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枚、松木明の検察官に対する昭和四八年七月二七日付第一回供述調書、鑑定人〔丙3〕および同平嶋侃一共同作成名義の昭和二四年九月一二日付鑑定書、鑑定人三木敏行作成の同年一〇月一九日付鑑定書、鑑定人古畑種基作成の昭和二五年九月二〇日付鑑定書、鑑定人松木明および同〔丙〕共同作成名義の昭和二四年一〇月一九日付鑑定書の各記載および原一審証人松木明、同〔丙〕ならびに原二審証人平嶋侃一の各供述記載および本件白シヤツの存在を総合すれば、本件白シヤツには右〔丙3〕・平嶋鑑定が着手された昭和二四年八月三〇日当時において褐色斑痕が別紙図面㈢A点に、同年一〇月一五日松木、〔丙〕鑑定が着手される直前において赤褐色の斑痕が別紙図面㈢、㈣に示すとおり、その前面におよそ一一箇所(同図面㈢のAからKまでの各点。以下符号で斑痕を示す。)存在していたことが認められる。そして

(イ) A点につき、前記〔丙3〕・平嶋鑑定においてべンチヂン反応試験、ルミノール反応試験ヘモクロモーゲン結晶試験はいずれも陽性の反応を示しかつB型であると判定されている。しかし〔丙3〕および平嶋侃一作成の昭和二四年一〇月一九日付報告書によれば、抗人血色素沈降素反応試験は沈降素の沈降価が酷暑に左右されたのか低くなつて疑陽性を呈し、人血とも獣血とも判定できなかつたことが認められ、棄却審証人船尾忠敬の供述記載によれば、かかる場合通常反応は陰性の意味に解すべきであることが認められるので、結局A点は人血反応陰性と解するのが相当である。
(ロ) B、C、D、Eの四点につき、前記松木、〔丙〕鑑定において、ピラミドン反応試験、抗人血清、家兎免疫血清反応試験はいずれも陽性の反応を呈し、かつB型であり、さらに右四点のうちB、C