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限りなく多くの數

第九章 無理數

限りなく多くの數,上限及下限○基本定理○稠密なる分布,等分の可能,アルキメデスの法則は凡て連續の法則に含蓄せらる○有理數の兩斷と無理數○無理數の展開,無限小數の意義○量を計ること及其數値の展開○展開せられたる數の大小の比較,展開の唯一なること○無理數の加法及其性質○加法の近似的演算○比例に關する定理,比例式解法,乘法及除法の意義○乘法及除法の性質○負數

(一)

限りなく多くの數の與へられたる時は,其中に一個最大又は最小の者存在するを必すべからず.此微妙なる事實は常識を以て捕捉し難き所なれども,數學に於て頗る重要なる意義を有せり.抑〻「限りなく多し」とは,吾人の實在界に於て決して遭遇せざる所なり.吾人は「甚だ多し」といふことを經驗し得べし.限りなく多しといふは,唯思想界に於てのみあり得べきことなり.是故に無限