し、爾の中に石を石の上に遺さざらん、爾の眷顧の時を爾知らざりしに因りてなり。
四五 遂に殿に入りて、其中に貿易する者を逐ひ出して、
四六 彼等に謂へり、我が家は祈禱の家なりと録されたるに、爾等之を盗賊の巣窟と爲せり。
四七 乃日々殿に在りて、敎を宣べたり、司祭諸長、學士等、及び民の長老等彼を滅さんと謀りたれども、
四八 爲す可き所を知らざりき、蓋民皆離れずして彼に聴けり。
第二十章
一 當時の一日、イイスス殿に在りて民を敎へ、福音を宣ぶるに司祭諸長及び學士等は長老等と共に就きて、彼に謂へり、
二 我等に語げよ、爾何の權を以て是を行ふか、或は誰か爾に此の權を與へたる。
三 彼は之に答へて曰へり、我も亦一言爾等に問はん、我に語げよ、
四 イオアンの洗禮は天よりせしか、抑人よりせしか。
五 彼等窃に議して曰へり、若し天よりと云はば爾何ぞ彼を信ぜざりしと云はん、
六 若し人よりと云はば、民皆石を以て我等を撃たん、イオアンを預言者と信ずればなり。
七 遂に答へて曰へり、奚れよりせしを知らず。
八 イイスス彼等に謂へり、我も何の權を以て是を行ふを爾に語げざらん。
九 是に
於て
彼は
此の
譬を
民に
語れり、
或人葡萄園を
植ゑ、
之を
園丁