Page:Shinshiki Sanjutsu Kogi 00.djvu/19

提供:Wikisource
このページは校正済みです
3
(一)
物の數及物の順序

べき凡ての特徵を抽き去りて顧みず.机,人,數學は三個の物なるは,一個の物,又一個の物,又一個の物が三個の物なりと云ふに異ならず.指を折りて數ふるは數へんとする物の特徵を抽出し去るなり.拇指は机を代表し,示指は人を,中指は數學を代表す.机も人も數學も同じく一個の指にて代表せられたり,人若し指の代表せるは何物なりしかを忘却したりとも,拇指は始めに認められたる一個の物を代表し,示指は次に認められたる一個の物,中指は最後に認められたる一個の物を代表することを知るべく,而して其物の數は卽ち三個なりしことを知ることを得.

一個々々の物を順次一個々々の指にて代表し,最後の物を代表せる指を見て數を知る,物を數ふることの原理は此處に盡きたり.

吾人が數ふべき物の數には限りなし.限りなき物を代表せん爲には又限りなき物を要す.此限りなき物を代表せんが爲に,人の作り出せるを數(順序數)となす.數は人の理性を離れて先天的の實在を有するものに非ず.數の眞相を知