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本國たらしめし所以なれど資本萬能の時代漸く過ぎて甚大なる變革の近づきつゝあるを想はしむる戰後の新形勢に處するに當りては如斯は最不適當なる特性と云ふを得べし、所詮佛人の有する消極的の力は偶今次の戰爭を機會に赫々たる光輝を放ちて次第に傾きつゝありし佛國の命運を旣倒に回すの功ありしと雖其國民性にして更に大に積極的色彩を帶び來らざる限り佛國の將來は再び頽敗の途を辿るの外なかるべし。

 今日佛國當局者の最頭を惱まし居る問題は他の諸國に於けると同じく矢張り勞働問題なるべし、それ勞働問題が戰後の全世界を通じて狂瀾怒濤を起し人類社會の組織に根本的一大變