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自然數の起源

らんと欲せば其起原に遡らざるべからず.

(二)

順序數の觀念は凡て人の共有する所,明白にして動かすべからざるものなりと雖,吾人は數學に於て思想の精確に重を置くが故に,特に次の條目を列擧して之を順序數の原則となさんとす.玆に所謂,數とは順序數を指せるなり.

第一,數には先後の順序あり.二つの相異なる數(甲,乙)の中唯一(例へば甲)は他の一つ(乙)に先だつ.

先後といへる語の意義は次に揭ぐる二個の規定に遵ふを要す,(一)甲が乙に先だゝば乙は甲に先だゝず,(二)甲は乙に先だち,乙は丙に先だゝば甲は又丙に先だつ,甲が乙に先だつといふも,又は乙は甲の後にあり又は甲に次ぐといふも同一の事實を表はせり.是故に甲は乙の後にあり,乙は又丙の後にあらば,甲は丙の後にあり.

第二,如何なる順序數にも,必ず直ちに之に次ぐ順序數あり.