このページは校正済みです
7
(三)
物を數ふること
(三)
物を數ふるに當ては,此等の物の各を一個の物なりと認むること,及此一個の物は其他の物とは異なる一個の物なりと認むるの外,此物を他の物と區別すべき凡ての特徵を度外に置くべきことは旣に言へり.さて今數へんとする物の中,最初に一個の物と認めたるものに配するに なる順序數を以てし,次に此物とは異なる一個の物なりと吾人の認めたるものに配するに を以てし,順次斯の如く一つ一つの物と一つ一つの順序數とを取り合はせ(對照し,配合し)行くに,順序數の引き續きは究まる所なきが故に,如何なる場合に於ても斯の如き對照の爲し得ざることあるべからず.斯くて今數へんとする物の盡くるに至て止むときは,最後の物に取り合はされたるは或る一つの順序數にして,此順序數は卽ち今數へたる物の數を定むべきものなり.
若干の物の與へられたるとき,右に述べたる手續きによりて之を數ふるときは,此等の物の間に定まりたる順序を生じ,此手續きの終局に於て或る定まり