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あら田の暮にかはづなくゑ

燃崎白雨燃崎は、櫻島の地

もゑさきの名はそれながらあつからぬ

風もふきいでゝすぐる夕たち
境川千鳥境川は、荒田村と、中村との交を流る、此河は、郡本村に移して、田上川と呼ふものなり

さかひかはみちくる塩にさそはれて

浦のちとりも瀬々や問らむ
開聞暮雪開聞は、頴娃の山

名にはいへど空にそびへしひらきゝの

たかねのみゆき暮ぞいそがぬ
洲崎浮鷗洲崎は、武村の海邊、鹽屋の濱の洲尾なり

ここかしこかもめぞうかふおきつ風

なきたる朝のすさきはるかに
隣村夕照

くれちかくにぎはひけりなゆふづく日

てらす隣のむらの往來は
青屋晴嵐青屋は、下に出せる青屋松原を指せり

松たかきあをやのさとのゆふあらし

こずゑにみ𛀁てはるゝくもきり
松原晩鐘松原は、南林寺の松原山を云

まつばらの末はると寺み𛀁て

木の間にひゞく入相の鐘
輕沙漁火輕沙は、垂水の地

浪あらふおきの白洲は色くれて

ほのめきそむるあまのいさり火
遠帆連波