湯冶にお出なさるるか。又ハ伊勢御參宮の折からハ必ず。門ちがひなされまするな御登ならバ右の方。お下なれバ左側八方が八棟おもてが三ッ棟玉堂造はふにハ菊に桐のたうの御紋を御赦免有て系圖正しき藥でござる。イヤ最前より家名のぢまんばかり申ても。御存ない方には。正身の胡椒の丸吞。白川夜舩。さらバ一粒たべかけて。其氣味合をお目に懸ませう。先此藥をかやうに一粒舌の上へのせまして。腹內へ納めまするとイヤどふもいへぬハ。いかん肺肝がすこやかに成て。薰風咽より來。口中びりやうを生ずるがごとし魚鳥木の子麵類の喰合せ。其外万病速功あること神のごとし扨此藥第一の奇妙にハ舌のまハる事が。錢ごまがはだしで逃る。ひよつと舌が廻り出すと。矢も楯もたまらぬじや。そりや〳〵〳〵そりや〳〵まハつて來たハ廻つてくるハ。あわや咽。さたらな舌に