シリヤの聖イサアク全書/第八十一説教

wikisource:宗教 > シリヤの聖イサアク全書

第81説教

<< 肉体（にくたい）と霊魂（れいこん）と智（ち）との浄潔（じょうけつ）。 >>

肉体（にくたい）の浄潔（じょうけつ）は肉体（にくたい）上（じょう）の汚（お）穢（かい）に犯（おか）されざる是（これ）なり。霊魂（れいこん）の浄潔（じょうけつ）は心中（しんちゅう）に起（おこ）る隠（ひそか）なる慾念（よくねん）より自（じ）由（ゆう）を得（う）る是（これ）なり。然（しか）して智（ち）の浄潔（じょうけつ）は奥（おう）義（ぎ）の啓（けい）示（し）により成就（じょうじゅ）せらるべし。けだし智（ち）はすべて粗（そ）大（だい）にして五（ご）感（かん）に属（ぞく）するものより潔（きよ）めらるゝなり。小児（しょうに）は身体（しんたい）に於（おい）ては無（む）罪（ざい）にして、霊魂（れいこん）に於（おい）ても無（む）慾（よく）なれども、誰（たれ）も彼（かれ）を名（な）づけて智（ち）に於（おい）ても浄潔（じょうけつ）なるものとは言（い）はず。けだし智（ち）の浄潔（じょうけつ）は天（てん）を観望（かんぼう）するの行動（こうどう）そのものに於（おけ）るの完全（かんぜん）にして、彼（か）の天上（てんじょう）界（かい）の高上（こうじょう）なる整飾（せいしょく）と無（む）数（すう）なる奇（き）蹟（せき）の霊妙（れいみょう）なる力（ちから）により五（ご）感（かん）の関係（かんけい）を待（ま）たず喚（かん）起（き）せらるべく、而（しか）して此（この）楽（たのし）みは彼（かれ）等（ら）の見（み）えざる勤（つと）めにより、智（ち）力（りょく）を以（もつ）て想像（そうぞう）し得（え）らるゝ機微（きび）神妙（しんみょう）なる啓（けい）示（し）の不（ふ）断（だん）何（いづ）れの時（とき）にも変（へん）化（か）するものを以（もつ）て彼此（ひし）の為（ため）に分（ぶん）与（よ）せらるゝなり。我（われ）等（ら）が神（かみ）は自（みづ）から我（われ）等（ら）に覆（おほ）はれざる智（ち）力（りょく）を以（もつ）て神（かみ）を直（ちょく）視（し）するを賜（たま）ふべくして、その後（のち）直（ただち）ちに之（これ）を洞看（どうかん）するを世々（よよ）に賜（たま）はらん。彼（かれ）に光栄（こうえい）は帰（き）す。「アミン」。