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定人の鑑定に付される間の問題であったのであり、この間の疑問の内容としては、単に汚斑の色調の問題だけでなく、その数が時間を経るにつれ、多くなっていったこと、鑑定依頼事項の変化などが問題とされていたのである。
そして、再審開始決定及び再審無罪判決が、「本件白シャツの血痕様斑痕の色調が、これが押収されたのちの間も多くの昭和二四年八月二四日頃引田鑑定人が見た時は帯灰暗色、同年九月一日頃、〔丙3〕・平嶋鑑定人が見た時は褐色、同年一〇月一七日頃三木鑑定人が見た時もほぼ同色であったとのことから、早い時期ほど色があせていたわけであって理解し難いことであり、そうすると、本件白シャツにはこれが押収された当時には、もともと血痕が付着してはいなかったのではないかと推察が可能となる」と判示したこともこれのみを根拠にしているのではなく、他に、凶器を隠匿したことになっている被告人が、本件白シャツは平然と着用していたこと(原判決は、この点を二〇余年を経て証人として出廷した警察官の証言により別異の認定を行なっているが)本件白シャツの汚斑の形は、被害者の血液の「噴出」または「迸出」により付着した血痕の形状とは考えられないものであること等を総合し、これらの証拠価値を否定しただけではなく、証拠偽造の可能性を示唆していたのであるが、原判決は、これらを全く看過して皮相な考察と判示のみで「再審判決の指摘は必ずしも当をえたものではないといわなければならず、他に本件白シャツに故意に血痕が付けられたとの事実を推認するに足りる情況はない」と判示する。
昭和二五年八月、古畑鑑定人が本件白シャツのみならず、被害者の血痕が侵み込んでいる畳表の血痕の血液型の鑑定を行なっていることなど考えても、再審段階で証拠偽造が問題とされたのは、裁判所の証拠保管中ので