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で帰宅後着衣を一寸みたが血は着いていなかつた。しかし念入りに調べてみたわけではない。

14 本件犯行の翌日新聞やラジオで本件「教授夫人殺し」のことが報道され、結果の重大さに驚いたが、弘前市百石町にある映画館「大和館」に行つて、その二階のスクリーンに向つて左側の便所内に凶器を捨てた。
二、右供述についての検討
1 離座敷(犯行現場)および就寝の状況と供述の関係
⑴ 離座敷の状況
  司法警察員作成の昭和二四年八月七日付実況見分調書中、一項(イ)(ロ)(ハ)の記載および添付の図面№1(同調書には、その形式、内容において欠陥のあることは否定できないが、原二審証人〔丙6〕の供述記載によれば、右作成は右日付より後のことであつたこと、しかし棄却審証人〔丙5〕の供述記載によれば、同調書中少くとも一項「位置と家屋の間取構造」(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)の各記載は、犯行後間もない頃になされた見分の結果のとおりの記載で、客観的状況の記述であることが認められる。)、司法警察員作成の同月七日付検視調書、原一審証人〔乙〕の供述記載および昭和二五年四月二一日付原一審検証調書ならびに昭和二六年七月二七日付原二審検証調書の各記載によれば、次のとおり認められる。
  〔乙〕方表門は南北に通ずる道路に接し、同門わきの潜り戸からその北西方向に位置する離座敷までは直線距離で約一三メートルあつて、その間の一帯は庭園に造られてあり、庭木が東側道路