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れを引用する。以下これについての判断を示す。
 原審検察官の控訴趣意第二点について。
 原判決は、被告人が昭和二十四年八月二十二日頃一日間拳銃一挺を不法に所持した旨の事実を認定しているが、その拳示する証拠によれば、被告人は、起訴せられたとおり、昭和二十一年十月十五日頃から右日時迄約二年十月間これを不法に所持していたことが明かである。されば、原判決には理由のくいちがいがあるものというべく、破棄を免れない。論旨は、結局、理由あるに帰する。
 同第四点について。
 原判決は、本件公訴事実中、被告人が、弘前大学医学部教授松永藤雄の妻〔甲〕の美貌に執心し、本件昭和二十四年八月六日夜十一時過頃、弘前市大字在府町〔乙〕方離座敷階下十畳間に実母及び子供と熟睡中の〔甲〕を殺害して変態性慾の満足を得る目的で、その寝室に忍󠄁込み、枕元に座し、所携の鋭利な刃物で、同女の頸部を一突きに刺して死亡させたとの事実に対し、その証明十分ならずとのみ説明して、無罪の言渡をしている。しかし、当裁判所の審査したところによれば、たやすく、原判決の如き結論に到達することはできないのであつて、原判決には重大な事実の誤認があるものと謂わざるを得ない。卽ち、次にその説明をする。
 原審第四回公判調書中証人〔乙2〕の供述記載によれば、本件犯人は犯行当時白い開襟シヤツを着ていたことが明かである。而して、原審鑑定人古畑種基、同三木敏行、木村男也、当審鑑定人村上次男作成の各鑑定書の記載及び当審第二回公判調書中証人古畑種基の供述記載によれば、被害者〔甲〕の血液はBMQE型であり、被告人の血液はBMq型であること、被告人が本件の頃も着用していたことを自認する海軍用開襟白シヤツ(証第三号)に附着している血液はBMQE型であり、その附着時期は被害者〔甲〕が殺害されて血液が流出した時それが畳表(証第二十