民に民主主義の責任というものを理解させ、共有させることができるのである。

政府の保健・教育・社会保障計画は、我が国の民主主義にとって非常に重要である。故に我々は、これらの執行管理のための政府機関を設置する必要がある。

健康と教育は、家庭において始まる。病院や学校がどのようであろうとも、数百万の人々が都市のスラムや田舎のぼろ小屋で暮らすようでは、我が国の青少年に悪影響が生ずる。今後10年以内に、あらゆる家庭がまともな住居を持てるようにせねばならない。緊急の措置として、私が事あるごとに議会に勧告してきたような、長期的住宅計画が必要である。同計画は、より多くの住宅をより低い価格で提供するための財政援助を含まなねばならない。同計画は、低収入の家庭に公営住宅を提供すると共に、建築費を下げる新技術の精力的な開発を提供せねばならない。

現在の深刻な住宅不足を克服するまでは、家賃統制を延長・強化せねばならない。

我々は復員兵の福祉に関する特別な関心を持ってきたし、今後も持ち続ける。第二次世界大戦時に軍務に服した1400万人以上の男女が、今や一般生活に戻った。200万人以上の復員兵が、学校への入学支援を受けている。数百万人が求職中に援助を受け、また住宅を購入する際に、治療を受ける際に、そして身体障害に適応する際に支援を受けた。

ごく少数の復員兵を除いては、軍隊生活から故郷の地域社会へとうまく移行した。我が国の復員兵政策の成功は、この事実によって裏付けられる。我が国は、復員兵が己を恃み、自立した市民になろうと熱心になっていることを誇りに思う。

我々の第3の目標は、国内の天然資源を保全・活用し、もってこれらの資源を国民の福祉に最も効果的に貢献させることである。

自然がこの国に与えた資源は、豊富かつ広汎である。我が国の成長と経済発展の物質的基盤は、農地の恵み、鉱山や森林の富、水のエネルギーである。我々は1人の国民として、こうした資源保存と国力維持との間にある用量相関を日々感謝すべきである。

我々は、自国の資源を破壊することなく活用する方法を知っているにも拘らず、ほとんど活用していない。資源の公的・私的な活用には、将来の発展のためにこれらの基本的な支持を維持・増大させるという主要目的がなければならない。

我々は、この目標に向けた具体的措置を講じ続けねばならない。我々は自然の恵みを、私益のために濫用する者から断固として守らねばならない。

我々は、自国の鉱物資源に関する正確かつ包括的な知識を必要としており、新たな供給と不足物資の備蓄とを進めねばならない。

我々は、浸食と戦い、土壌の生産力を回復させることを通じて、国土を――公有地と私有地の別を問わず――を保護し、修復させる必要がある。

我々は、開発計画を拡大することにより、数百万エーカーの不毛な土地を生産に適した土地に変え、更なる数百万エーカーの土地に対する給水を改善せねばならない。これにより、特に西部において復員兵などに新たな機会を提供すると共に、増加する人々の生活水準を向上させる。

我々は、収量維持型林業によって、あるいは現在は伐採された不毛な地域に新しい木々を植えることによって、森林を保護し、回復させねばならない。

我々は、大河への多目的ダムの建設を継続せねばならない――土地を開発するためだけでなく、洪水を防ぎ、内陸の水路を拡張し、水力発電を提供するために。この公共電力は、私益のために独占されてはならない。電力を直接利用者に送り、低料金で広く利用させるような安定した政策によってのみ、連邦政府は人々に充分な恩恵を与えることができる。工業や農業の発展に関し、現在電力不足によって抑制されている生産能力を上げるため、更なる電力が――公的にも私的にも――必要である。

我々は、大河流域の完全な開発を通じて、資源の有効利用を成し遂げねばならない。我々は、テネシー川流域の経験[3]から多くを学ぶことができる。我々は、この巨大事業の教訓を他の大河流域にも遅滞なく活かさねばならない。

我々の第4の目標は、自国の経済構造を強化し、産品を広く国民に行き渡らせることによって、全国民の生活水準を引き上げることである。

過去10年の驚異的な経済成長は、次の10年のための道を示している。

今や、職を得ている者は1938年比にして1400万人増加している。

我が国の財とサービスの年間生産高は、3分の2増加した。

等しい購買力のドルで計算すると、国民の平均所得は――税引き後で――50%以上増加した。

この10年間ほど、農民、実業家、賃金労働者が大きな利益を生んだ時期はない。

我々は、今後10年では前回ほど急速に拡大できまい。何故なら我々は現在、完全雇用と非常に高い生産から始まっているからである。だが、年間生産高を少なくとも現在より3分の1増やすことはできる。生活水準を10年前の約2倍にすることはできる。

これらの利益を適正に分配すれば、我々の世代での貧困の根絶に向けて大きく前進できるであろう。

これを実現するためには、農家、経営者、労働者が協力して前進せねばならない。

経済全体が成長して初めて、農場の恒久的繁栄と農業の充足は達成され得る。賃金労働者の収入が高く、完全雇用があれば、農民はより多くの食物を良い価格で売ることができる。あらゆる米国人家庭のための充分な食物と、本格生産体制下にある国内産業の需要は、現在の水準を上回る農業生産物をも吸収するであろう。

平均的な農民はかつてないほど裕福であるが、農家全体では都市部の生活水準に近付き始めたに過ぎない。1946年の農家の平均年収が779ドルであったのに対し、農家以外の人々の平均年収は1,288ドルであった。今後10年以内に、我々はこうした生活水準の不平等を是正せねばならない。

そのためには、我々の農場計画は、農民が種々の作物を適正な価格で販売し、生活水準を改善できるようにせねばならない。

我々は、主要作物を生産・需要の水準の変動から保護するため、価格の下支えを続ける必要がある。現在の価格維持計画を再検討し、改めねばならない。

農民を特別な危険から保護するため、農業保険を強化し、給付額を増大せねばならない。

同時に我々には、農作物を市場に、あるいは消費者の手に送るための手段を改善する必要がある。この目的に直接・間接に貢献する協同組合は、妨害されるのではなく、奨励されねばならない。学校給食計画を継続し、充分に投資せねばならない。

我々には、あらゆる農家に電気の恩恵をもたらす農村電化計画を進める必要がある。

我々は、農民の土壌資源を保全するため、また軽視や濫用によって損なわれた土地の生産力を回復させるため、農民を援助し奨励することができるし、せねばならない。

これらはいずれも、農業を国家の繁栄に繋げるために直ちに取らねばならない実践的方法である。

同時に我々は、自由企業制度の枠組み内で産業の能力を拡大することにより、今後10年以内に自国の経済構造を強化せねばならない。

今や、将来の成長のために必要な産業の能力が、遥かに不足している。今後数年で我が国の生産施設を改良・拡大するためには、少なくとも500億ドルが工業によって投資されねばならない。だが、これは始まりに過ぎない。原子力その他の科学の進歩を産業に応用すれば、更なる拡大の機会が開かれる。農場の繁栄と雇用の拡大のためには、財とサービスの大幅な増産が必要である。

米国経済の増大と活力は、民間企業の強靭さに懸かっている。自由競争は産業の発展、完全な生産と雇用、公正な価格、そして生活水準向上の鍵である。今日、多くの産業で、経済力の集中・独占などのために競争が大幅に制限されている。現行の反トラスト法を適切に施行できるよう、充分な資金を醵出することが不可欠である。更に、自由競争を保障する立法を強化し続けねばならない。

強力な経済体制に関するもう1つの基本要素は、賃金労働者の幸福である。

我々は、労働者の幸福が増産とそれに伴う雇用拡大に懸かっているということを学んできた。工業と農業の繁栄が労働者の収入増加に懸かっているということを学んできた。

政府は賢明にも、最低賃金について規定する選択をした。だが、40セントの最低賃金は不充分で、かつ時代遅れである。私は、最低賃金を1時間当たり75セントまで引き上げるよう勧告する。

しかし一般的には、賃金水準は健全な団体交渉制度によって決められるべきである[4]。労働者の収入は、妥当な価格と利益と賃金関係との維持に見合った割合で、しかも生産性の向上に見合った割合で、増加せねばならない。

労使関係における政府の役割は、現在主に1947年労使関係法[5]の条文によって規制されている。昨年6月、私は議会に対する拒否声明において、同法に対する自らの態度を明らかにした。以後、同法に対する私の見解を変えるような事態は何ら起こらなかった。しかし、同法が現行のままである限りは、憲法上の義務を遂行し、遵守する所存である。

将来を見通せば、新たな労使協定の締結には自制と叡智が決定的に重要であるということが判る。業務停止は、生産の損失を招く。そうなれば、自国民に物価高騰をもたらしかねず、他国の貧困層に生活必需品を与えることもできないであろう。国家には労使交渉の成功に対して重要な利害関係があるということを労使の代表が留意するよう、切に希望する。

現在の経済的困難を乗り越えるならば、我々は国民所得を大幅に増加させ、より豊かで満足な人生をあらゆる国民に享受させることができる。

我々全員は、共に前進せねばならない。現在、我が国の家庭の5分の1は、平均年収が850ドル未満に留まっている。国民所得の利益は、それを最も必要とする低所得者層のために支出されねばならない。そうすれば購買力は安定し、繁栄を維持できるであろう。

実業界、労働界、農業、及び政府は協力して、我が国の経済体制を充分有益なものにする政策を策定せねばならない。

我々の第5の目標は、あらゆる国の自由、正義、平等という原則に基づく世界平和を成し遂げることである。

我々の世代は、我が国が世界から孤立することができないということを、2度に亙る世界大戦によって学んだ。

我々は、世界の如何なる地域の自由の喪失も、我が国自身の自由の喪失を意味するということ――如何なる国による独立の喪失も、米国及びあらゆる自由諸国の不安定に直接繋がるということ――を学んだ。

我々は、世界平和のためには健全な世界経済が欠かせないことを――経済的困窮とは言わば病であり、その悪影響は苦痛に喘ぐ国家の境界線の遥か向こうにまで拡大するということを――学んだ。

故に米国は、平和で繁栄した世界を実現するための諸政策を、精力的に遂行している。

我々は、国連に対する全面的な支援を与えているし、今後も与え続ける。この組織が予期せぬ厄介な困難に遭遇しようとも、私は最終的には成功すると信ずる。我が国は、世界経済の回復と世界貿易の復活に向けた努力もしている。これらの行動は密接に関係しており、相互に支え合っている。

我々は、米国が世界平和のための効果的な力たり得るためには、米国は強くあらねばならないと信ずる。我々は、国家が軍備を縮小させる日が来るのを待望している。だが、平和な世界という理想に対する只ならぬ敵がある限り、我々は強力な軍隊を維持せねばならない。

先の議会による国家安全保障法の通過は、我が国の安全保障政策における画期であった。私がより重要だと考える更なる措置は、一般軍事訓練に対する早期の準備である[6]。均衡ある国家安全保障計画には、多くの要素がある。これらは全て相互に関係しており、かつ不可欠であるが、一般軍事訓練はこれら全ての基盤たらねばならない。近日中に議会が好ましい決定をなすことが、世界的に重要である。私は、我が国の安全保障や指導力を維持するには、こうした行動が不可欠であると信ずる。

米国は今日、諸国間の恒久的な平和関係を構築すべく、多くの国際活動に従事している。

我々は、ギリシアトルコが外圧に抗して独立を維持するのを支援すべく、相当な援助を両国に供与してきた。我々の援助を受けなかったとすれば、両国の現状は全く異なっていたであろう。両国の独立維持は、戦災復興をしつつ自国の独立維持に腐心する中東欧州の諸国に、強い影響を及ぼすであろう。

米国の占領下にある諸国、即ちドイツオーストリア日本朝鮮に対し、米国は特別な責任を有する。これら諸国との講和を実現するための我が国の努力は、これまで阻まれ続けてきた。だが我々は、これら各国との満足な講和を得るために最大限の努力を続ける。

未だ海外のキャンプで暮らす幾千もの難民に、米国への入国を認めねばならない。私は、改めて議会に主張したい。家を失い苦しんでいる、各信仰を持つ難民を支援すべく、直ちに適当な法律を可決せねばならないと。こうした人民を受け入れれば、我が国の強さと活力は増進すると信ずる。

我々は、様々な方法で世界平和という目標へと進んでいる。だが、現在我々が行っている取り組みの中でも最も重要なのは、世界経済の再建支援である。我々は、戦争によって打ち砕かれた世界貿易体制を復活させ、多くの国々を悩ます経済停滞を回復させるべく模索している。

世界貿易を回復させるために、我々は最近、史上最大の世界的関税引き下げを主導してきた。この業績を可能ならしめた互恵通商協定法の規定の拡張は、極めて重要である。同時に我々は、国際貿易機関を支え続けねばならない。我々は同機関を通じて、国際貿易の公平処理の規範に関する世界的合意を得たいと考えているのである。

現在我々は経済再建に向けた取り組みとして、欧州諸国によって展開される復興計画[7]を支援している。議会へに対する最近の教書において、私は米国がこの支持を拡大することが何故賢明かつ不可欠なのかについて触れた。

私は、この提案が妥当かつ有望であると改めて信ずる。欧州経済が強化されれば、欧州の産品は経済的に苦しむ他の諸地域を益するであろう。自由な人々の飢餓と絶望を克服する能力は、全世界に対する精神的な刺激となろう。

我々は諸外国とも協力して、世界経済の回復を成し遂げる。我々は、西半球諸国との協力を継続する。対中国支援特別計画を議会に提出し、もって切迫した救済需要に応え、再建を促進する。

残念ながら、諸国間の協力を通じて世界の諸地域で経済再建が達成され得るという米国民の希望を、あらゆる政府が共有している訳ではない。こうした相違があろうとも、我々は経済停滞を克服する努力を進める。

如何なる国も、これらの計画を単独で成功へと導くことはできない。これらは、全参加国の協力と誠実な努力に懸かっている。だが、主導権は必然的に我々の手にある。

私が最も重要視しているのは、1948年4月1日から1952年6月30日までの期間の欧州復興計画[8]のうち、最初の15ヵ月分として必要な第1回の支出額たる68億ドルに対する支持を、議会が承認せねばならないということである。我が国の外交政策におけるこの重要な施策に関して――世界平和に対するこの決定的な貢献に関して――早急に審議するよう議会に要請する。

我々は、平和を実現するとの決意を実行するに当たり、健全で、建設的で、実践的な道筋を辿りつつある。

我々は、貧困、飢餓、そして苦難と闘っている[9]

これは戦争ではなく、平和へと繋がるものである。

我々は、あらゆる国が大国も小国も同様に、侵略を危惧することなく存立し得る世界を建設しようとしている。

これは戦争ではなく、平和へと繋がるものである。

何よりも、我々は個人の尊厳と人類の友愛に基づく、世界の人民間の協調を達成すべく努力している。

これは戦争ではなく、平和へと繋がるものである。

健全な政策に従っているとの確信があれば、我が国は内政や外交を推進できる。こうした確信は我々を、経済的、社会的、道徳的な業績という偉大なる諸目標へと導くであろう。

新年を迎え、我々はあらゆる目標に影響する、ある大問題を乗り越えねばならない。それは、インフレーションの問題である。

既に我が国のインフレーションは、何百万もの家庭の生活水準を蝕みつつある。食料価格は高過ぎる。住宅価格は、異常な水準に達した。学校や病院は、財政的に苦しんでいる。インフレーションは、労使間の対立や闘争を招く惧れがある。

最悪なのは、インフレーションには別の不況を招く惧れがあるということである。ちょうど、第一次世界大戦後の不安定な好況の後、不況が訪れたのと同様に。

昨年10月に議会を招集すると発表した際、私は1946年6月以降の物価上昇について述べた。卸売価格は40%、小売価格は23%上昇した。

物価は10月以降も続伸した。卸売価格は年に18%、小売価格は年に10%上昇した。

私が11月に10項目のインフレーション抑制計画を議会に提出して以来の出来事は、10項目全てが不可欠であることをいよいよ明白にした。

物価高を、配給制実施の口実としてはならない。

我々は、生活費の高騰に効果的かつ迅速に対処せねばならない。

我々は、インフレーションの悪循環を止めねばならない。

私は、インフレーションとの闘いに不可欠な対策を政府が実施できる態勢を、議会が可能な限り速やかに整えてくれると信ずる。

今日の米国経済における最も強力なインフレ抑制策の1つは、政府の歳出削減である。

政府支出は最低の安定水準に保たれねばならない。対日戦勝利の日以来、連邦支出は大幅に削減された。現会計年度では、1946会計年度の630億ドル以上から380億ドル未満まで削減された。軍属の数はほぼ半分に――375万から200万にまで――削減された。

他方、政府の歳入が減ってはならない。インフレーションが止まるまでは、税体系における別の分野での補填により相殺されないような減税があってはならない。

特定の調整は歳入総額に影響を及ぼさない既存の税構造の枠内でなされねばならないが、税負担を調整し、税負担の一部を高所得者へと移すことによって、低所得者の負担を軽減させる。

今日、多くの家庭が生活費の高騰によって苦境に喘いでいる。これに対し、企業収益は1947年に空前の記録に及んだ。企業収益は、税引き後で総額170億ドルである。これは、これまでの最高の年であった1946年の125億ドルをも上回っている。

こうして極めて高額の利益を挙げているのであるから、企業は現在、更なる税負担に耐えられるはずなのである。

生活費高騰が多くの家庭を圧迫しているこの時期にあっては、減税によって家庭の負担を軽減させねばならない。低所得者層は、特に圧迫されている。減税はこの層の貯蓄を促し、生活必需品の購入に充てることを可能にする。

故に私は、1948年1月1日付けで、生活費税額控除が各々の扶養家族のために個々の納税者と40ドルの追加残高に40ドルの控除からなる国民にまで広げられるよう勧告する。これにより、妻と2人の子を持つ男性の所得税は160ドル減ぜられる。控除はあらゆる納税者にまで広げられるが、とりわけ低所得者層の助けとなろう。

こうした税控除により、連邦の歳入は推定32億ドル減少する。この減収は、企業収益に対する税金を増やすことによって穴埋めされねばならない――ただし中小企業には、適切な調整をする。

これが、目下の減税の妥当な方法である。減税により、政府の税収総額を減ずることなく、最も必要とする者に安心を与えることができよう。

現在のインフレーションの危険が去ったときには、我々は税制全体の改革に基づく減税を考えねばならない。

インフレーションを克服すれば、我々は選ばれた目標へと前進できる。

これを為すに当たり、常に高い目標を保とう。

我々は確信している。国家の運命の制御において、叡智と名声を伸ばし、然るべき地位を占めるための等しい権利や機会を全国民が有すると。

我々は確信している。我が国の生産的資源が皆のために賢明かつ充分に活用されると。

我々は確信している。国民の民主主義的信念と我々の資源の力が、世界の恒久平和の達成に貢献できると。

こうした目的の根底にあるのは、人間の尊厳に対する我々の信頼である。我々が強く活発な人民たり得るのは、この信頼の故である。

今こそ、これらの基盤を思い出す時である。今や、全世界が我々の指導力に期待しているのである。

今こそ、我々を強くしてくれる人類への信頼に再び献身すべき時である。

今こそ、長年に亙る懸案に取り組み、我々に信頼を与える神への信仰に再び献身すべき時なのである。

訳註[編集]

  1. アーサー・H・ヴァンデンバーグ(任1947年 - 1949年)。
  2. ジョーゼフ・W・マーティン(任1947年 - 1949年)。
  3. テネシー川流域開発公社の実施した事業を指す。同社は1933年にニュー・ディールの一環として設立され、多目的ダムの建設事業を通じて、治水・利水や失業者救済を図った。
  4. 原文は「we must continue to rely on our sound system of collective bargaining to set wage scales」。逐語訳をするならば、「我々は賃金水準を規定するために、健全な団体交渉制度に頼り続けねばならない」。
  5. 1947年労使関係法 (Labor–Management Relations Act) 、通称タフト=ハートリー法 (Taft–Hartley Act) は、上院議員ロバート・タフトと下院議員フレッド・A・ハートリーの働き掛けにより成立した法律である。労働組合の活動制限や、大規模かつ深刻なストライキに対する大統領の指揮権発動を認めるなど、全国労働関係法(ワグナー法)で認められた労働者の権利を大幅に制限した。トルーマンは拒否権を行使するなど、同法に一貫して反対したが、成立を阻むことはできなかった。
  6. 1948年6月に「1948年選抜徴兵法 (Selective Service Act of 1948)」が、1951年6月には「1951年一般軍事訓練徴兵法 (Universal Military Training and Service Act of 1951)」が、それぞれ成立した。
  7. マーシャル・プランを指す。1947年6月5日に提唱。根拠法は1948年4月3日に成立。
  8. 「欧州復興計画 (European recovery program)」は、マーシャル・プランの正式名称。
  9. ジョージ・C・マーシャルは、マーシャル・プランを提唱した演説の中で、「我々の政策は、特定の国家や主義に対してではなく、飢餓、貧困、絶望、混乱に対して向けられている」と述べた。「マーシャル・プラン演説」の項を参照せよ。

この文書は、アメリカ合衆国においては、同国の著作権法に基づき、同国の連邦政府と雇用関係にある公務員がその職務上作成したアメリカ合衆国政府の著作物17 U. S. C. §105参考和訳))に該当するため、パブリックドメインの状態にあります。また、日本国においては、同国の著作権法13条に規定するもの(憲法その他の法令、通達、判決など)に該当するアメリカ合衆国政府の著作物のみに限り、パブリックドメインの状態にあると解されます。それ以外の国では、当該国の著作権法に基づいて、著作権の対象であるか否かが判断されます。


注意: これは、アメリカ合衆国政府の著作物についてのみ効力を有します。アメリカ合衆国の各、その他の地方自治体が作成した著作物に対しては適用できません。また、日本国著作権法13条に規定するものに該当しないアメリカ合衆国政府の著作物の場合、日本国内において著作権が発生しているものとして扱われることになると解されるため、この著作権タグのみでは著作権ポリシーの要件を満たすことができません。その場合は、日本国の著作権上パブリックドメインの状態にある著作物、またはCC BY-SA 3.0及びGDFLに適合しているライセンスのもとに公表している著作物のいずれかであることを提示するテンプレートを追加してください。

原文の著作権・ライセンスは別添タグの通りですが、訳文はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスのもとで利用できます。追加の条件が適用される場合があります。詳細については利用規約を参照してください。