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一 本件における国家賠償法一条の違法判断基準について

 原判決は、「芦別国賠事件」の最高裁判所判決を基準とするかの如き態度を示しながら、その根拠とされている職務行為基準説によらず、反対説たる結果違法説と同じ考え方をする誤りを犯している。
 職務行為基準説の下で、いかなる場合に公訴の提起、追行行為等が職務上の義務違反に問われることになるのかといえば、近時の最高裁判決の趣旨に鑑みるとき、当該検察官が違法ないし不当な目的をもつて公訴を提起したなど、その付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解すべきである。
 本件の検察官に右の如き特別の事情を認めえないことは、事件の発生から公訴提起に至るまでの経緯に照らし証拠上明らかなところである。
 以上の理が裁判官のなした判決等の判断に同様に妥当するのは当然である。

   一審原告らは、同被告の不法行為として、捜査機関青森地検弘前支部検察官、原二審及び最高裁判所の不法行為を掲げているところ、これらの総べてにつき、遅くも、最高裁判所判決のあつた昭和二八年二月一九日に終了しているのは明らかであるから、本件については既に除斥期間が経過しているというべきである。そして、この場合、同日をもつて右期間の起算日とすべきである。

   一審原告らの前記二の1ないし5の主張は総べて失当である。

第三 証拠関係

(省略)

理由