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Page:Shinshiki Sanjutsu Kogi 00.djvu/340

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無理數

といふことにつきては往々一見常識に反せるの觀を呈する事實に遭遇すること,實に止むを得ざる所なり.

限りなく多くの物を考ふといふことの意義,明白に理會せられざる可らず.限りなく多くの物を考ふとは雜然として隨意に種々の物を思ふの謂にあらずして,一定の限界ある,物の一系統を考ふるなり,唯此系統を組成せる物の數に限なきのみ.卽ち或物が今考へつゝある所の系統に屬せるか,或は屬せざるかを定むべき一定の照準存在するを要す.此照準は場合によりて樣々に異なるを得べきこと論なし.例へば凡ての整數を考ふるときは,吾人は限りなく多くの物を考ふとは雖,此等の物は全體に於て,一定して動かすべからず. を採り を採る, を採らず, を採らず,今考へつゝある物に一定の限界ありといふは此意なり.或は凡ての素數を考ふるとき亦然り.如何なる數も素數なるか,或は素數ならざるか,何れか一なり.素數は今考ふる所の系統に屬し,素數ならざる數は之に屬せず.吾人の考ふる所の物に定まれる限界あり.或は