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さゞるの狀態なりしが、六月二十二日に至り獨逸に於てシヤイデマン內閣仆れバウエル內閣之に代るの報あるや、こゝに始めて一道の光明を認むるに至りぬ。蓋し是より先獨逸內部の講和に關する輿論はいかなりしかと云ふに國民自由黨はかの外務大臣にして首席全權たりしブロツクドルフ、ランツアウ伯の强硬なる意見に動かされて最猛烈に調印拒絕を主張し、首相シヤイデマン氏も亦之に傾きつゝありしに反し、社會黨中央黨の多數は此場合調印を以て止むを得ずとするに一致せるものゝ如く、而してエルツベルゲルノスケの兩氏は此派を代表する錚々たる者なりしが、今や此兩氏を閣僚とするバウエル內閣の出現せるを以て見れば、是れ疑もなく調印に對する前提と解するを得