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負數及四則算法の再審

同樣にして又 より正數 を減ずるは には を配し,直ちに に先てる數には ,又直ちに之に先てる數には を配し行きて竟に に配せらるべき數に至るをいひ,又 を減ずるは逆の方向に此手續きを行ふをいふものとせば, を減ずるは を加ふるに同じく,又 を減ずるは を加ふるに同じ,といふ前に述べたる加法,減法の關係は,遺憾なく又最明亮に解釋せらるゝを見るべし.

負數は又物の數の增減を表はせるものとして解釋することを得.吾輩が特殊の應用に固着せずして,抽象的に負數及其加法,減法の意義を定めたるは,一見甚だ唐突,不自然,形式的なる觀あるに似たりと雖,熟ら考ふればかく袖象的に根本的の觀念を定むるは,却て其觀念の應用の區域を擴大する所以なるを知るべし.第一章,第二章に於て說きたる自然數の觀念及其四則算法の意義は,物に順序を賦すること及物を數ふといふ特殊の應用上の傾向を基礎となせるが故に,一方に了解し易きの利あると共に,一方には論法の蕪雜なること