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改めて故意・過失が問われるという仕組を全く無視した判断をなすにいたっている。
その結果、原判決は、国家賠償法一条一項の公務員の公権力行使により、他人に損害を与えた場合の中から、過失によって損害を与えた場合を不当に除外し、結果としてこの部分につき国又は公共団体の責任を免除するとの誤った法令の解釈・適用を行なってしまっている。
これが、本件において判決に影響及ぼしていることは明らかであるので、原判決の破棄は免れない。
三 原判決はまた、
検察官の訴追行為等の責任について
「本件のように再審でいわゆる逆転無罪判決があったにしても、一旦は有罪判決が確定していた場合には、この有罪判決があったのは、起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証すなわち有罪の嫌疑がそれぞれの時点における相手方当事者の批判に耐え、且つ各種の証拠資料を総合勘案した裁判所の合理的な判断により是認された結果であるから、右の嫌疑が根拠のないものではなかったとの推定が働くということができる。再審無罪判決により、右嫌疑が誤りであったということになっても、検察官の証拠評価や判断上の過誤は、本来審級制度を含む、当該刑事事件そのものの場で是正されるべきであり、且つそれで足りるとすべきるのであって、資格のある弁護人が選任されていてなおかつ是正できなかった以上、国家賠償法上は、止むを得ないこととしなければならない」と判示している。
原判決は右のように判示しながら、これに自信がないのか、「検察官の行為につき、国の国家賠償法上の責任が肯定されるためには、当該検察官が違法又は、不当な目的の下に捜査及び公訴提起追行をしたなど、その付