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愛國心とに歸するを得べき也。

 然れども節儉質素の風と云ひ愛國心と云ふが如きは要するに消極的の力なり、新時代に雄飛するの國民としては更に活潑々地なる積極的進取的氣象を具有するを必要條件とす、然るに佛人は勤儉貯蓄して產を治め依つて以て莫大の富を積むに至るも其富を以て事業を起し自ら是が經營に當らむとするが如き積極的の企業心に乏し、アングロサキソン人は事業其物を以て一種の快樂と心得、活世界に處して自らの地步を開拓するに力むるも佛人は即ち然らず、自己の富を他國人の經營する事業に投下するのみにして己れは其利子に寄生せむとするが如き隱居式殿樣式特性を具ふ、これ過去に於て佛國をして世界の資